2022.12.12
野菜を食べるのは何のため?生活習慣病予防に食物繊維がいいって本当?
糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防に、食物繊維がよいと聞いたことはありますか?特に、健康な食生活というと野菜をたくさん食べるイメージと結びつく方が多いようです。しかし、ただ野菜を食べていれば健康になるとは言いきれません。健康のために食物繊維をどのようにとっていけばよいのでしょう。今回は、野菜を食べる目的と生活習慣病と食物繊維の関係について解説します。
野菜を食べると何がいいの?
厚生労働省では、野菜を1日350g以上食べることを推奨しています。なぜかというと、野菜からビタミンA・C、カリウム、鉄、カルシウムなどのビタミン・ミネラルのほか食物繊維などの、日本人が不足しがちな体の調子を整える栄養素が効率よくとれるからです。さらに、多くの研究で、野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が出ています[1,2]。
近年、野菜に含まれている代表的な栄養素の1つである”食物繊維”が、生活習慣病予防に役立つのではないかと注目されています。
食物繊維ってどんなもの?
食物繊維は植物性食品全般に含まれている、人の体では消化吸収しにくい難消化性の食品成分です。摂取量不足が糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の発症率および死亡率に関連していることがわかっています。消化されにくいため低カロリーで、腸内環境を整える働きがあるといわれているほか、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています[3-5]。
食物繊維はどのくらいとったらいい?(h2)
では、食物繊維は1日にどのくらいとったらいいのでしょうか?
生活習慣病予防における食物繊維の理想的な目標量は、成人では1日当たり24g以上と考えられています。しかし、現在の日本人ではこの数値を大きく下回っているため、厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日当たりの目標量(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)を18~64歳で男性21g以上、女性18g以上としています[3]。
日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には一人当たり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、減少傾向にあります。最近の報告によれば、平均摂取量は一日当たり14g前後と推定されています[5]。
すなわち平均摂取量14gと現在の目標量の差は、およそ4~7gです。これは、毎食、野菜を含むメニューを1品プラスすることを心がけていくことでとれる量です。
不足しがちな食物繊維を効率よく補うには?
食物繊維を食事で食べる実践しやすい2つの方法をお伝えします。
野菜は加熱して食べる!
野菜というと、サラダなどで生野菜を食べなくてはならないと思っていませんか?生のまま野菜を食べることは、加熱に弱いビタミンCを効率よくとれるなどのメリットがありますが、かさ(見た目の分量)が多く、たくさんの量を食べにくいというデメリットもあります。食物繊維を効率よくとるには、サラダだけでなく、汁物に入れる、炒め物に1種類プラスするなど加熱することでかさを減らして、食べやすい量にすることがおすすめです。
いろんな食品から食物繊維をとろう!
食物繊維は、野菜だけでなく植物性食品全般に広く含まれます。手軽に食物繊維を多くとるコツは、ごはんを白米から胚芽米や玄米に変えてみる、雑穀を混ぜる、精製した小麦で作った白いパンを全粒小麦パンやライ麦パンなどに変えるなど、主食の選び方を工夫することです。
また、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも食物繊維は多く含まれています。そのため、いつものおかずでこれらを食べる頻度や種類が増えると食物繊維も多くとれます[5]。
まとめ
野菜を食べる目的や普段の食事で食物繊維を効率よくとる方法は、ご理解いただけましたか?生活習慣病予防のためには、野菜ばかりを大量に食べるのではなく、ほかの食品を組み合わせて食べることで、食物繊維が効率よく摂取できます。そして、食事全体のバランスを整えることにもつながり、健康的な食生活に近づきます。まずは、できることからやってみましょう。
【参考文献】(すべて2022年10月25日閲覧)※外部サイトに遷移します
【プロフィール】管理栄養士 望月麻衣子
管理栄養士取得後、幼児の食事から高齢者の介護食まで各ライフステージの栄養食事指導を経験。現在は、中学受験合格を目指す親子向けに食べる脳トレで差をつけていく育脳食サポート、成人の方を対象に特定保健指導(メタボ改善指導)をしている。
インスタグラム ※外部サイトに遷移します
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。
【合わせて読みたい】
中性脂肪の数値が高いと言われたら!実は糖質を摂りすぎている!?