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2023.05.02

しいたけに詰まった驚きの栄養成分と効能効果を解説!~簡単レシピもご紹介~


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当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します

きのこの代表格「しいたけ」。

ダイエットの味方と言われたり、かさ増し食材と言われたり、出番は多いけれどなんだか脇役扱いばかりです。

そしてなによりも世間では、低カロリーのためか軟弱で栄養のないイメージが付いています。

しかし江戸時代の日本では、しいたけは富裕層だけが食べられる高級食材だったとか。

今回は、しいたけの名誉挽回のために、栄養成分と効果効能を徹底的に解説していきます!保存方法やレシピも載せましたので、ぜひ最後までお付き合いください。

しいたけの栄養成分と効能効果

ここでは、生のしいたけの栄養成分について解説します。

エネルギー作りに欠かせない「ビタミンB1」

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ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える栄養素です。

そのため糖質の摂取量が多い人や、体をよく動かしてエネルギーの産生が多い人は、ビタミンB1の必要量が増えます。

また、インスタント食品ばかりなど偏った食生活を送る人には、ビタミンB1欠乏症状(※)になる可能性があるのでご注意ください。
※ビタミンB1欠乏症状:脚気(かっけ)と呼ばれ、脚のむくみやしびれ、息切れ、動悸などが起きる

しかしながら、バランスの良い食事を摂っていれば不足する心配の少ない栄養素なので、肉や魚や野菜など偏りのない食事を心がけましょう。

骨と歯の発育を促す「ビタミンD」

しいたけには、ビタミンDの前段階のエルゴステロールという成分が含まれています。

このエルゴステロールは、紫外線に当たるとビタミンDに変化します。

さてビタミンDの主な働きは、体内でカルシウムの利用効率を高めて、骨や歯の発育を促すことです。加えて、血中のカルシウム濃度を一定に保ち、神経伝達や筋肉の収縮を行う働きも。

つまり、カルシウムの摂取量が十分でも、ビタミンDが不足しているとカルシウムの利用効率が下がります。

その結果、子どもの場合は成長障害を起こしたり、高齢者の場合は骨粗しょう症になるリスクがあります。

またビタミンDは脂溶性ビタミンと呼ばれ、油と一緒に摂ると効率よく吸収されるので、炒め物や揚げ物にすると良いですよ。

腸のお掃除屋さん「食物繊維」

食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維に分かれます。

そしてしいたけには、不溶性食物繊維がとても豊富です。

この不溶性食物繊維は、水を吸収し便のカサを増やすことで腸を刺激し、便通を促す効果があります。

いわば不溶性食物繊維は、今話題となっている「腸活」の立役者ですね。

一方で水溶性食物繊維には、血糖値上昇を抑制したり血液中のコレステロール濃度を低下させる働きがあります。

令和元年の国民健康・栄養調査によると、食物繊維の摂取量は国が定める推奨量(18~64歳の男性21g、女性18g以上)に届いていないのが現状です。

生活習慣病予防の観点から考えて、食物繊維は意識して摂りたい栄養成分です。

高血圧や動脈硬化を予防する「エリタデニン」

エリタデニンは、しいたけ特有の栄養成分です。

このエリタデニンは、血中のコレステロール濃度を低下させる働きがあるため、高血圧や動脈硬化を予防できる成分として期待されています。

エリタデニンはしいたけのみに含まれる特別な成分なので、血圧が気になる方は積極的に摂りたいですね。

うま味成分「グルタミン酸」

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しいたけには三大うま味成分(※)のうちの1つ、グルタミン酸が含まれています。

うま味成分の特徴は、2つ以上を掛け合わせると単独の時よりもうま味をより一層強く感じることです。これを「うま味の相乗効果」といいます。

うま味を活かしたものが、お味噌汁などに入れる「だし」です。だしのうま味があることで、味噌の量を減らしても美味しいお味噌汁となります。

つまり、うま味は減塩対策に有効な成分というわけです。

余談ですが、この「うま味」は100年以上前に日本人が見出した成分で、海外でも「UMAMI」の名称が使われています。
※三大うま味成分は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸です。グルタミン酸は、しいたけの他には昆布やトマトなど、イノシン酸は鰹節や煮干しなど、グアニル酸は乾燥きのこ全般に含まれている

原木栽培と菌床栽培でしいたけの栄養価は変わる?

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しいたけは栽培方法によって、栄養価に変化が見られます。

主に食物繊維量に大きな差が見られ、原木しいたけの方が1割以上も多く含まれています。

さらには香りや風味についても、原木しいたけの方が優れているという点も。

ご参考までに栽培方法による違いを説明しますと、原木しいたけは、森の中で自然の気象条件を利用して栽培されたもので、収穫までに10か月ほど掛かります。

それにより市場に出回る時期が短く価格は高めですが、旬を味わえますよ。

一方で菌床しいたけは、湿度の高い室内で人工的な養分を与えて栽培し、3~6か月サイクルで次々に収穫できます。

そのため、流通量が多くお手頃な価格で買えます。

なお、わたしたちが普段スーパーなどで見かけるしいたけの9割が、この菌床栽培によるものです。

しいたけの軸に含まれる栄養成分

しいたけの軸には、カサの部分と同じように、ビタミン類や食物繊維などの栄養成分が豊富に含まれています。

カサの部分と異なり筋っぽくて硬いという理由で、捨ててしまう方もいるのですが、活用しないのはとてももったいないです。

また、うま味成分のグルタミン酸はしいたけの軸部分にも同じように含まれています。そのため、軸を汁物の「だし」として使うと、とても味わい深い汁物に仕上がりますよ。

さらにオススメなのは、軸をみじん切りにして肉団子や混ぜご飯の具として使うことです。

しいたけを丸ごと味わい尽くして、栄養成分を無駄なく摂取しましょう。

干ししいたけの栄養

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干ししいたけの特筆すべき栄養素は、ビタミンDとグアニル酸です。

まずビタミンDについてですが、乾燥前のものと比べるとおよそ11倍(1食分の量で換算)になることが分かっています。

しかしこれは、紫外線(日光)に当てて乾燥させたものに限ります。もし機械干し(熱風乾燥など)のしいたけを購入した場合は、日光に当ててから調理するとビタミンDが増えるのでオススメです。

続いてグアニル酸についてお伝えします。

グアニル酸は、生のしいたけには含まれていないうま味成分です。

先ほども触れたように、うまみ成分を2つ以上を掛け合わせると飛躍的にうまみの感じ方が強くなります。生のしいたけのグルタミン酸と干ししいたけのグアニル酸を一緒に使うと、よりうまみが強くなり減塩につながりますよ。

さて余談ですが、干ししいたけはかさの開き方によって名前が変わります。

かさが開いていない肉厚のものは「冬菇(どんこ)」、かさが開いていて薄いものは「香信(こうしん)」、その中間が「香茹(こうこ)」という名前が付いており大相撲で優勝力士に送られる品となっています。

しいたけはダイエットに効果的な食品か

食物繊維が豊富で低カロリーなしいたけは、ダイエットにピッタリの食品です。

ダイエット中は食事量を減らすので、おのずと必要な栄養成分が足りない傾向に。

しいたけは食物繊維が豊富で満腹感を得られるうえ、不足しがちなビタミン類も摂取できます。つまり調理方法に注意すれば栄養バランスを整えやすく、ダイエットにも活用できる食品と言えます。

しいたけは1日何個までがちょうどよい?

結論から申し上げますと、著明な研究結果が見当たらないため「1日に何個までがいい」と言い切ることは難しいです。

しかしながら、厚生労働省が発表した「健康日本21」では、生活習慣病などを予防し、健康的な生活を送るために、1日350g以上の野菜を食べることが推奨されています。

野菜類の中にはきのこも含まれるので、その他の野菜とあわせて毎日350g以上(目安として両手に山盛りの量)食べると良いでしょう。

食べ過ぎるとどうなるのか

しいたけは低カロリーで食物繊維が豊富な食材なので、ダイエットをしている時には沢山食べたくなる食材ですが、食べ過ぎると便秘を悪化させてしまうことも。

その理由は、しいたけに豊富な不溶性食物繊維にあります。

不溶性食物繊維は適量だと便通を促す効果が期待できます。しかし、食べ過ぎると便秘を悪化させてしまうおそれもあるのです。

これらのことを踏まえて、多品目の野菜を摂取するように意識しましょう。

関連記事:きのこの栄養成分で健康をサポート~必見のダイエット効果や食べ方も大公開~ ※外部サイトに遷移します

しいたけの「得する」調理・保存方法

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ポイント1:調理前に干す

干ししいたけにビタミンDが豊富というのはご説明した通りですが、生のしいたけも天日干しをするとビタミンDの量がアップします。

方法はとても簡単です!

「お日様に当てる」というイメージで、エルゴステロール(ビタミンDになる前段階の栄養素)が多いヒダを上にして30分程度干すだけで効果が得られます。

さて肝心な食味についてですが、干す時間が短いため、干す前後で食感や味わいに変化はみられません。

ポイント2:水洗いしない

これはきのこ類全般に言えることですが、水洗いせずに使用しましょう。

実は、しいたけは水洗いすると水溶性の栄養素が流れ出てしまったり、風味が落ちるためもったいないです。

とくに菌床栽培のしいたけは、清潔な室内で育てられているので、洗わなくても安心して食べられます。

それでも汚れが気になる場合は、固く絞ったふきんやキッチンペーパーで軽く拭って取り除きましょう。

ポイント3:湿気を避けて保管する

しいたけを冷蔵保存するときは、一つひとつていねいにキッチンペーパーで包み、さらにヒダを上向きにして置きましょう。

その理由は鮮度を保つためです。

しいたけのヒダの内側にある胞子は湿気に弱く、胞子が落ちると鮮度が落ちて傷みやすくなります。植物は収穫から時間の経過と共に鮮度が落ちていくため、それに伴い栄養価も下がります。

手間に感じるかもしれませんが、栄養成分を無駄にしないポイントなのでぜひお試しください!

ちなみに、すぐに食べない時は冷凍保存がオススメです。

ポイント4:すぐに食べないときは冷凍保存する

冷凍保存のメリットは、日持ちすることだけではありません。

実は冷凍することでしいたけの繊維が壊れて、うま味成分が外に出やすくなる効果もありますよ。

・しいたけの「損しない」食べ方

それはズバリ、汁物の具として使って汁は残さず飲み切ることです。

理由は汁に溶け出した水溶性の栄養成分を、無駄にすることなく摂取するためです。

加えて高血圧予防の観点から、汁物をつくる際はしいたけに含まれるうま味成分の効果を活かして、味付けは薄めを心がけましょう。

【管理栄養士監修】しいたけを使ったヘルシーレシピ

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【しいたけ入り肉団子の洋風スープ】

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【作り方】

(1)生のしいたけを30分程度日光に当てる
(2)しいたけをカサと軸に分けて、カサ部分はスライスし、軸はみじん切りにする
(3)野菜は乱切りし、電子レンジで竹串が通る柔らかさに加熱する
(4)鶏ひき肉に塩(分量外)を振り粘りが出るまで良く混ぜ、軸を加えて団子状に丸める
(5)鍋にスライスしたしいたけと牛乳と(3)(4)を入れて肉団子に火が通るまで煮る
(6)火が通ったら調味してパセリを掛けて出来上がり

【ポイント】

・しいたけを日光に当ててビタミンDを増やしてから調理する
・しいたけ(ビタミンD)と牛乳(カルシウム)を一緒に使ってカルシウムの利用効率を高める

まとめ

以上、しいたけの栄養成分と効果効能について解説しました。

最後にまとめますとしいたけは、

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となります。

しいたけは、低カロリーな上に栄養成分が豊富だとおわかりいただけたと思います。

手に入れやすい食材ですので、ぜひ日々の食事に摂り入れていきましょう。

【参考文献】※外部サイトに遷移します

J-STAGE

健康増進を考慮したきのこの活用法

エリタデニン高含有シイタケの開発とその脂質代謝に及ぼす影響

国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 うま味の活用

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 ビタミンD解説

林野庁 きのこのはなし

日本特用林産振興会 きのこ-健康とのかかわりを科学する

公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット

JAグループ とれたて大百科 生シイタケ

監修:編集長 宮田 亘造

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早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。

執筆者:管理栄養士・料理家 前間弘美

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武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。

記事提供:H2株式会社

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【合わせて読みたい】

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提供元:しいたけに詰まった驚きの栄養成分と効能効果を解説!~簡単レシピもご紹介~|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】

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