2022.09.13
職場であなたの印象がどんどん悪くなる「話し方」|「業界用語やカタカナ語ばかり使う」人は最悪
職場での「損する話し方」と「得する話し方」を紹介します(写真:takeuchi masato/PIXTA)
同じ目的の言葉を伝えるにしても、言い方を変えるだけで相手に与える印象は180度変わります。人づきあいがこじれてしまう、関係がぎくしゃくしてしまう話し方は、「損する話し方」をしているということです。話し方ひとつで、人間関係はよくも悪くもなるのです。五百田達成氏の著書『話し方で損する人 得する人』を一部抜粋し再構成のうえ、本稿では職場での「損する話し方」と「得する話し方」を紹介します。
実際にその話し方が相手にどれだけ「好印象」を与える(得)か、「悪印象」を与える(損)か、について、アンケート調査を実施し、「悪印象度と好印象度」として、結果も掲載しています。
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ポジティブな発言から入ると好印象
●損する人=問題点ばかり指摘する→悪印象度76%
●得する人=いいところを指摘する→好印象度79%
プレゼン資料をまとめて上司に見せにいきました。
「うーん、まず1枚目のここだけど、なんかデータないの? データもなしにこんなことは言えないよね。あと最後のところだけど図が雑だな。やり直して」
こんなことを言われたらどうでしょうか? やる気はなくなってしまうでしょう。これは、「損」な話し方です。
では、こういう話し方だとどうでしょうか?
「お! ありがとう。早いね! 1枚目のところ、データがあるとよりいいけど、うまくまとまってると思うよ。この辺もう少し丁寧に図を置こうか」
きっとうれしいはずです。これは関係者みんながやる気になる「得」な話し方だと言えるでしょう。
ポイントはいくつかあります。
まず「いいね」「ありがとう」と言うことです。どんな仕事であっても、仕事を仕上げてきてくれたら「いいね」と認めて「ありがとう」と感謝する。仕事のできがどうあれ、まずポジティブな発言から入りましょう。
一方で、修正してほしいところが出てきたらどうすればいいでしょうか? 先の例にもあるように「ここを直してくれたら、よりいい」という言い方をしてみましょう。「ここがダメ」「ここが間違ってる」ではなく「こうしてくれたらよりよくなる」という指摘の仕方だと相手も気持ちよく受け入れてくれます。
「ネガティブな面を指摘する」のではなく「いい方向に持っていく」クセをつけましょう。
よく電車内で子どもに対して「大きな声で騒がない!」と怒っているお母さんがいます。しかし、そう言えば言うほど子どもは大きな声で騒いでしまいます。
そういうときは「やさしい声で話そうね」「静かな声で遊ぼうね」と言うのが効果的。同じように仕事でも、悪い部分を指摘するのではなく、持っていきたい方向に誘導するわけです。
「問題ない」が抱えている問題
部下が作成した書類を確認するとき、間違いや内容の漏れなどの「問題」をチェックするのが「ネガティブチェック」。
一方、うまく説明できているところ、表現が工夫されているところなどの「いい点」を探すのが「ポジティブチェック」です。
ネガティブチェックばかりしている限り、部下にかける言葉はよくて「問題ないね」でしょう。一方、ポジティブチェックをすれば「ここはよく書けているね」「短時間でよくまとめたね」といった言葉が出てきます。
ポジティブチェックを身につければ自然とネガティブな言い方は減っていき、まわりからも信頼され、仕事が楽しくなっていき、デキる人に近づくはずです。
【得ポイント】いいところを見つけると相手がやる気になる
●損する人=業界用語やカタカナ語ばかり使う→悪印象度70%
●得する人=誰でも理解できる言葉を使う→好印象度75%
業界用語やカタカナ語を使いたがる人がいます。
「ところで、サービスの『ローンチ』はいつですか?」
「その件については、『アグリー』ですね!」
相手の知らない言葉を使えば「自分のほうがより知識がある」「より専門性が高い」とアピールできるでしょう。パッと見はかっこいいかもしれません。
しかし、業界用語やカタカナ語をむやみに使う人は「損」をしています。
こういった言葉を使うと、「自らの立場を高く見せようとしている」「プライドが高そう」と思われます。もしそんな考えはなくても、相手にそう思われてしまっては損というわけです。
業界用語を使うことによるデメリットは印象が悪いというだけではありません。業務が滞る、という「実利的な」損にもつながります。相手が「ローンチ」の意味をわかっていなければ、きちんと意思疎通ができないことになります。これは仕事においてマイナスでしかありません。
ローンチは「立ち上げ」と言えばいいだけですし、アグリーは「賛成」と言うべきです。余計な用語を使うことは仕事においてノイズ、トラブルの元になります。
一方で業界用語を使わない人は「得」をします。
シンプルに、仕事が滞りなく進むからです。関わる人全員が瞬時にわかる言葉を用いることで、連絡はスムーズになります。
なるべくわかりやすい言葉で話しましょう。極端な話、小学生にもわかるようにわかりやすく説明すべきです。
また、印象としても、謙虚で偉ぶらないように見えます。相手に「同じ目線で接してくれる人」だと思われ、一目置かれることに。これは「得」です。
見習うべきはスポーツ中継のわかりやすい実況です。
ラグビー中継の副音声で、わかりやすい解説をしているのを聞いたことはないでしょうか。「あー、いまのはノックオンですね。ボールを落として、ボールが体より前に出てしまいました」。テニスの中継では「おぉ、ナイスプレイスメント。いいボールの落下点です」という解説を聞いたことがあります。どちらも、その競技のルールを知らない人でもわかるような解説。とても親切です。
同じように、業界に詳しくない人でもわかるように、やさしく話す。すると、仕事もうまくいきますし、印象もよくなる。とても「得」な話し方と言えるでしょう。
【得ポイント】簡単な言葉を使うと、トラブルが起きない
人の名前はしっかり覚えるのが「得」
●損する人=人の名前を間違える→悪印象度76%
●得する人=名前を呼びながら会話する→好印象度73%
「五百田達成」という私の名前(本名)は、人からよく間違えられます。五十田、百田、達也などとよく書き間違えられますし、「ゴモタさん」「ゴタンダさん」をはじめとした読み間違いもよくあります。
人の名前はしっかりと覚えるのが「得」です。
名前というのは、その人が何万回と使っているものですし、ものすごく大切にしているもの。それをないがしろにして間違えるようなことは、大きく印象を下げてしまうでしょう。
また、名前をきちんと覚えたら、できるだけ口にしましょう。何度か口にすることで頭に定着させることができますし、「間違ってないな」という確認にもなります。
名前を呼ぶことで、相手との親密度が高まる効果もあります。
以前、電話で話していてすごく感じのいい女性がいました。彼女は会話のなかで何度も私の名前を呼びかけるのです。
「五百田さん、じゃあこうしましょうよ。この件はいったんあとに回して……」
「五百田さん、この部分を変えるとここも変わっちゃうんですよね」
「えっ! それはよかったですね、五百田さん!」
まだメールの普及していなかった時代、受話器から聞こえてくる声の感じから、その人の印象があたたかくじんわりと心に残っています。
一流ホテルのサービスマンや高級エステの受付などは、かならず「○○さま、お帰りなさいませ」「○○さま、どのコースになさいますか?」などと客に呼びかけます。
名前をきちんと呼ばれて嫌がる人はいません。しかも「ほかの人ではなく、まさに『あなた』に向かって話しているのだ」という誠意も自然と伝わります。
「この人は自分を大事にしてくれている」「この人は私を気にかけてくれている」と相手に思ってもらえれば、それだけで「得する話し方」に一歩近づけます。
そのためのシンプルな方法が名前を正しく呼ぶことなのです。
特に効果的なのは、大人数での会合の場合です。こういう場では相手の名前は聞いた端から忘れてしまいがち。間違ったりしては大変ですから、相手の名前を呼ばずに逃げようとしてしまうことも多いでしょう。だからこそ、一度聞いたら積極的に口に出して呼びかける人はいい意味で目立ちます。
例えば、「こちらが○○さん」と紹介されたら「○○さん、よろしくお願いします」とすぐに、繰り返す。会話を始めたら「△△さんは、最近何か気になるニュースありました?」などと、うるさいぐらいに相手の名前を声に出しましょう。
名前をきちんと覚える。それを何度も口に出す。たったこれだけのシンプルなことですが、効果は絶大です。
【得ポイント】ちゃんと名前を呼ぶだけで、親密度アップ
うわさ話は損!
●損する人=うわさ話をやたらとしたがる→悪印象度72%
●得する人=うわさ話に関わらない→好印象度72%
社内のうわさ話が大好きな人が、部署にひとりはいるものです。
「○○さんは△△部長と大学が一緒だから、飛ばされることはないらしい」
「××さんは例の事業の失敗で異動になったから、今度は□□さんが仕切るらしい」
うわさ好きの人はまわりから「情報通」「事情通」と言われていたりします。本人もそう言われていることを「まんざらでもない」と思っています。
しかし、うわさ話をするのは「損」だと言わざるをえません。
うわさ話のデメリットはいくつもあります。
まず「どう伝わるかわからない」ということです。例えば、ある人のことを「あの人は仕事が遅いらしい」と言ったとします。それを聞いた人は「あの人は仕事ができないらしい」と伝えるかもしれません。どんどん話に尾ひれがついて「あの人はまったく仕事をしない」という話にすり替わってしまうこともあるでしょう。それが本人の耳に入ることもあります。
ネガティブなネタばかりうわさすれば、いずれ「あの人は誰それの悪口を言っていた」「どうやら経営陣に不満があるらしい」「口が軽い」などと、逆にうわさ話の的にもなりかねません。
話していいのは自分で見聞きしたことだけ
また、うわさ話には、意識していてもいなくても、どうしても悪意が入ってしまうもの。「あの人は女性に厳しいらしい」「仕事はできるけど、家庭はうまくいってないらしい」など、その根っこには妬みや嫉みがあったりします。
とにかく、あらゆる誤解につながり、トラブルの元になります。うわさ話は一切しない、と決めるのがいいでしょう。
そもそも「らしい」という話し方は「損」をします。不確定な情報は、仕事に支障をきたしますし、信頼関係も崩れてしまいます。人を見る目が曇ってしまうのです。
それでは、どういう姿勢が「得」なのでしょうか?
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それは自分が実際に見聞きしたこと、実際に経験したことだけを話すということです。
「○○さんは仕事が遅いらしい」はNGですが、「○○さんと仕事したときは、締め切りも守ってくれたし、質もよかったよ」といったように、自分の経験なら話していいでしょう。それは個人的とはいえ、確実な情報だからです。
情報を集めて、いろんな人に教えていると「情報通」ともてはやされますが、実は「この人は信用できる」という信頼は得られていません。情報通になるよりも、信頼のおける人になったほうが何倍も「得」なのではないでしょうか?
【得ポイント】うわさ話をしなければ、信頼が手に入る
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提供元:職場であなたの印象がどんどん悪くなる「話し方」|東洋経済オンライン