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2024.03.27

視力や認知機能低下より怖い交通事故になる要因|交通事故率を下げる簡単トレーニングを紹介


交通事故率を下げる簡単トレーニングをご紹介(写真:mapo/PIXTA)

交通事故率を下げる簡単トレーニングをご紹介(写真:mapo/PIXTA)

近年高齢者の交通事故が注目されていますが、実は交通事故の発生には視力や認知機能とも異なる“ある指標”が関係しているのです。

世界で唯一<科学的効果>が証明された認知症予防法「脳知覚トレーニング」を紹介する『1日3分見るだけで認知症が予防できるドリル』の著者であり眼科医の平松類先生に、詳しく話を聞きました。

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海外と日本では視力の基準が違う

運転免許の更新に行くときに視力検査を受けます。普通免許であれば視力が矯正視力で0.7以上両眼であればいいです。正確にはそれぞれの目が視力0.3以上で両眼視力が0.7以上となります。もし片方の目が0.3以下の場合はもう片方の視野が150度以上あって見えていれば運転免許の取得が可能です。

これだけ数値がでているので、この視力の基準にはさも科学的な証明がされているのだろうと思われがちですが、そうでもありません。その証拠に視力が0.7というのが日本ですが海外では違います。国によってさまざまですがヨーロッパやアメリカでは視力が0.5以上あればよいという国が多いです。

ではヨーロッパのほうに行けば事故が増えるのかというとそうでもありません。視力が0.5と0.7となればだいぶ違いますがなぜそれでも事故率は変わらないのでしょうか?

視力が多少下がっても交通事故の確率はあまり上がらないということがわかっています。もちろん視力が0.1以下になるというように極端な場合は別です。そして視力が0.7と1.0でも事故率はあまり変わりません。むしろ日本は海外と比較して視力の基準は厳しいほうとなっています。

ちなみに視力の表示は海外では0.5という表記をしないで10/20というように表記します。視力1.0であれば20/20という表記です。このように国によって違うのですが慣習的に日本では視力が0.7となっているのが現状です。

認知機能検査なら事故に関連するのか?

近年高齢者の交通事故が注目され、その対策として認知機能検査が行われるようになってきました。認知症の高齢者が高速道路で逆走した事件、コンビニエンスストアに突っ込んでいった事件など記憶に新しい人もいると思います。

「最近高齢者は交通事故を起こすようになったな」と思われるでしょう。しかし実際は高齢者の交通事故率は減少しています。一方で高齢者数が増えたために交通事故数が増えています。明らかに以前の高齢者より安全運転なのですが、ただ人が増えたから対処しているというのが現状です。

認知機能検査は視力検査と比較すると交通事故の発生を予測できるということがわかっています。しかし認知機能というのは事故との関連はやや低くなります。物の名前を覚えているなどということは確かに記憶や生活には大切なのですが忘れっぽいことと事故の発生の間には開きが出てしまうからです。

そこで事故との関連が示されているのが有効視野という指標です。有効視野とは見える範囲視野を有効に使えている範囲です。まず医学的に言う視野とは片目で見て目を動かさずに見える範囲を言います。

例えば左目を閉じて右目だけで見る。まっすぐ見たままどのぐらいの範囲が見えるのか?というものです。鼻側はよく見えない一方で耳側はよく見えているという感じになります。年齢により多少視野は狭くなるものの大きくは変わらないという特徴があります。そのため視野が狭くなったときというのは病気など医療のアプローチが必要な可能性が高くなります。

一般に言う視野は、「両目を開けてどのぐらい見えているのか?」を指します。「あの人は視野が広い」というのは両目を開けて普通に生活をしているときにどの範囲まで見えて判断できているのか?ということです。そのため目を動かすということも許容している状態です。

有効視野というのはこの間のようなものです。目の機能を測るための厳しい指標というわけでもなく、実践的ゆえにあいまいなものでもないものです。具体的には両目を開けてまっすぐ見る。そして真ん中をちゃんと見た状態でそのまま周りがどのぐらい認識できるか?ということです。

「見えるか?」ではなくて「認識できるか?」です。検査であれば周辺にあるものが何かわからなくても「何かある」とわかるだけでよいです。でも現実世界では運転をしているときに周辺から何かが来た。それがビニール袋なら回避行動をしてハンドルを切るほうがむしろ危険です。

一方で周辺から来たものが人間ならば必ず回避行動をしてハンドルを切らなければいけません。なので「何となく見える」ではなくて「認識できる」範囲、つまり有効に使えている範囲を有効視野と言います。

有効視野は視力や認知機能検査のMMSEという有名な検査と比較しても事故の可能性を言い当てます(※1)。まっすぐ見ながら周辺から何か出てくるという場面こそが事故で多いからです。有効視野が広ければ事故を避ける行動がとれます。通常の視野と異なり、有効視野は年齢によって狭くなります。だからこそ若い人より高齢者のほうが事故を起こしやすくなるわけです。

ではなぜ高齢者で有効視野が狭くなってしまうのか? それは加齢以外での有効視野が狭くなる場面を見れば理由がわかります。

緊張すると視野が狭くなる

有効視野は緊張するような場面、はたまた込み入った状況で狭くなります。例えば、初めて運転する道路や標識がわかりにくい道だと緊張してしまい有効視野が狭くなります。どこで曲がればいいのかと探りながら運転しているような状況も有効視野が狭くなるわけです。

さらには交差点で右折をするというような込み入った状況も有効視野を狭くします。信号の移り変わりを見なければいけない。対向車が来ているかを見る。赤信号になったからといって歩行者が必ずいなくなったとは限らずそれを確認して右折をする。

これだけ込み入った状況であれば多くの場所に意識を集中しなければいけません。結果として有効視野が狭くなり、ふいに直進でスピードを出してきたバイクと衝突するというようなことが起こります。

高齢になれば緊張して、自分のコントロールが難しくなります。脳の処理能力の低下があるために結果として有効視野が狭くなります。ではどうすればいいのかというと有効視野を広げるような訓練をすることで視野が広くなり、脳の処理能力が上がるのです。実際に、有効視野を広げることで交通事故率を下げるだけではなく、認知症の予防となりうるという研究データもあります(※2)。

では実際にやってみていただければと思います。

実際に「脳知覚トレーニング」をやってみよう

やり方を説明します。まずは次のクイズを読んでください。

Q1 赤の円上で1つだけ違うマークは、A~Dのどのゾーンにある?

Q2 赤の円上で1つだけ違うマークは、何のマーク?

Q3 緑の円上で1つだけ違うマークは、A~Dのどのゾーンにある?

次に目と写真の距離を20cmに近づけます。

『1日3分見るだけで認知症が予防できるドリル』より引用

『1日3分見るだけで認知症が予防できるドリル』より引用

画像中央にある「LOOK!」を両目で見て、そこから視線を動かさないで周りのマークを見ます。そしてクイズに答えます。つい視線をずらしたくなるかもしれませんが、それでも大丈夫です。その後でもう一度、真ん中を見て周りのマークを確認してみてください。答えがわかるかどうかではなくて、判別しようとすることが大切です。

余裕がある人は、各円の違うマークがあるゾーンをパッと素早く判別してみましょう。スピードを意識すると、より効果的です(体調に異変を感じたら、直ちに中断してください)。

クイズの答え Q1:D、Q2:ぶどう、Q3:A

(※1) NeuroRehabilitation. 2014;35(4):771-8
(※2) Alzheimers Dement 2017603-611

記事画像

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記事画像

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提供元:視力や認知機能低下より怖い交通事故になる要因|東洋経済オンライン

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