2023.08.03
マンゴーの栄養と驚くべき効能~健康増進の効果を含めポイント解説~
当記事を監修した専門家:管理栄養士 大熊麻未、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
世界三大フルーツの1つであるマンゴー。
濃厚な甘さととろけるような食感は、まさに完成されたスイーツそのもの。マンゴーの唯一無二の味わいは、一度食べたら誰もがとりこになるはずです。
さて熱帯地域の国々では、マンゴーを果物として食べるだけでなく、葉を野菜のように食べたり染料として利用することもあるとか。
南国のイメージが強いマンゴーですが、近年ではなんと北海道でも温泉熱を利用して栽培されているのですよ。
ということで今回は、マンゴーの栄養成分と効果効能について詳しく解説していきます。どうぞ最後までお付き合いください。
マンゴーの栄養成分と効果効能
さっそく、マンゴーの栄養と効能について見ていきましょう。
若返りには「ビタミンE」
ビタミンEは体内の酸化を防ぐ働き(抗酸化作用)をもつ栄養素です。
酸化することで加齢とともに発症しやすい病気の予防、例えば動脈硬化や血栓症、そして血圧の低下などに役立つことから「若返りのビタミン」と呼ばれることもあります。
またビタミンEには血行を促したり、肌の新陳代謝を活発にする働きもあるため、アンチエイジングや美肌をうたう商品によく配合されています。
そのため、ビタミンEが不足すると血行不良により冷えや肩こりを招いたり、肌の新陳代謝が落ちて肌がくすむ原因になることも。
ビタミンEは体に蓄積されにくい性質があるため、通常の食事では過剰症の心配はありません。しかし近年の研究の研究によると、ビタミンEの摂り過ぎは骨粗しょう症のリスクを高める可能性が指摘されているため、過剰摂取は控えましょう。
造血ビタミン「葉酸」
マンゴーの葉酸含有量は、可食部100gあたり84㎍と果実の中ではトップクラスです。葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12と共に赤血球を作るので「造血ビタミン」と呼ばれています。また、わたしたちの体の設計図となるDNAの合成や、たんぱく質の合成にも関わる成分です。
これらのことから、特に胎児の成長にとって重要な栄養素とされており、厚生労働省では、妊娠を希望する女性は妊娠前から摂取することを推奨しています。
抗酸化作用のある「βカロテン」
マンゴーのβカロテン含有量は可食部100gあたり610㎍と、こちらも果物の中では多量に含まれています。
さて、βカロテンは自然界に存在する赤または黄色の天然色素で、強力な抗酸化作用を持つのが特徴です。そして強い抗酸化作用により、老化や動脈硬化、シミやシワの原因となる活性酸素を除去します。
活性酸素は体内に侵入したウイルスなどと闘う働きがあるため、健康維持には必要な物質ですが、増えすぎると人体に害を及ぼす厄介な物質でもあるのです。
残念ながら活性酸素は加齢と共に増える一方で、抗酸化の働きは加齢によって低下します。そのため、βカロテンは積極的に摂りたい栄養素です。
整腸作用のある「食物繊維」
食物繊維は水に溶けにくい不溶性と、水に溶けやすい水溶性に分けられ、どちらにも整腸作用があります。
不溶性食物繊維の特長は保水性が高いことです。胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむことで、腸を刺激し便通を促します。
一方で水溶性食物繊維の特長は、粘着性と吸着性があることです。
粘着性により腸内をゆっくりと移動することで、糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えます。そして吸着性によりコレステロールをくっつけて体外へは排出します。
マンゴーには不溶性と水溶性、どちらの食物繊維もバランス良く含まれているため、優れた整腸作用が期待できますね。
マンゴーの栄養を効率的にとる方法とは
マンゴーの栄養の特性を考慮し、栄養を効率よくとる方法は
以上の3点がポイントになります。
造血ビタミンである葉酸は加熱に弱いため、できるだけ生の状態で食べるとよいです。
さらに、ビタミンEとβ‐カロテンはともに脂質と一緒にとると体への吸収率がアップするので、ヨーグルトなど脂質が含まれた食材と一緒に食べましょう。また、β‐カロテンは細かくするほどより吸収しやすいので、マンゴーピューレもオススメですよ。
ところで、手軽にマンゴーをとれるマンゴージュースの場合、不溶性食物繊維は取り除かれています。不溶性食物繊維の効果を期待する場合には、何も手を加えていない生のマンゴーがオススメですよ。
妊婦さんが食べても大丈夫?
もちろん、妊婦さんが食べても大丈夫です。マンゴーには胎児の発育に重要な葉酸と、便秘になりがちな妊娠中に進んで摂りたい食物繊維が含まれているので、オススメの食材と言えます。
とは言うもののマンゴーには妊婦さんにとって特に重要な、たんぱく質やカルシウムがほとんど含まれていません。
そのため甘くて美味しいので食べ過ぎてしまいがちですが、マンゴーだけでお腹を満たすのではなく、通常の食事もしっかりと摂りましょう。
マンゴーはカロリーが高い果物なのか
マンゴーのカロリーはバナナよりは低いですが、りんごやみかんよりやや高いです。
下の表は、マンゴーと、スーパーでよく見かける果物のカロリーを比べたものです。
マンゴーには糖質が多いため、その分カロリーが高くなっています。
また、マンゴージュースもよく見かけますが、砂糖が添加されているものも多く出回っています。そのような商品は、カロリーも糖質もさらに高いため、原材料表示をよく確認してから購入しましょう。
関連記事:マンゴーのカロリーと糖質は高い〜その他の栄養素・注意点など含め解説〜 ※外部サイトに遷移します
1日あたりのオススメ摂取量
厚生労働省の「食事バランスガイド」によると、健康増進の観点から、果物摂取目標量は1日あたり200g程度とされています。
市場によく出回っているアップルマンゴー(正式名称:アーウィン種)の平均的な大きさは300~500gですので、半分から2/3個程度食べられる計算になります。
他の果物を食べるときは、合わせて200g程度になるように調整してくださいね。
また、果物を食べる時間に決まりはないですが、夕方以降に食べるとエネルギーとして使われずに中性脂肪として蓄えられてしまうため、おやつ(15時頃)までの時間帯に食べた方が良いですよ。
果物はビタミンやミネラルの補給に大切なので、糖尿病や血糖値が高い方が食べても基本的には問題ないです。しかし血糖値の上昇や中性脂肪を増加させるおそれがあるため、糖尿病の方が食べる場合、量や時間は主治医に相談しましょう。
ドライマンゴーの特筆すべき栄養素
ドライマンゴーの一番の魅力は、なんといっても食物繊維が豊富なところです。
乾燥させて水分が減ったことにより、重量あたりの食物繊維が凝縮されています。さて、果物の可食部100gあたりの食物繊維量ランキングを見てみると、ドライマンゴーは6.4gで12位、生のマンゴーは1.3gで76位です。
参考までに、生活習慣病予防の観点から食物繊維は1日24g以上摂取するのが理想と言われています。しかし実際の摂取量は18.8g程度と不足しているため、理想に近づけるために、当面は1日あたりプラス3~4g程度摂ることが勧められています。
とはいえ、食事だけで3~4gの食物繊維を摂ることはなかなか難しいです。そこでオススメなのがドライマンゴーです。
ドライマンゴーは1枚がおおよそ10gですので、3枚食べると1.9gの食物繊維が摂れます。当面の摂取目標であるプラス3~4gの半量を通常の食事から、残り半量をドライマンゴーで補えば効率的に食物繊維を摂れますよ。
ただし、ドライフルーツには糖質が多いため、ドライマンゴーのみで食物繊維を補うことはおすすめできませんので、ご注意くださいね。
【生vsドライ】便秘に効果的なマンゴーはどちら?
答えはドライマンゴーです。
その理由は、ドライマンゴーは乾燥して水分が抜けているため、効率よく食物繊維を摂取できる食材だからです。
さて、食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、どちらにも整腸作用があり、便のカサを増やして便通を促したり、善玉菌(腸内環境を良くする菌)の増殖に効果があります。
しかし不溶性食物繊維は十分な水分を一緒に摂らないと、便のカサが増えるばかりで便秘が悪化しますので、水分摂取をお忘れなく。
ドライマンゴーはヨーグルトに一晩漬けてから食べると、水分を吸ってプルンプルンの食感となり美味しいですよ。漬けるために使ったヨーグルトも一緒に食べれば、ヨーグルトに含まれる乳酸菌のパワーも加わり、さらに便秘解消に期待ができます。
そして、便秘解消にはなによりも生活習慣の改善が基本です。
食物繊維の適量摂取はとても重要ですが食事のリズムを整えたり、運動習慣を作ることも同じように大切なポイントですよ。
マンゴーの栄養は冷凍しても大丈夫なのか
マンゴーは冷凍しても栄養素はほとんど壊れません。ただし誤った冷凍方法をしてしまうと、栄養素の損失に繋がります。
冷凍するときのポイントは、切り口を空気に触れさせないことです。断面が空気に触れると酸化して鮮度が落ちます。また食べ物は鮮度が落ちると栄養価も落ちます。
大きめにカットしたものは切り口にラップを密着させてから、一口サイズにカットしたものは密閉袋に入れてしっかりと空気を抜いてから、それぞれ冷凍室へ入れましょう。
少し手間に感じるかもしれませんが、栄養素を無駄にしないポイントですので是非試してくださいね。
また冷凍マンゴーは完全に解凍すると、細胞が壊れて水っぽくなり、せっかくの濃厚な味わいが台無しに。そのため、半解凍のタイミングで食べると、シャーベットのような食感になり美味しく頂けます。
一般的に果物に多く含まれる糖(果糖)は、冷蔵室で冷やした温度(5℃前後)のときにもっとも甘味を強く感じます。したがって、その温度から離れるほど甘味は弱く感じます。
ゆえにマンゴーの甘い味わいが苦手な方は、冷蔵室で冷やしたものよりも甘みの弱い、冷凍したものをお試しくださいね。
冷凍マンゴーは毎日食べると体に悪いの?
食べる量が適量であれば、毎日食べても問題ありません。しかし冷たい物を食べ過ぎることにより、お腹をこわす心配があります。
市販の冷凍マンゴーは1袋が100〜200g容量のものが多いです。さきほど「果物は200g程度食べましょう」とご説明しましたが、一度に冷凍マンゴーを200gも食べるとお腹をこわす可能性もあります。
ご自身の体調に合わせて、食べる量を調整しましょう。
まとめ
以上、マンゴーにはビタミンE・葉酸・βカロテン・食物繊維が豊富だと分かりましたね。また、妊婦さんにとって重要な栄養素が豊富に含まれていることもお伝えしました。
今回の記事により、日々の食生活にマンゴーをうまく取り入れていただけると嬉しいです。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
J-STAGE
厚生労働省
日本糖尿病学会 糖尿病食事療法のための食品交換表
女子栄養大学出版部 八訂食品成分表2022
監修:編集長 宮田 亘造
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
執筆者:管理栄養士 大熊麻未
十文字学園女子大学人間生活学部 食物栄養学科卒業。卒業後は一般企業にてOEM開発や外食事業に従事。その後は学校給食に携わり、食物アレルギーや衛生管理の指導にあたる。また生活習慣病予備軍の方に向けた保険指導を行い、検査数値改善のサポートに尽力する。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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提供元:マンゴーの栄養と驚くべき効能~健康増進の効果を含めポイント解説~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】