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2024.08.23

「記憶力の低下」は加齢よりも「脳の栄養」を疑え|脳トレーナー推奨の「頭に効く」食材&食べ方


脳トレーナー推奨の「脳に効く」食べ物&食べ方とは(写真:RossHelen/PIXTA)

脳トレーナー推奨の「脳に効く」食べ物&食べ方とは(写真:RossHelen/PIXTA)

脳は、複雑でエネルギーを食らう臓器である。体重に占める重量の割合はわずか2%だが、エネルギーは人体に必要な量のなんと2割を消費する。脳への適切な栄養補給は、新しい脳細胞の生成、神経伝達物質の産生、シナプスの形成や維持など、その複雑な機能を支えるために欠かせないことだ。脳が最適なレベルで働くには、正しい方法で栄養を補給する必要がある。『LIMITLESS[拡張版] 超・超加速学習』(東洋経済新報社)を上梓した全米トップ脳トレーナーが、脳に効く食べ物と食べ方を解説する。

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記憶力や集中力を左右する「栄養」

栄養十分な脳は性能が高い。新たな情報にすばやく対応し、的確に判断し、複雑な思考を処理する。

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一方、必要な栄養を欠いた脳は、認知能力が低下し、脳の記憶容量が減り、気分障害や神経変性疾患を発しやすくなる。脳に適切な栄養を与えることで、記憶力や集中力、さらには知的パフォーマンス全般を高められるのだ。

学術誌『ニューロロジー』の2017年の研究で、果物、野菜、全粒穀物、低脂肪のタンパク質をよくとる地中海式食事法を実践している人は、脳全体の萎縮が比較的少ないことが3年間の調査で明らかになった。この研究結果は、栄養豊富な食事が高性能な脳の土台であるという昔からの考えと一致し、またその考えを裏打ちしてもいる。

魚やアマニ油に多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、脳の健康や認知機能を支えていることがわかっている。『カレント・クリニカル・ファーマコロジー』誌に掲載された研究によると、オメガ3系脂肪酸の摂取量を増やしたところ、ごく軽度のアルツハイマー病や大うつ病障害で認知機能に改善が見られたという。オメガ3系脂肪酸には、脳の炎症を鎮めて脳細胞の健康をサポートする働きもあり、食生活におけるオメガ3系脂肪酸の重要性にますます注目が集まっている。

さまざまな果物や野菜に含まれる抗酸化物質は、脳を酸化ストレス──認知機能の低下の原因になりうる有害な作用──から守るうえで重要な役割を果たしている。『米国医師会ジャーナル』掲載の2002年の研究は、ビタミンCとビタミンEの食事からの摂取量を増やすと、アルツハイマー病のリスクを軽減できる可能性があると結論している。

次に、集中力と記憶力、知的パフォーマンスを強化できる食べ物と食事法を見てみよう。例として、ブルーベリーは「ブレインベリー」とも呼ばれるほど、抗酸化物質のフラボノイドを豊富に含んでいる。『アプライド・フィジオロジー・ニュートリション・アンド・メタボリズム』誌に掲載された研究では、ブルーベリーを日常的に食べることで、脳の老化を遅らせられるほか、ワーキングメモリを改善できる可能性もあるとされている。

では、チョコレートはどうだろうか? 注目はやはりダークチョコレートだ。カカオの含有率が高いダークチョコレートには、フラボノイドとカフェインと抗酸化物質が多く含まれている。『アペタイト』誌に発表された研究では、チョコレートの摂取頻度を増やすと、認知能力が有意に向上するとの結果が出ている。

さらにコーヒーの適度な摂取は、そのすばやい活力増強効果のほかにも、脳に明らかなメリットがあることがわかっている。『フロンティアズ・イン・エイジング・ニューロサイエンス』誌掲載の研究によると、コーヒーを長期にわたって飲むことで、アルツハイマー病のリスクを下げられる可能性があるという。

注目される「間欠的断食」とは

また近年、「間欠的断食」が、その脳への健康効果から科学的に注目されている。間欠的断食とは、一日のサイクルに食事をする時間と食事を抜く時間を周期的に挟む食事法のことだ。
『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』誌に発表された研究で、間欠的断食は認知機能を高め、神経変性疾患を予防し、もしかしたら寿命を延ばす可能性もあることが明らかになった。この食事法は、代謝のプロセスを最適化し、脳により健康で効率的なエネルギー源を送る助けとなるようだ。

とはいえ、どんなに強力な食べ物でも、それだけで脳の健康と能力を支えることはできない。大事なのは、オーケストラ並みにさまざまな栄養素を供給してくれる、多様でバランスの取れた食事を心がけることだ。そうした栄養素は、その1つひとつが、人の認知という壮大な協奏曲の1パートを奏でている。だからこそ、食事には果物と野菜、そして低脂肪のタンパク質と全粒穀物がバランス良く含まれていなければならないのだ。

このように、脳の健康と栄養との結びつきを理解することはとても大事だが、一方で栄養はパズルの1ピースにすぎないことも忘れないでほしい。運動、睡眠、ストレス管理など、日常生活のそのほかの要素も、脳の機能を最適に保つには欠かせない。人生のどんなこともそうだが、結局はバランスが重要なのだ。

脳に良い栄養はさながら闇夜に輝く星として、頭脳の最高のパフォーマンスへと続く道を照らし出す。それは脳のエンジンを動かす燃料であり、そのおかげで、人は考え、学び、創造し、世界に有意義な方法で貢献できる。だから、それなくしては脳が死ぬぐらいのつもりで栄養をとろう。

脳に良い栄養を与える簡単5ステップ

脳への栄養の与え方に積極的に注意を払うことは、あなたの潜在力を引き出すための外せない要素だ。脳により良い栄養を与えるためにいますぐできることを、5ステップで紹介しよう。

・ステップ1  水分をこまめにとる

適切な水分補給は、脳を最適な状態で働かせるためにとても重要だ。水分不足は、短期記憶や注意力を損ない、判断力の低下を招くこともある。毎日、8オンス(約240ミリリットル)のコップに最低8杯の水を飲むことを目標とし、個人の活動レベルやニーズに合わせて調整しよう。

・ステップ2  食事の色をカラフルにする

いろいろな色の果物や野菜を食べることで、幅広い植物性栄養素を摂取できる。植物性栄養素には、脳の健康に有効な抗酸化・抗炎症作用をはじめ、数多くの健康効果がある。

・ステップ3  加工食品と添加された糖類を控える

加工食品と添加された糖類(食品の調理・加工段階で加えられる糖類)の多い食事を続けていると、認知機能の低下や神経変性疾患のリスク上昇につながることがわかっている。そうした食品の代わりに、脳に必要な栄養素をふんだんに含む未加工の自然な食べ物を選ぼう。

・ステップ4  腸の健康に気を配る

最近の研究で、腸の健康と脳機能は深く結びついていることが示されている。バナナ、葉物野菜、タマネギ、ニンニク、アーティチョークなど、(腸内の有用菌のエサになる)プレバイオティクスを豊富に含む食べ物と、ヨーグルト、ケフィア、ザワークラウトといったプロバイオティクスが豊富な食べ物を日々の食事に取り入れ、健康な腸マイクロバイオームを育てて、脳の機能を最適な状態まで高めよう。

・ステップ5  マインドフルに食べる

「マインドフルに食べる」とは、自分が食べるものや食べる行為に神経を集中させ、一口ひとくちを味わいながら、体の出すサイン(もっと食べたい、もう満腹だ、など)に耳を澄ませることを言う。この食べ方を実践すると、体に良い食べ物を自然と選ぶようになり、消化能力が上がり、食事をもっと楽しめる。

サプリメントを有効活用する

栄養素は加工されていない食品からとるのがベストだが、食事に制限があったり、特別な健康状態にあったりする場合、サプリメントが助けになるかもしれない。

健康管理の専門家に相談して、サプリメントを摂取しても問題ないかどうか、また自分の脳をケアするのに必要な栄養素はどれかを確認してほしい。

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提供元:「記憶力の低下」は加齢よりも「脳の栄養」を疑え|東洋経済オンライン

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