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2024.04.17

カロリー削れば太らないと頑張る人を裏切る真実|エネルギーが過剰だから体脂肪が蓄積するのではない


一般的に「カロリーを削れば太らない」と思われているかもしれないが、これには落とし穴がある(写真:freeangle/PIXTA)

一般的に「カロリーを削れば太らない」と思われているかもしれないが、これには落とし穴がある(写真:freeangle/PIXTA)

カロリーを削れば太らない。一般的にはそのように思われているかもしれない。ただ、これには落とし穴がある。全米シリーズ100万部、医学界の定説を覆したと評される『糖脂肪』より一部抜粋、再構成してお届けする。

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糖尿病は「カロリー」とは関係ない

「食事量を減らしましょう」「カロリーを減らしましょう」「食べる量に気をつけましょう」

減量のためのアドバイスとして、これまでの50年間、繰り返しこう言われてきた。

だが、これほど肥満がまん延している現状を目の当たりにすれば、このアドバイスこそが大災害であったといえるだろう。カロリーを減らそうというアドバイスが繰り返されるのは、体重が増えてしまう原因を誤って理解しているからだ。

なぜ肥満になるのだろう。私たちは立ち止まってこの根本的な問題を考えてみようとはしない。答えならとっくに知っていると思いこんでいるからだ。

わかりきったことじゃないか、と誰もが思っている。カロリーを摂りすぎると肥満になる。消費するカロリーよりも多くのカロリーを摂ると体重が増える。こうしたエネルギーバランスの法則を、私たちは子どもの頃から刷り込まれてきた。

・脂肪の蓄積=摂取カロリー — 消費カロリー

この50年、「減量するにはまずカロリー摂取を控えること」というアドバイスが行われてきた。特に、カロリーの高い脂質を制限するように言われてきた。カロリー摂取を控えて体重を減らすために、「肉、バター、チーズ、ナッツなど脂質を多く含んだ食品を減らさなければいけない」と言われてきたのだ。

食品のガイドラインや食事バランスガイドが作られ、新しく提唱された低カロリー神話を子どもにも浸透させるために、このバランスに則ったお子様ランチが作られたりした。「カロリーを控えよう」と誰もが言う。「食事量を減らし、運動量を増やそう」とみなが口を揃えて言う。

栄養成分表示にカロリー数を明記することも義務づけられた。正確にカロリーを計算できるソフトやアプリも開発された。いま自分がどのくらいのカロリーを燃焼させているかを正確に測ることのできる、『Fitbit』のような小さな装置も発明された。

私たちはレーザービームのように創造力をカロリーという一点に集中させ、道路を渡ろうとする亀のように根気強くカロリーを減らしてきた。

その結果どうなっただろうか。暑い夏の日の朝霧が晴れていくように、肥満問題は消えていっただろうか。

答えは「ノー」だ。カロリーを減らせばいいというアドバイスの根底にあった前提は、エネルギー摂取(カロリー摂取)とエネルギー消費(カロリー消費)と脂肪の蓄積は、それぞれが独立した変数であり、意識的にコントロールすることができる、というものだ。

「私たちの体を正常な状態に保つために使われるカロリーは、つねに一定で変わらない」という仮定のもとに考えられたアドバイスだ。

だが、これは誤りである。

基礎代謝率は「40%」も上下する

じつは、体は基礎代謝率──心臓の拍動、肺の呼吸、腎臓や肝臓の解毒作用、脳による思考、体熱の発生などに必要なエネルギー──を40%も上げたり下げたりして調節することができる。摂取カロリーを減らしても、体がカロリーの消費を抑えようとして活動が鈍くなるだけで、体重が減るわけではない。

さらに、摂取カロリーと消費カロリーの差が体脂肪になるという考え方は、重複して働く満腹ホルモンや飢餓ホルモンの働きをまったく考慮に入れていない。

私たちは何をいつ食べるかを自分で決めることはできても、空腹を感じることをやめることはできない。いつカロリーを燃やして体熱を発生させ、いつカロリーを脂肪として蓄積するかを自分で決めることはできない。

それを決めるのはホルモンだ。だから、「まずはカロリーを減らそう」というアドバイスでは、私たちがどんなに頑張ったところで効果は出ないのだ。

1970年代に始まった2型糖尿病の嵐は、それから40年経ったいま、猛烈なハリケーンとなって世界中をのみこみ、疾患と障害を広めている。

脂質とカロリーを減らそうという輝かしいアドバイスを尻目に、これほど急速に肥満が広がったのはなぜなのか。考えられる可能性はふたつしかない。

アドバイスはよかったのに、人々がそれに従わなかったのか。それとも、たんにアドバイスが間違っていたのか。

やる気はあるが体が言うことをきかない──あるいは、夢はあるがやる気がない──という考えは、溺れている人に笑えと言うのと同じくらい馬鹿げた話だ。

世界的な肥満のまん延は、たんに世界中の人たちが突然、同時に、申し合わせたかのように意志薄弱になったから、とでも言うのだろうか。

車の通行が左側か右側かでさえ統一されていないこの世界で、世界中の人が一斉に食事量を増やし運動量を減らして太ろうとしたとでも?

これでは“被害者非難”を繰り返すだけだ。アドバイスを与えた側を「アドバイスが悪い」と非難するのではなく、アドバイスを受けた側に「アドバイスはいいのだから、それに従わないのが悪い」と責任を転嫁しているだけである。

何ら科学的根拠がないのにカロリー制限法には問題がないと宣言することで、医者や栄養学者たちは非難の矛先が自分たちに向かないようにしたのだ。こうなったのは自分たちの責任ではない。あなたの責任なのだ、と。アドバイスは間違っていない。それにあなたが従わないだけなのだ、と。

彼らがこのゲームを好むのも当然だ。これまで自分たちが述べてきた肥満に関する高尚な論理が間違いだったと認めるのは、心理的に難しいだろう。

だが、カロリー制限法がどのくらい有効かといえば、「頭の禿げた人に髪をとかせと言うのに等しい」ようなエビデンスがいくつもある。

7年以上カロリーを厳しく削って減った体重は?

これまで行われた研究のなかで最も大規模で重要な栄養学研究といえば「女性の健康イニシアチブ」だ。これは約5万人の女性を対象に行われたランダム化試験で、低脂質、低カロリーの食事療法が減量に効果があるかどうかを確かめるものだった。

減量させるのが目的ではないものの、一方の被験者グループの女性には一日に摂るカロリーを342キロカロリー減らし、運動量を10%増やすよう、徹底的なカウンセリングが行われた。カロリー計算によると、1年でおよそ15キロ減るはずだ。

1997年時点の結果は惨憺たるものだった。被験者は指示をよく守り、7年以上もカロリー計算を続けていたにもかかわらず、体重はまったく減っていなかったのだ。ほんの500グラムさえも。

この結果は衝撃的で、「カロリーの摂りすぎが肥満のもとだ」という理論を厳しく批判するものとなった。カロリーを減らしても、体重は減らなかったのだ。

とるべき道はふたつにひとつだ。お金のかかる研究を行ってやっと得られた科学的なエビデンスを信じて、確実で正しい肥満の理論を導き出すか。それとも、科学を無視して、従来の考え方や偏見を信じつづける道を選ぶか。

後者を選ぶのであれば、何の苦労もないし想像力が試されることもない。かくして、この画期的な研究の結果はほぼ忘れ去られ、栄養学の歴史においては取るに足らないものとされた。それ以降、私たちは、肥満と2型糖尿病の患者が爆発的に増えるという報いを受けてきたのである。

カロリー制限をしても99.4%の確率で減量に失敗する

実際の臨床場面でも、これが大失敗であることを裏づける結果ばかりだった。

減量のためにカロリー摂取を制限するという従来の方法の失敗率は99.4%と試算された。病的な肥満の人の場合、失敗率は99.9%におよんだ。この数字をみてもダイエット業界の人は特に驚きもしなかったし、減量しようとしたことがある人も驚くことはなかった。

摂取カロリーと消費カロリーの差が体脂肪になるという理論は、直感的に正しいような気がするために広く信じられた。だが、腐ったメロンのように、この理論も外側の皮をむけば中は腐っている。

単純化されすぎたこの理論は、誤った想定に基づいている。最も大きな誤りは「基礎代謝率、あるいは消費カロリーはつねに一定である」という想定だ。実際は、摂取カロリーを40%減らすと、すぐに基礎代謝率が40%減る。結果として、体重は減らない。

「体重は意識的にコントロールできる」というのも誤った想定だ。

人間の身体機能はどれも意識的にコントロールすることはできない。甲状腺、副甲状腺、交感神経、副交感神経、呼吸、血液の循環、肝臓、腎臓、消化管、副腎などの働きはすべて、ホルモンによって緻密にコントロールされている。体重や体脂肪率もホルモンによって厳格にコントロールされている。

実際、人間の体には体重をコントロールするために重層的に働くシステムがいくつもある。自然界で生き延びるのに最も大切なもののひとつである体脂肪を決定づけるのが、私たちが気まぐれで口にする食べ物だけであるはずがない。

ホルモンが空腹感をコントロールしている。つまり、ホルモンがいつ食べ、いつ食べるのをやめるかを体に伝えている。

「グレリン」は空腹を感じさせる強力なホルモンで、「コレシストキニン」「ペプチドYY」は満腹を感じさせて食べるのをやめるよう体に伝えるホルモンだ。

食べ放題のビュッフェにいるところを想像してみるといい。あなたはすでに山盛りの料理を何皿も食べていて、お腹は110%満たされている。

このとき、ポーク・チョップをあといくつか食べられるだろうか。そのことを考えただけで胸やけがするのではないだろうか。数分前に美味しいと思って食べたのと同じポーク・チョップなのに。

この違いは、満腹ホルモンが分泌されて食べるのをやめさせようとしているから生まれたのだ。人間は食べ物が目の前にあるかぎり食べつづけてしまうと思われているが、実際はそうはいかない。摂取カロリーはホルモンによって厳格にコントロールされている。

体脂肪が蓄積する本当の理由

体脂肪の蓄積は、じつはエネルギーが過剰であるから起こる問題ではない。「エネルギーの配分の問題」だ。

体熱を発生させたり、新しい骨組織を作ったりするエネルギーよりも、脂肪としてためこむエネルギーが多すぎることが問題なのだ。そして、何にエネルギーを使うかもホルモンによってコントロールされている。

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「カロリーの摂りすぎが肥満を招く」という間違った考えを信じているかぎり、カロリーを無駄に減らしては失敗することを繰り返すだけだ。

私たちは、空腹を感じないでおこうと決めることはできない。基礎代謝率を増やそうと決めることはできない。摂取カロリーを減らせば、体は代謝率を下げて不足分を節約するだけだ。

脂肪の蓄積や体重の増加をコントロールするうえで最も重要なのは、何を食べるかによって変わるホルモン信号をコントロールすることだ。カロリー数ではない。

肥満はホルモンのバランスが崩れることで起こるのであり、カロリーのバランスが悪いから起こるのではない。体重が増えすぎてしまうのはどのホルモンに原因があるかといえば、おもに過剰に分泌される「インスリン」だ。

これと同じように、2型糖尿病もカロリーのバランスが悪いためではなく、インスリンのバランスが悪いために起こる疾患である。

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提供元:カロリー削れば太らないと頑張る人を裏切る真実|東洋経済オンライン

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