2024.03.11
癖になった「痛みのある施術」を続けてはいけない|「痛い=効果がある」と思うのは幻想だ
(写真:Luce/PIXTA)
疲れや体のコリを解消するために、マッサージなどの施術を受ける方もいるでしょう。その際に注意したいのが、痛みがないと効果がないと思い、いつしか痛みが癖になってしまうことです。本稿では整骨院を経営する柔道整復師の福嶋尊氏の著作『すべての悩みはストレッチで解決できる』より一部抜粋・再構成のうえ、正しい施術の受け方をご紹介します。
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痛みが快感になっていないか?
マッサージや整体などで痛みを感じるケースがあります。実際に通っている方は、その痛みを体験されているでしょうし、それが快感になっている方もいるはずです。
ただ「痛いから効いている」という指標を持ってしまうのは要注意です。
「痛い=身体によい」という認識は、必ずしも正しいわけではありません。そのような痛みがある施術は、それが「癖」になったりするリスクがあります。痛みのある治療に依存していないか、一度振り返ってみてください。
実際のところ、バラエティ番組の痛いマッサージという罰ゲームなど、エンターテインメントの側面から「痛い=効く」という誤った印象が広まった面はあります。
さらに、SNSや動画サイトが普及し、痛みを伴う施術の様子が、より多くの人の目に触れるようになりました。その結果、いまは痛み自体が効果のレベルを示している、と捉えられがちになっています。
けれど「痛い=身体によい」というと、ちょっとおかしい気がしてきませんか?
そもそも痛みは、身体が異常や負荷を感じているサインであり、それを無視して施術を続けることは、問題を引き起こす可能性があります。痛みはあくまで症状です。痛い施術を受けただけで安心してしまうと、その背後にある体調不良の根本的な原因を見落としてしまうかもしれません。
しかも、強い施術を続けると身体がその痛みに慣れてしまい、刺激を不十分に感じるようになります。最初の痛みが快感と結びついてしまった結果、より強い刺激を求めるようになり、痛みに対する依存や癖につながるのです。
これを防ぐためには、痛みの原因をしっかりと理解し、適切なストレッチをおこないつつ、身体のメカニズムを知っていくことが大切です。日常的に自分自身でストレッチをおこない、身体の状態に気を配ると、身体の辛さや症状を施術者に正しく伝えることができるので、自分に合ったマッサージを受けることができます。
ストレッチを通じて自己管理していけば、一度のマッサージでその効果を最大限に受けることができるでしょう。
痛みとはそもそも警告信号である
痛い治療を求めるのではなく、健康的な身体を取り戻すためにどうすればいいかという、もともとの目的を思い出してください。痛みが警告信号であることを認識したうえで、施術に対するアプローチを見直してみましょう。痛みを感じるかどうかは、身体のどの部分が不調なのかを意識できるポイントです。いろいろな箇所のストレッチをおこなえば、身体のガタガタな部分を見つけることができますね。
ストレッチも、痛みを伴わない範囲でおこなうべきです。「身体の各部分の可動性を高める」「筋肉の緊張を和らげる」ということが本来のストレッチの目的で、痛みを感じるようなら、マッサージに通ってプロに診てもらうのがいいでしょう。
とにかく、ストレッチにも痛みを求めるようになるのが、いちばんマズいことです。痛みを強く感じることで効果があると信じ込んでしまうと、ストレッチでも同じように、痛くなるまで身体を動かすようになってしまいます。
それではかえって健康を損ね、時には身体を傷つける原因にもなりかねません。ストレッチは身体のバランスを整え、柔軟性を向上させるものです。
痛くないストレッチを日常生活に取り入れよう
痛くないストレッチ、身体に負担を掛けないストレッチを日常生活に取り入れることによって、身体は自然とバランスのよい状態を保てるようになり、痛みを生じさせるような極端な負荷から解放されます。
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さらに、ストレッチや適切な施術を通じて、身体が発するサインを読み取れるようになれば、痛みの原因を特定し、それに対応する適切な手段を選ぶこともできます。
「痛いストレッチを避ける」のも大事ですが「痛みを取り除くこと」が本来の目的です。さらに進めば、身体の痛みを取ることは最終目的ではなくなります。
ストレッチの最終目標は、身体全体のバランスを保ち、健康になることです。痛みに対する誤った考え方を捨てることで、癖になる施術を避けることができます。
健康的なライフスタイルを継続するために、身体と心のバランスを取りつつ、自己管理のスキルを高めていきましょう。
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提供元:癖になった「痛みのある施術」を続けてはいけない|東洋経済オンライン