2022.09.06
「なるほど」を連発しまくる人が悪印象になる理由|気の利いた「相づち」より使える2つのワザ
人の話を聞くとき、損する「相づち」や聞き方をしていませんか(写真:symmyy/PIXTA)
同じ目的の言葉を伝えるにしても、言い方を変えるだけで相手に与える印象は180度変わります。人付き合いがこじれてしまう、関係がぎくしゃくしてしまう話し方は、「損する話し方」をしているということです。話し方1つで、人間関係はよくも悪くもなるのです。五百田達成氏の著書『話し方で損する人 得する人』を一部抜粋し再構成のうえ、シチュエーション別に「損する話し方」と「得する話し方」を紹介します。
実際にその話し方が相手にどれだけ「好印象」を与える(得)か、「悪印象」を与える(損)か、について、アンケート調査を実施し、「悪印象度と好印象度」として、結果も掲載しています。
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「なるほど」を連発していませんか?
●損する人=やたらと「なるほど」を連発する→悪印象度62%
●得する人=黙ってうなずく→好印象度69%
相づちは「ちゃんとあなたの話を聞いていますよ」ということを相手に伝えるために必要なものです。
話していてもなんの反応もないと「伝わってるのかな?」と不安になりますし、さらには「この人ちゃんと私の話を聞いてるの?」と疑いたくなってしまいます。
一方で、ちゃんと相づちを打たれているのに、話していてなぜか疲れてしまう人もいます。例えば、しきりに「なるほど」を繰り返す人。実は、これは「損」な話し方なのです。
「なるほど」には、「あなたの話を理解しました」「納得できます」「共感できます」といったメッセージが込められています。本来は、好ましい相づちのはずです。
しかし、あまりにも繰り返してしまうと嫌がられます。
「なるほど」を繰り返すことで、「理解しました」というニュアンスから「はいはい、理解しました」「わかりましたってば」、果ては「わかったから早く切り上げてください」などというプレッシャーを与えてしまうからでしょう。
たたみかけるように「なるほど、なるほど」と言うと、急かしている感じになってしまいますし、軽薄な印象にもつながります。逆に「ほんとに聞いてくれてるのかな?」と思わせてしまうでしょう。
「なるほど」を多用しがちな人は「オウム返し」をしてみましょう。
「……というあたりが問題なんですよ」
「問題なんですね」
「ひどい目にあっちゃったよ」
「ああ、ひどい目に……」
すべてを繰り返さなくても、相手の発言の一部を繰り返すだけで、相手は「聞いてくれている」と安心して、話を続けやすくなります。
意外と多くの人ができていないのが「うなずき」です。
優秀なカウンセラーは10分のカウンセリングのあいだに3つくらいしか言葉を発しません。「そうなんですね」「嫌なんですね」「そうですか」くらいです。あとは「あー」とか「はいはい」など、余計な言葉は発せず、ひたすら黙ってうなずいています。
人はつい、相づちを打たなければいけないと思ってしゃべるのですが、実は黙ってうなずくだけで「聞いてくれている」という安心感を相手に与えられます。
「なるほど」そのものがいけないわけではありません。単調に繰り返すことによって相手に悪印象を与えてしまうことを避けたいのです。相づち上手になるためには、相づちのバリエーションを増やす、もしくは、黙ってうなずくことで「得」な話し方になるはずです。
【得ポイント】黙ってうなずくだけで、相手は安心する
悩みを相談する人は「共感」を求めている
●損する人=相手の悩みを「よくあることだよ」で片づける→悪印象度65%
●得する人=相手の悩みを「一緒に考えよう」と共有する→好印象度93%
「……というわけで、本当にどうしたらいいかわからなくて。つらいんだよね」
「なるほどね。でもさ、そんなことはよくあることだよ。俺だってさ……」
グチを言ったり、悩みを相談したりする人は「共感」を求めています。共感してもらうことで少しでも癒やされたいと願っています。
ところが、親身になって相談を受けているつもりで、相手を疲れさせてしまうのがこの話し方です。つまり、「そんなのよくあること」という慰め方は、損をします。
せっかく自分にとって大変なことを話しているのに、「仕事ってそういうもんだよ」「家庭ってそういうもんだよ」「そんな悩みはよくあることだよ」などと簡単に片づけられて、いい気持ちになる人はいません。おまけに「俺だって……」と話題を取られようものなら、「もう相談したくない」と思ってしまいます。
悩み相談を受けるときの鉄則を2つあげておきます。
まず、アドバイスしない。
これは先ほどの「よくあることだよ」と関連します。よく見かける「おばちゃんの人生相談」は「結婚なんてそんなものよ。私だってね、最初の離婚のときは……」と自分の経験だけをもとにしたアドバイスに流れがちです。言われたほうは「あなたに何がわかるの?」とカチンときてしまうでしょう。
極端ではありますが、いっそのこと「アドバイスは絶対にしない」と決めてしまうことをおすすめします。
大切なのは「どうだろうねえ」「どうしたいの?」と一緒に考える姿勢を見せること。対面で向かい合うのではなく、一緒に同じ方向を見ること。その姿勢が大切です。
そして、相手がすべて話し終わるまで、自分の話やアドバイスはしない。ちょっと相手の話を聞いてはすぐに自分の話をする人がいますが、たいていの場合、タイミングが早すぎるのです。自分の話をするのであれば、じっくりと「もう話すことがない」というくらいに話を聞いてあげたあとにしましょう。
もう1つの鉄則
鉄則のもう1つは「問いたださない」ことです。
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例えば、「フラれちゃってさあ」→「なんでフラれたの?」、「街中で突然絡まれた」→「いつ?どんな人?」といった詰問口調は禁物です。
相手が気持ちを表現するのに精一杯なのに、ついつい自分の好奇心を優先してしまうのがこの聞き方。相手にしてみれば「理由なんてどうでもいいだろ」「とにかく怖かったっていう話をしたいのに」と、話の腰を折られた気分になってしまいます。
悩み相談についてよく言われることで、「たいていの場合、答えは相談する人のなかですでに決まっている」ということがあります。カウンセリングの現場でも、実際そう感じることはよくあります。
最終的に相手が「まあ、目の前のことを1つひとつやっていくしかないって、わかっているんですけどね」と自分で話し出す、そのための手助けこそが「究極の悩み相談」と言えるでしょう。
アドバイスしない。問いたださない。「得」する話し方の鉄則です。
【得ポイント】一緒に考えてあげると悩みは自然に解決する
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提供元:「なるほど」を連発しまくる人が悪印象になる理由|東洋経済オンライン