2024.08.13
災害に備えてやるべきこととは~持ち物リストや持病のある方の注意点も紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。 ※外部サイトに遷移します
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地震、豪雨、台風、大雪など、昨今災害による被害をよく目にしますね。
自然災害はいつ起こるかわからないので、日々の備えがとても重要です。
しかし、なにをどれくらい準備したらよいのかわからない方もいらっしゃいますよね。とくに糖尿病や高血圧症などの持病をお持ちの方は、一般的な備えに加えて薬や食事面で不安を抱える方も多いでしょう。
そこで今回は、もしもの時に備えてやるべきことや、備蓄品のチェックリストを大公開します。東日本大震災を現地で被災した筆者が、「これがあったら便利だったのに!」と思うものについてもご紹介しますよ。
ぜひ、最後までご覧ください。
災害に備えていまできることってなに?
災害に備えて今できることは、何が必要なのかをリストアップして準備することです。
そして準備したものを定期的に点検し、中身を入れ替えることも必要となります。
たとえば、食料品は賞味期限を過ぎていないか、衣類は季節に応じて適切なものが入っているか、などを点検しましょう。
備蓄品の見直しと準備
ここからは、具体的な準備物や量、そして点検の頻度などについてご紹介します。
3日分の食料と飲料の確保をする
災害備蓄として、自宅には3日分の食料と飲料水を準備しましょう。
食料はお湯を入れて待つだけで作れるアルファ化米やレトルト食品、普段から食べ慣れているお菓子類が良いでしょう。
飲料水は大人1人につき1日3L必要といわれているので、家族分を計算して用意すると良いです。
チェックリストを作ろう
3日分の食料や飲料水といっても、種類豊富に揃えると管理が煩雑になります。そこで、チェックリストを作るとよいでしょう。
賞味期限なども記載すると、いざという時に使う際の期限切れが防げます。
参考までに、大人1人あたりの備蓄チェックリストを掲載します。
【大人1人(3日分)の食料備蓄リスト】
(※)アルファ化米とは、お湯や水を入れるだけで食べられるご飯。
また、備蓄と合わせて非常時に持ち出す荷物をまとめておくとよいです。リュックサックに入れておけば、両手がふさがらず動きやすいですよ。
半年に一度は備蓄品の確認をする
各家庭にあわせた備蓄品をリストアップしたら、チェックリストを作成して半年に1回は備蓄品の確認をしましょう。
実際、備蓄品を用意している方で何かしらトラブルがあった方は、全体の1割ほどいらっしゃいます。内容としては、パッケージのへこみや膨張、変色、腐敗などです。
このように、いざ使おうと思ったときに使えなかったという失敗を防ぐためにも、定期的なチェックが必要なのです。
チェックする時期に決まりはないので、自分で取り組みやすい時に行うとよいでしょう。ちなみに、オススメは3月と9月です。3月は東日本大震災が発生した月、9月は防災月間のため忘れにくいですよ。
避難場所や連絡方法を家族で共有
備蓄品の他に準備すべきなのは、避難場所や連絡手段を家族と共有することです。
自宅や職場、学校などいつどこで被災するかわかりません。あらかじめどこへ避難するのかを決めると良いです。
おもに近隣の学校などが避難場所に指定されるケースがほとんどなので、普段から家族で話し合って「自宅が被災したときは〇〇小学校へ」などとし、確認しておきましょう。
また、災害時は回線がパンクするため電話やネットがつながりにくくなります。
その時に使えるのが、「災害用伝言ダイヤル」や「災害用伝言板」です。
これらは回線が混みあっていてもつながりやすいため、安否の確認など最小限の連絡手段に有効です。
詳しくはこちらから(総務省 安全・信頼性の向上|災害用伝言サービス) ※外部サイトに遷移します
事前に家族の安否を知る手段の確認ができていれば、いざという時にも慌てずに行動できますよ。
持病のある人は+αの準備が必要
糖尿病や高血圧症などの持病をお持ちの方は、普段服用している薬とお薬手帳を準備しましょう。
災害発生後は通常通りの物流が難しいため、医療機関を受診できたとしても薬のない場合があります。余裕を持って2週間分程度の薬は常備しておきましょう。いつ災害が起きても薬で困らないよう、自己管理を徹底すると安心ですね。
ちなみにお薬手帳をスマートフォンで管理している方は、バッテリー切れなどを考慮して念のため紙のお薬手帳も準備すると安心です。
また、糖尿病の方は低血糖予防のためにブドウ糖を持ち歩きましょう。
災害時は、車や公共交通機関が使えずに歩くことが増えるので、運動量が増える可能性もあります。すると、通常よりも体内の糖をエネルギーとして使用してしまうために低血糖をおこしてしまうのです。
ブドウ糖は比較的すばやく血糖値をあげてくれるため、冷や汗や手の震え、ふらつきなど低血糖の症状が出た際すぐに摂取できるよう、普段よりも多めに準備するとよいです。
参考記事:低血糖とはどのような症状?~原因や高血糖についてもわかりやすく解説~ ※外部サイトに遷移します
参考記事:糖尿病の方にとってぶどう糖とは~オススメの摂り方も紹介~ ※外部サイトに遷移します
缶詰を備蓄品として使ってもいいの?
非常食として重宝される缶詰も、食べる量に気を付ければ持病のある方でも食べられます。
そもそも缶詰は、保存性を高める目的で塩分濃度が高く設定されているのです。そのため、高血圧に気を付けなければならない方は何缶も食べると塩分の摂り過ぎとなり、血圧が上昇してしまいます。
非常時に缶詰を食べる際は、栄養成分表示をよく見て1回の食事で1缶までとし、中に入っている調味液は残すようにするとよいです。
なお、糖質が気になる方はサバの水煮であれば比較的糖質が低めでオススメです。一方、同じサバを使った缶詰でも味噌煮缶は砂糖を使用しており糖質が高いため、食べる場合は1/2缶までなど、水煮缶よりも量を減らす工夫をしましょう。
参考記事:サバ缶の栄養成分~体に良いと言われる理由についても徹底解説~ ※外部サイトに遷移します
避難先での生活にもご注意
万が一避難所で体調を崩した場合、糖尿病の方は「シックデイ」に注意しましょう。
シックデイとは、発熱や下痢、嘔吐、食欲不振などの症状により血糖値が乱れることです。下痢や嘔吐で脱水症状が出ると、血液中の濃度が上がるため高血糖になったり、食べられないため低血糖になったりします。
体調に異変を感じたら、すぐに避難所のスタッフや医療関係者へ相談しましょう。自己判断で服用している薬を減らす・休薬することは避け、シックデイになった時の対処法を主治医と確認しておくとよいです。
参考記事:シックデイとは?糖尿病との関係と対策をシンプルに解説 ※外部サイトに遷移します
【実録】なくて困ったもの
ここからは、2011年に発生した東日本大震災を宮城県で被災した筆者が、実際になくて困ったものについてご紹介します。
・乾電池(今ならモバイルバッテリー)
当時はスマートフォンよりもガラケーが主流だったので、外出先で携帯電話を充受電する際、乾電池を使用していました。
停電中はとても重宝したのですが、離れて暮らす家族や友人の安否、近隣施設の情報収集に携帯電話を使用することが多く、すぐに乾電池が底をついてしまったのです。
幸い、電気が災害発生後1週間程度で使えたので事なきを得ましたが、普段から充電できるように乾電池の備蓄が必要だと痛感しました。
現代なら、モバイルバッテリーを満タンにして持ち歩くと良いでしょう。
・ボディシートとドライシャンプー
被災後1週間で電気、2週間後に水道は復旧したのですが、ガスが復旧するまではなんと1か月かかりました。(※)
(※)都市ガスの場合。プロパンガスは安全性の確認が取れ次第使用可能だったようです。
調理はガスボンベで対応できましたが、入浴が非常に困ったのを今でも記憶しています。
やかんでお湯を沸かしタオルを濡らして拭いていましたが、爽快感が物足りなく頭も洗えないため不快でした。
ボディーシートやドライシャンプーがあれば、当時の不快感を少しは和らげたのかなとも思います。
・ガソリン
ニュースにもなっていましたが、大震災発生後はガソリンスタンドにガソリンを求める車が長蛇の列を作っていました。私は、ちょうど被災前に車のガソリンを給油し忘れており、車が思うように使えなかったのです。
そのため、自転車で食料品の買い出しや断水中に給水所まで水をくみに行っていました。車を使えれば、行動範囲が広がるだけでなくスマホなどの充電も可能です。
いざという時のためにも、給油メーターが半分を切る前に給油すべきだと学びました。
あると便利だったもの3選
・現金
地震発生後は停電により店のレジが使えないため、現金のみの会計でした。備蓄品がなくなりそうになり、買い出しにいくこともあったため、まとまった金額の現金を持っていたのは不幸中の幸いでした。
現代は、当時よりもキャッシュレス決済がすすんでおり、普段は現金を持ち歩かないという方も多いでしょう。
もしもの時には普段使っている決済方法が使えないことを想定して、ある程度まとまった金額の現金を用意しておくと、安心ですよ。
・ラップやアルミホイル
断水で水が使えなかった時、皿にラップをひいて食事をしていました。皿が汚れないので、食べ終わったらラップを外すだけと、非常に簡単です。
またフライパンにアルミホイルをひけば、調理の際にフライパンが汚れずにすみます。
ごみは増えますが、水が使えない中でこの2つはなくてはならないアイテムでした。普段から予備を買っておくのがオススメです。
・ラジオ
停電でテレビが見られない状況の中、ラジオは情報収集の手段として大活躍しました。周辺地域の被災状況やスーパーの開店状況など、リアルタイムにほしい情報が手に入ります。
ちなみに、最近ではネットを介してラジオを聞く方も多いですが、ぜひ乾電池を入れて使うようなアナログのラジオも用意しておきましょう。
まとめ
いつ、どこで起こるかわからない災害に備え、私たちがいまできるのは食料や飲用水、衛生用品などの備蓄品を準備して、定期的に中身をチェックすることです。
チェックするタイミングは、3月(東日本大震災)と9月(防災月間)にすると忘れにくいですよ。
持病をお持ちの方は薬のストックを用意したり、食事面で配慮が必要な方は対処法をあらかじめ確認することも忘れず行いましょう。
また、後半は東日本大震災での被災経験からお話しましたが、お伝えしたいことはまだ沢山あります。ぜひみなさんも、普段から防災について意識し情報を得るように努めていただきたいです。
それでは、当記事の情報があなたの「もしも」のときに役立てれば幸いです。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
首相官邸 災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~
独立行政法人国民生活センター 災害に備えた食品の備蓄に関する実態調査
執筆者:管理栄養士 松原知香
宮城学院女子大学食品栄養学科卒業。卒業後、食品メーカーにて医師や管理栄養士などに向けた流動食・介護食の営業に従事。退職後は管理栄養士ライターとして活動。その中で、医療や栄養に関する情報は正確であるほど難しく、理解しづらい内容で発信されている現状を目の当たりにする。「いつまでも健康でありたい全ての方へ、根拠ある情報をわかりやすく届けたい」という思いから、シンクヘルス株式会社に入社。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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提供元:災害に備えてやるべきこととは~持ち物リストや持病のある方の注意点も紹介~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】