2017.09.04
休日にドッと疲れの出る人が実は危ない理由│まじめな人ほど自分を追い詰めている
体からの警告を無視するのは危ない兆候です(写真:msv / PIXTA)
「最近どう?」
人から尋ねられたときに、「変わらず元気です」「順調です」と社交辞令で答える人は少なくないでしょう。同じように、仕事で同僚や上司から、プライベートで家族や友人から、「大変そうだけど大丈夫?」なんて聞かれたとき、とりあえず反射的に「大丈夫」と言うことがクセになっていないでしょうか。
本当は、誰かの助けが必要な状況でも…
本当は大丈夫でなく、誰かの助けが必要な状況でも、「大丈夫」と言うのが大人として当たり前、なんて思っている人は多いのではないでしょうか。そんなまじめな人は、知らず知らずのうちに自分を追い詰めてしまう「助けを求められない人」かもしれません。
私はスウェーデン、カルマル市に生まれ、自分で興した会社でずっと働いてきました。昔からずっと、いわゆるリーダー、起業家タイプでしたが、社交性や愛想のよさを隠れみのに、実は不安症を長年抱えていました。その心の病を妻であるスーサン・ビルマークと共に夫婦で抜け出しました。共著である『北欧スウェーデン式 自分を大切にする生き方』にも詳しくまとめてありますが、ここ数年は心の病の研究に力を入れ、ストレスに悩む人の助けとなるべく活動しています。
『北欧スウェーデン式 自分を大切にする生き方』 ※外部サイトに遷移します
こんなことに心当たりはないでしょうか。平日は精いっぱい頑張って、休みになった途端、疲れがどっと出て休日は寝てばかり。あろうことかせっかくの長期休みの最初の日に風邪をひいたりする。もしくは大きな仕事が終わってほっとした途端に体調を崩してしまう。
重度のストレス障害につながりやすい要因はいろいろあります。いくつか挙げてみましょう。
・精神的に強い人だと思われたい
・成果を出すよう求められて育った
・自分の問題を人に話さない
・人に助けを求めるのが難しいと感じる
思い当たる人は、頑張りすぎて自分の具合が悪いことを自覚できなくなっているのかもしれません。仕事や、やらなければいけないことで頭がいっぱいになり、自分自身の体と心を意識することがなくなってしまうのです。
ストレスを感じているときにやりがちでいちばん危険なのが、このようにスイッチを切ってしまって、体からの警告を無視することです。「スイッチを切る」ことが、精神破綻への第一歩となるケースは少なくないのです。
私がどん底状態だったとき、いちばん必要だったのは話を聞いてくれる相手でした。ただ、すでに感覚のスイッチを切ってしまっていましたので、自分の回復はもはや優先事項ではありませんでした。
それどころか、家計や自分の会社を取り巻く環境に感じる、大きなストレスにばかり意識が向いていたのです。予定表は会議で毎日びっしり埋まり、同時に複数のことをこなしていました。やるべきことをリストからひとつ消しても、すぐにまた別の要件で埋まっていきます。いつまで経っても仕事が終わらず、手を休める暇がありませんでした。
仕事に優先順位をつける、筋道立てて考える、ここまでと決めたらあとは断る、といったことがどんどんできなくなっていきました。完全な無力感に襲われ、ろくに眠れず、胃潰瘍になり、背中には鋭い痛みがあり、不安で仕方ありませんでした。
助けの求め方がわからなかった
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もうこれ以上無理だと感じていましたが、助けの求め方がわからなかったのです。精神科医に話を聞いてもらうなんてとんでもない、と思っていました。そんなところへ行くのはかなり心を病んでいる人だけだ、と自分に言い聞かせていたのです。
しかしあるとき通っていたジムで、誰かがスティグ・フルドの話をしているのを小耳に挟みました。スティグはスウェーデンではよく知られたメンタルコーチです。悪いうわさはなく、ずいぶん人気のようでした。
スティグに連絡をとってほどなく、自分が子どもの頃に抱えていた問題について、わたしはスティグと話し合っていました。それまで誰にも話さなかったことを聞いてもらえて、とてつもない解放感を覚えました。リラックスするエクササイズも彼から教わり、前ほどストレスを感じないようになりました。
スイッチを切ってしまえる人の厄介な点は、具合が悪いのを自覚しなくなることです。
仕事のことで頭がいっぱいだと、自分自身を意識することがなくなります。自分自身や家族にどんな思いをさせているか気づかないのです。
週末や休みが近づくと不安になります。脳がようやくひと息ついてじっくり考えられる機会なのに、むなしくなったり、胃や頭が痛くなったり、疲れをどっと感じたり、風邪をひいたりしがちです。月曜日になると、またスイッチを切ります。
ここまでくると、何かしなければならないことがあるたびに、スイッチを切ることが習慣になってしまっています。
体のあちこちが痛いのを無視し、自分のいろいろな問題を抑え込んで、意識を仕事に集中させているのです。そんな自分を止めるには、病気になって寝込むか病院送りになるかしかありません。
歯が痛ければためらわずに歯医者へ行き、車の調子が悪ければ修理工場へ持っていくのを恥ずかしく思うことはありません。それなのに心の不調となると、助けを求めるのをためらったり恥ずかしがったりします。
選択の余地がなくなってしまうまで放っておいてはいけません。手遅れになる前に、いますぐ助けを求めるのが望ましいことです。パートナーに話を聞いてもらうのも大切ですが、専門療法士の代わりにはなれません。助けを求めるのは人として当然のことです。自分の状況は自分で変えられます。
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提供元:休日にドッと疲れの出る人が実は危ない理由│東洋経済オンライン