2023.04.30
しらすに含まれる体にいい栄養成分~ダイエット効果についても解説~
当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
しらすはイワシ類の稚魚の総称です。 体に色素がなく白い稚魚をしらすと呼んでいます。
ところで、しらすはカルシウムが豊富なイメージを持たれている方も多いでしょう。確かにしらすにはカルシウムが多く、骨や歯を丈夫にしてくれます。
しかし、実はしらすはカルシウム以外にもたくさんの栄養素を含んでいるのです。
そこで今回は、しらすの栄養成分や効能について詳しくお話しいたします。気になるダイエット効果についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
しらすの栄養成分と効能
しらすの小さな体にはたくさんの栄養成分が詰まっています。それでは見ていきましょう。
骨や歯の材料であるカルシウム
カルシウムは骨や歯の主な構成成分であり、神経を安定させる働きがあります。
しらすにカルシウムが多い理由はずばり、骨ごと食べられるからです。
カルシウムは骨や歯に多く含まれる栄養素なので、骨を食べると効率的にカルシウムを摂取できます。ただし、大きな魚や動物の骨は硬すぎてそのまま食べられません。
そこで、しらすのように骨ごと食べられる小魚は、カルシウムを効率よく摂れるのです。
ちなみに、生しらす100gに含まれるカルシウムは210mg、釜揚げしらすは190mgと、一般的な食品の中では多いです。
参考までに、厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年)によると、日本人のカルシウム摂取量はどの年代においても推奨量を満たしていません。40歳代の女性は209mg、男性は308mgも不足しています。
しらすは日々の食事に加えやすいので、手軽にカルシウムを補給できますよ。
カルシウムの働きを助けるビタミンD
ビタミンDは、骨や歯を正常に発育させるために必要な栄養素です。ビタミンDは、私たちの体の中でカルシウムの吸収を助けます。つまり、カルシウムの摂取量が充分だったとしても、ビタミンDが不足すると骨がもろくなる可能性があるのです。
骨がもろくなると、骨粗しょう症などの原因となります。そこで丈夫な骨を作るために、ビタミンDとカルシウムを摂取していきましょう。
なお、しらすにはカルシウムとビタミンDが含まれるので、健康な骨を保つのにピッタリな食材と言えますね。
皮膚や筋肉をつくるタンパク質
タンパク質は私たちの体の皮膚や筋肉、臓器の構成成分であり、体づくりに不可欠な栄養素です。また、しらすには良質なタンパク質(※)が含まれています。
(※)タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、私たちの体で合成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれているもの
良質なタンパク質は利用効率が良いので、無駄なく体づくりに使われます。つまり、子供においては成長のため、成人においては筋肉の維持などに欠かせない栄養素なのです。
体に良い油であるEPA&DHA
EPAとDHAは主に魚に含まれる油で、私たちの体の中では合成できないため必須脂肪酸と呼ばれています。EPAとDHAは血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化や心疾患の予防効果が期待されています。
ちなみにEPAとDHAは、イワシやサバなどいわゆる青魚に多い油です。そしてしらすはイワシの稚魚なのでEPAやDHAを含んでいるのです。
イワシやサバを毎日食べるのは難しいかもしれませんが、しらすは毎日の食事に取り入れやすいと思います。しらすを食べて、血液をサラサラにしていきましょう。
参考記事:オメガ3脂肪酸とは?効果と多く含まれる食材をシンプルに解説 ※外部サイトに遷移します
生しらすと釜揚げしらすは同じもの?
生しらすは水揚げされてすぐ生の状態のしらすを指します。また生しらすは水揚げされて数時間で鮮度の落ちる魚ですので、基本的にすぐに釜茹でされます。釜茹でされたしらすが釜揚げしらすです。
なお、生しらすは水揚げされる産地でしか味わえない特別なものです。ただし、最近では獲れたてのしらすを加工工場で急速冷凍したものがネット販売されているため、全国で生しらすを食べられるようになりました。
まだ生しらすを食べたことのない方も、これを機にお取り寄せしてみてはどうでしょうか?
しらすとちりめんじゃこの違い
しらすとちりめんじゃこの違いは加工の具合です。
一般的にしらすは、水揚げしたばかりの生の状態から、釜茹でされて2時間程度乾燥させたものまでを指します。一方でちりめんじゃこは、釜茹でされたしらすを天日で充分に乾燥させたものです。
しらすは柔らかいので、食べやすいですが日持ちしないというデメリットもあります。一方でちりめんじゃこはやや硬いですが、日持ちする点がメリットです。
それぞれの特徴を活かして、日々の食事に取り入れていきましょう。
しらすの危険性
実は、生しらすを食べた際に寄生虫による食中毒を起こす可能性があります。
寄生虫の名前は「大複殖門条虫(だいふくしょくもんじょうちゅう)」と言い、イワシやイワシの稚魚であるシラスが感染源と推測されています。なお寄生虫は加熱すると死ぬため、釜揚げしらすやちりめんじゃこを食べても感染の心配はありません。
そして大複殖門条虫による食中毒の症状は比較的軽く、下痢や腹痛がほとんどです。また無症状だったため、排便時に虫を発見して初めて感染に気付くことも多いそうです。
現状では感染源が生しらすだと特定されていない点や、症状が軽い点からあまり心配し過ぎる必要はありません。
ただし生しらすに限らず、魚を生食すると寄生虫による食中毒のリスクがあることは心に留めておくと良いでしょう。
毎日食べると体に悪いって本当?
しらすは塩分の多い食品です。つまり毎日食べると、塩分の摂り過ぎによる高血圧などの生活習慣病になる可能性があります。
厚生労働省の健康日本21(第二次)では、高血圧予防の観点から食塩摂取目標量は8gとされています。しかし、厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年)によると、日本人の平均食塩摂取量は10.1gと目標量よりも2g以上多いです。
ちなみに釜揚げしらすに含まれる食塩は、100gあたり2.1gと一般的な食品の中ではかなり多いです。生しらす100gあたりの食塩量は1gなので、釜揚げしらすは塩茹でする際に塩分が増えると考えられます。
そこで、しらすの塩分を落として食べる方法をご紹介します。
・熱湯をかける
・茹でる
上記の方法で、しらすの塩分を半分近く落とすことができるそうです。塩分が気になるけれど、しらすを食べたい方はぜひお試しください。
一日の摂取量の目安
しらすの摂取量の目安は、高血圧などの生活習慣病予防の観点から1日あたり大さじ1杯程度です。塩分の多い食材ですので、食べ過ぎはよくありません。
繰り返しになりますが熱湯をかけたり、茹でて塩分を減らしても良いでしょう。また、調味料の代わりにしらすの塩分を使う、という方法もあります。
しらす大さじ1杯の塩分は、ひとつまみの塩と同じぐらいです。普段、和え物や卵焼きに入れる塩をしらすに代えると、塩分量は変わらないまま、しらすのカルシウムやビタミンD、たんぱく質などの栄養素を摂ることができますよ。
しらすはダイエットや筋トレに効果的なのか
しらすはカロリーが高くないので、ダイエット中に使いやすい食材と言えます。また、筋肉の構成成分であるたんぱく質を含むので、筋トレに効果的である可能性も。
なお筋肉量に比例して、私たちの体の代謝量がアップするので、ダイエットにも効果が期待できますね。
デメリットはある?
しらすはプリン体の多い食品です。プリン体は細胞に存在するので、ほとんどの食品に含まれます。
健康な人が通常の食事を摂る場合、プリン体をあまり気にする必要はありません。ただし、尿酸値の高い方がプリン体を多くとると、高尿酸血症となる可能性があります。
高尿酸血症は痛風の原因となりますので、尿酸値の高い方はしらすを食べる量に気をつけましょう。
しらすを使ったカルシウムたっぷりレシピをご紹介
カルシウムが豊富なしらすに、同じくカルシウムが豊富な小松菜を合わせたレシピを紹介いたします。しらすのビタミンDがカルシウムの吸収率をアップさせてくれますよ。
温かいご飯にのせても、冷たい冷奴と合わせても美味しく食べられるので、ぜひお試しください。
【しらすと小松菜の簡単ふりかけ】
【作り方】
(1)よく洗った小松菜を1㎝幅に切る
(2)熱したフライパンにごま油を入れて、(1)を炒める
(3)小松菜に火が通ったら、しらすを入れて軽く炒める
(4)醤油を入れて全体に混ざったら、できあがり
※調味料代わりにしらすを使っております。醤油は香り付けなので、塩分が気になる方は入れなくても大丈夫ですよ。
参考記事:小松菜の驚くべき栄養成分~効能を高める食べ方も伝授します~ ※外部サイトに遷移します
まとめ
以上、しらすの栄養成分や効能についてお話ししました。
しらすは、カルシウムやビタミンD、たんぱく質、EPA、DHAなどの私たちの体を健康にしてくれる栄養素が含まれていることが分かりました。
なお、しらすはカロリーが高くないので、ダイエット中にも取り入れやすい食材です。気になる塩分も、熱湯をかけたり茹でると半分近く減らせます。
しらすを調味料代わりに使うと、普段と同じ塩分量のまま、カルシウムなどの栄養素を得られますよ。ご紹介した簡単ふりかけレシピもぜひお試しください。
それでは当記事を参考にしらすの栄養を活かして、健康な生活を送っていただけると幸いです。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版
厚生労働省e-ヘルスネット
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版
厚生労働省
食品安全委員会 大複殖門条虫「だいふくしょくもんじょうちゅう」の概要
alic農畜産業振興機構 骨格筋量の維持・増加に向けたたんぱく質摂取の重要性
日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版
監修:編集長 宮田 亘造
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
執筆者:管理栄養士・料理家 前間弘美
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。
記事提供:H2株式会社
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提供元:しらすに含まれる体にいい栄養成分~ダイエット効果についても解説~|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】