2024.10.13
・高血糖を予防する生活習慣のポイントについて管理栄養士が解説!
軽度の高血糖の場合、ほとんど自覚症状がないため、放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。しかし、高血糖を放置するとさまざまな疾患の発症につながってしまうことがあるのです。ここでは、高血糖を予防するために今すぐできる生活習慣のポイントについて解説します。
高血糖は身体にどんな影響があるの?
健康な人でも食後は一時的に血糖値が高くなりますが、インスリンがすぐ分泌され、食後約2時間以内には正常値に戻ります。
食後高血糖と判断される基準値は食事をしてから2時間後に測った血糖値が140mg/dl以上ある場合です。
このように血糖値が高い状態が続くと、糖尿病を発症することがよく知られていますが、糖尿病以外にも動脈硬化により、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあります[1]。
高血糖を予防するために食事で意識することとは?
高血糖は、食事を意識することで予防が可能です。ここでは、高血糖の予防のために今すぐできる食事の4つのポイントについて解説します。
1. 腹8分目を意識する
血糖値は、食べ物や飲み物が胃腸で消化吸収されブドウ糖になり、血液の中に入っていくことで上昇します。そのため、食べ過ぎや飲み過ぎは、高血糖の一番の原因といえるのです。
高血糖を予防するためには日頃から食べ過ぎや飲み過ぎに気を付けて、腹8分目を意識しましょう [2]。
2. 食物繊維をしっかり摂る
食物繊維には食後の糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、生活習慣病予防のために摂りたい食物繊維の目標量を18歳~64歳の男性は1日21g以上、女性は18g以上、65歳以上の男性は20g以上、女性は17g以上と定められていますが、現代の日本人は不足傾向です。
食物繊維は、野菜類、果実類、きのこ類などさまざまな食品に含まれていますが、1回の摂取量が多い主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えると、効率良く摂取できます [3,4]。
3. お酒の飲み過ぎに気を付ける
飲酒をする場合、アルコールに換算して1日あたり20~25g程度が適切な飲酒量といえます。それを超える多量の飲酒は、すい臓からのインスリン分泌が抑えられ、血糖値を上昇させる可能性があるといわれているのです。
飲酒による健康への影響は、お酒の種類や量ではなく、純アルコール摂取量が関係しています。例えば、適切な飲酒量といえる純アルコール20gの場合、アルコール度数5%のビール500mlまたは12.5%のワイン200ml程度であるため、飲酒する際には純アルコール量を意識してみましょう[5,6]。
4. 甘いジュースを飲み過ぎない
ショ糖や果糖、ブドウ糖などを添加した甘いジュースや人工甘味料を使ったジュースは、2型糖尿病の発症リスクを上昇させることが分かっています。
ジュースを毎日飲む習慣がある人は、習慣的な摂取をやめて水やお茶などを摂取すると高血糖予防につながるでしょう。いきなりやめるのが難しい場合は、1回の摂取量を減らしたり、1日おきなどにして摂取量を減らす工夫をするのもポイントです[7]。
運動をすると血糖値が下がるって本当?
身体活動量が増えることによって2型糖尿病の発症リスクが下がることが明らかにされています。特にウォーキングやランニングなどの有酸素運動と腹筋やスクワットなどの筋力トレーニングを組み合わせるとリスクが大幅に下がることが分かっています。
加えて、低強度のストレッチでも2型糖尿病発症リスクが下がることが明らかにされているため、まずはストレッチから始めてみるのも良いでしょう。
有酸素運動を行う目安は1日60分、息が弾むくらいの強度で週2〜5回、筋力トレーニングを行う目安は1セット8〜12回を2〜4セット、週2〜3回です。
座っている時間が長く身体活動量が少ない人は、2型糖尿病発症リスクが上がるといわれています。運動をする習慣が無い人は今より少しでも多く身体を動かすことを心がけましょう[7,8]。
高血糖は放置しないで、しっかり予防しよう!
高血糖を予防する生活習慣のポイントについてお分かりいただけたでしょうか。2型糖尿病の発症予防の第一歩として、自分の生活習慣を振り返り高血糖の原因になることが無いか確認をすることも大切です。また、血糖値の異常を早期発見するためにも定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
■参考文献(すべて2024年08月14日閲覧)※外部サイトに遷移します
[7]一般社団法人日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2024|21章 2型糖尿病の発症予防
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局で栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。栄養指導を行う中で間違った健康情報に振り回されている人が多いことを実感し、危機感を感じていた。その経験から現在は、世の中の人々が間違った健康情報に振り回されることなく、正しい健康情報を入手できるように科学的根拠のある健康情報を分かりやすい言葉で発信するライターとして活動している。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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