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2023.09.20

暑さ続く9月「夏の疲れ」癒やす究極の食材・レシピ|体にこもった「熱」を冷ます身近な野菜とは?


9月になっても暑さが続きます。夏の疲れを癒やす食材やレシピをご紹介します(写真:tamotsu okuno/PIXTA)

9月になっても暑さが続きます。夏の疲れを癒やす食材やレシピをご紹介します(写真:tamotsu okuno/PIXTA)

今年の夏は異常に暑かったこともあり、例年よりも体調を崩す人が多いです。典型的な夏バテ症状であるだるい、食欲がないなどの症状以外にも、めまいや吐き気、頭痛など、自律神経失調による深刻な症状を訴える人もいました。

記録的な暑さのピークは過ぎたとはいえ、まだまだ暑さは続くようです。9月に入ってからも夏バテの相談が増えており、例年より長く続くことが予想されます。

漢方では「暑邪」が原因

夏は暑い季節ですが、その人の限界を超えて“体に「熱」をこもらせるような暑さ”のことを、漢方では「暑邪(しょじゃ)」といいます。

暑邪により炎症が起きやすくなったり、体に必要な水分が不足しやすくなったりします。例えるなら、鍋に入れた水が強すぎる火力でどんどん蒸発し、空焚きになったような状態です。それが体の中で起きてくるのです。今年は記録的な暑さでしたので、急激にそのような状態になり、症状も深刻になりがちでした。

夏バテは夏の盛りを過ぎてから起こりやすいので、これからの対策、睡眠、食事、入浴など生活習慣を整える「養生」が重要になってきます。

特に食べ方や食べるものなどを整える「食養生」は重要です。そこで今回は、暑邪で起こるさまざまな夏バテ症状を乗り切るための食材やレシピを紹介したいと思います。

意外かもしれませんが、夏バテで大事なのは「食べすぎないこと」です。
バテ気味になると元気をつけようとして、食欲がなくても無理して食べ物を胃に詰め込んでいませんか。

疲れた胃腸に消化が悪いものをたくさん詰め込むことは、夏バテを助長します。詰め込んだ結果、消化不良で下痢をするか、便秘をして体内に熱をこもらせるか。どちらにしてもいいことはありません。

食欲がないときは、お粥など温かくて消化のいいメニューにするか、具のない味噌汁やスープのような胃に負担のかからないものにします。そうして胃腸を休めてあげると、次の食事には食欲が出てきます。

夏は少し痩せてもいいのだと割り切り、食欲があっても「もう少し食べたいな」と思うところでおしまいにしましょう。

料理の温度も重要です。体温より冷たいものは、体に大きな負担をかけます。体内で温めなくてはならないので、体のエネルギーである「気」を消耗してしまうのです。

夏バテ解消食材は「苦瓜」

夏が旬の苦瓜は、清熱作用(体を冷やす作用)が強く、解毒作用があり、夏バテの解消に有効な食材です。清熱作用により、体のさまざまな炎症を抑える働きもあるといわれています。

炎症は「熱」による代表的な症状で、「熱毒(熱による毒)」と考えられています。苦瓜はそんな熱毒を排出します。

沖縄料理で代表的なゴーヤチャンプルーは、暑い時期を元気に過ごすために欠かせないレシピです。かつて日本では沖縄以外の地域では流通していなかったようですが、もはやこの暑さでは日本国中どこでも必須の食材になったといえるでしょう。

栄養面ではビタミン、ミネラルが豊富です。独特な苦味成分はモモルデシンといい、20種類以上ものアミノ酸からなります。胃腸を刺激して消化液の分泌を促したり、粘膜の状態を整えたりする働きがあります。この苦味成分モモルデシンは、皮に含まれているそうです。

余談ですが、筆者はこれまでゴーヤの苦味のもとはワタにあると聞いたことがあり、ワタを取って食べていましたが、実はワタや種にはビタミンCが果肉より多く含まれているようです。そのことを知ってからは、ワタはなるべく残して調理するようにしています。

実はワタや種も栄養価が高い苦瓜(ゴーヤ)(写真:shige hattori/PIXTA)

実はワタや種も栄養価が高い苦瓜(ゴーヤ)(写真:shige hattori/PIXTA)

暑邪は、五臓の「心」を攻撃しやすい特徴があります。「心」は心臓を含む循環器、血管、さらに精神活動も含みます。暑さで心が過熱状態になると、動悸や息切れがひどくなったり、焦燥感に駆られてキレやすくなったりといった症状につながります。漢方ではこれらはすべて「心の熱」が原因と考えています。

このようなときには、過熱した心をクールダウンする必要があります。

実は、苦い味の食べ物は五臓の「心」を冷やし炎症を抑えるとされています。ですので、漢方では夏は苦味のある食べ物がすすめられているのです。そういう意味でも、苦瓜は暑邪でやられた体に、ぴったりの食材だといえるでしょう。

苦瓜は体をとても冷やす食材なので、寒い時期や冷え性の方は食べすぎに注意です。また、以下のような人はゴーヤを控えめにしたほうがいいかもしれません。

・冷え性の人・低血糖の人・妊娠中の人

苦瓜で体調を崩すといえば、以前、健康によいからと冬の寒い時期に毎日1本苦瓜を食べていた患者さんがいました。この方は、冷えて下痢が止まらなくなって来院されましたが、げっそりされていて見るからに体調が悪そうでした。結局、苦瓜を控えることをアドバイスしたら、下痢症状も治まり、すっかり元気になられましたが、清熱作用の強い苦瓜は、旬の暑い時期に適度に食べるのがいいでしょう。

食養生にもなる苦瓜レシピ

ここで苦瓜を使った料理を1つご紹介します。沖縄の伝統的料理であるゴーヤチャンプルーではなく、簡単に作り置きできる佃煮です。酸、苦、甘、辛、鹹(塩)の五味がすべて入った、食養生としても申し分ないレシピです。

苦瓜の佃煮

■材料(2~3人分)

苦瓜 1本
砂糖 大さじ1~3(糖質を制限している場合は少なめにするか、ラカントに換えても可)
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
酢 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
かつお節 大さじ1
鷹の爪の輪切り ひとつまみ
白煎りごま 好みの量

■作り方

苦瓜を5ミリ厚に輪切りにする(ワタや種はなるべく残したほうがいいが、種が硬いようなら取る)
調味料を入れて、汁がなくなるまで弱火で20分程度煮詰める
火から下ろしたら、かつお節とごま、鷹の爪をまぶす

このレシピは簡単で、1週間くらい保存がききます。もっと長く保存したいときはジップロックなどの保存容器に入れ、空気を抜いた状態で冷凍しておきましょう。自然解凍で美味しく食べられます。お弁当に入れても美味しく、食べると胃がスッキリするような感覚を得られます。

「夏バテ解消にはうなぎ」と考えがちですが、実はうなぎには脂が多く、胃腸が元気であれば消化吸収できますが、暑さで疲れた胃には適さないようです。

毎年、夏にうなぎや焼肉で具合が悪くなり、駆け込んでくる患者さんがいらっしゃいますが、元気になろうとして「スタミナがつく」といわれる料理を食べた結果、消化不良を起こしてしまうのが原因です。

でも、あのタレの香りで元気になる気がする……という方におすすめなのが、穴子です。穴子はうなぎと見た目が似ていますが、脂質は半分程度で、あっさりとした食感が特徴です。うなぎと比べるとビタミンAをはじめとする栄養素の含有量は劣りますが、疲れた胃腸にはちょうどいいのではないでしょうか。

穴子の炊き込みご飯

■材料(2~3人分)

米 2合
酒 大さじ2
しょうゆ 大さじ2
穴子蒲焼き(売っているもの) 1匹
しょうが 一かけ(親指一節大)

■作り方

洗った米、酒、しょうゆを炊飯釜に入れ、水を2合分目盛りまで入れる
食べやすい大きさ(5ミリ程度)に切った穴子、千切りにした生姜を炊飯釜に入れる
炊飯器で炊く(炊き込みモードがなければ通常、あるいは白米モードでOK)

スパイスの力で胃を動かす

最後は食欲がまったく出ず、「このままでは夏バテしそう」というときのレシピを紹介します。

食欲が出ないときは、まず胃腸を休めるのが重要です。その後、少しずつ消化のいいお粥やスープなどでウオーミングアップし、徐々に食べる量を増やしていきます。そこで役立つのがスパイス。消化力が復活しやすくなります。

夏バテ以外にも、胃の気が不足している状態である病後や手術後にもよいレシピです。

使う緑豆は、消化力が程々にあるときは皮付きでいいですが、弱り切っているときは皮なしを使うといいでしょう。クミンやターメリックはスーパーのスパイス売り場にたいてい置いてありますが、なければカレー粉で代用しても結構です。

緑豆のカレー

■材料(2人分)

緑豆(皮なし) 半カップ
水 2カップ
塩 小さじ1
クミンパウダー 小さじ1
ターメリックパウダー 小さじ

■作り方

水に洗った緑豆を入れ、火にかける
緑豆が煮崩れるまで弱火で30分~1時間程度煮込む
最後にスパイスを入れ、さらに5分程度煮込む

緑豆(ムング豆)のカレーは元気なときに食べても美味しいメニューです。私自身もたまに作っていますが、皮なし緑豆は何時間も水に浸けておかなくてもいいので、思い立ったらすぐに作ることができます。

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提供元:暑さ続く9月「夏の疲れ」癒やす究極の食材・レシピ|東洋経済オンライン

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