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2022.07.26

「友達は妻だけオジサン」中高年男の超残念な現実|なぜ皆、口を揃えて「めんどくさい」と言うのか


歳をとるにつれ、気づけば話し相手は妻だけだということも(写真:takeuchi masato/PIXTA)

歳をとるにつれ、気づけば話し相手は妻だけだということも(写真:takeuchi masato/PIXTA)

日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれている。

その岡本氏が、全メソッドを初公開し、15万部を超えるベストセラーとなった『世界最高の話し方――1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』に続き、このたび『世界最高の雑談力: 「人生最強の武器」を手に入れる! 「伝説の家庭教師」がこっそり教える 一生、会話に困らない超簡単50のルール』を上梓し、発売3日で3万部を突破するなど、早くも話題を呼んでいる。

コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「中高年男性はなぜ人付き合いが『めんどくさい』のか」について解説する。

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中高年男性の「友達いない問題」は世界共通だった

最近、「中高年男性の友達いない問題」が注目を集めています。

先日、ヤフーニュースに掲載された「『独身おじさん友達いない』問題が意外に深刻」という記事が話題になりました。ついたコメントの数はなんと、7000以上。

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「友達などいるのか」「ひとりが一番心地よい」など中高年男性と思われる人たちのさまざまな思いが連なっていました。

コミュニケーションの研究家であり、リーダーの話し方の「家庭教師」をしている私は、日々、中高年男性たちに寄り添い、悩みを聞いていますが、そのなかで、男性と女性とでは「コミュニケーション」や「人付き合いのスタイル」には異なる傾向があることに気づかされます。

それは確固たる科学的研究によっても裏付けされているのですが、年代や社会・文化的環境による差はあるものの、多くの国々で共通しており、「なぜ、中高年男性には友達がいないのか」といった記事はイギリスやアメリカのメディアにもしばしば登場しています。

この傾向は、「独身かどうか」ということはあまり関係がありません。逆に結婚して家族がいることで忙しく、友達との付き合いがなかなかできなくなる人も多いのが実態です。

まずは、「中高年男性に友達がいない」その事例をいくつか紹介しましょう。

筆者の友人Aさんの夫は、コロナでずっとリモート勤務ですが、たまにひとりでごくごく短い時間、近所に買い物に出かけるぐらいで、本格的な外出も友達と会うこともゼロ。

「約3年間、ほぼ家にこもりきりで、私以外に話し相手がいない。仕事をしているうちは、まだ人とコミュニケーションがとれるからいいが、退職したあとは、どうするのだろう」と思案顔です。

ワシントンDCに住むBさんは、アメリカ人の夫が「自分から友達をつくろうとしない」のが悩みのタネです。

まず彼女が友達をつくり、次に夫婦同士で会って、夫がその友人の夫と仲良くなる、というのが常套手段。彼女がすべてお膳立てをしなければならず、ため息が止まりません。

公民館や地域の集会所で開かれる高齢者向けのイベントに行くと、参加者のほとんどが女性で、「旦那さんはどちらですか?」と質問すると、「家にいる」「図書館にいる」と答えるか「空の上」と指差すのです。

こもりきりの夫を見かねて、妻が最初に英語サークルに入り、夫を招き入れたうえで、「夫が馴染んだのを見極めて、自分は退会した」という人もいました。

旅先やレストランで、楽しげな中高年女性の集団をよく見かけますが、プライベートで男性同士というのは多くはありません。

かくいうわが家も母は、習い事に毎日忙しくしていますが、父は数カ月に一度昔の友人と出かけたり、病院に行ったりする程度。家族がいなかったら、誰とも話さない状態になってしまうに違いありません。

「対人関係の構築力」は、男性と女性で大きな差がある

アメリカの心理学者トーマス・ジョイナーは著書『Lonely at the top』(頂上で孤独)で、男性がなぜ孤独になっていくのかを詳細に分析しています。

「男性は成功と権力を追求する過程で、友人や家族を『当たり前の存在』とみなす傾向があり、女性に比べて『関係性を構築する努力』をしない。男の子同士の交流は、たとえば、スポーツや興味がある『モノ』を通じて成立しているため、それほど、『人』に対する気遣いをする必要がなく、関係維持にそれほどの熱意を注ぐことがない」のだそうです。

一方、「女性は小さいころから、複雑な人間関係を読み解き、お互いの表情や感情を気遣いながら、共感関係を構築し、維持する訓練をしており、結果的に、男女の間で、対人関係の構築力に大きな差が出てしまう」と結論づけました。

人類史をさかのぼって考えても、古来、男性は外に出て狩りをし、獲物を得ることが仕事であり、敵を出し抜き、勝ち残る「戦闘力」「競争力」は問われても、「会話力」「対話力」などは、さほど求められなかったわけです。

男性は生まれた家族と一生を共にした一方で、女性は婚家に嫁ぎ、新しい人間関係を一から築かなければなりませんでした。そこで、子どもを産み育てるという過程でも、周りの支援を受けるための「協創力」が欠かせなかったのです。

女性は「つながる」ことに、男性は「勝ち抜く」ことに重きを置く傾向があると言えるでしょう。

女性は「face to face」、男性は「shoulder to shoulder」

男性になぜ「友達と会って話したりしないのか」と問うと、高い確率で「めんどくさい」という答えが返ってきます。

高名な人類学者であるイギリス・オックスフォード大学のダンバー教授は、高校から大学に進んだ学生を追跡調査し、「女性は、電話で話すことなどを通じて長距離の友情関係を維持することができるが、男性は一緒に何かをすることがなければ、関係を継続することが難しい」と結論づけました。

「男性にとって、サッカーを一緒にする、観る、一緒にお酒を飲む、といった共通体験がないと、関係を維持できない」というのです。ダンバー教授の言葉を借りれば、「(男性の友人関係は)去る者は日日に疎し」。

女性がお互いの目を見ながら、向き合う(face to face)のに対し、男性はテレビでスポーツを観るときのように、互いに肩を並べて、共通の目的(スポーツや仕事、ゲームなど)のために、コミュニケーションをとる(shoulder to shoulder)スタイルと言われています。

つまり、男性は物理的に時間を一緒に過ごす必要があり、その「目的」、つまり、何らかのきっかけやアクティビティがないと、関係構築・維持が難しい。「つながりをつくるためのハードル」が極めて高いということになります。お茶一杯や電話一本で維持できる関係ではないから、「めんどくさい」となるわけです。

また、男性同士で仲良くすることにもためらいを感じる人は少なくありません。とくに、今の中高年世代は「男性は男らしく」がデフォルトでした。

そのため、「同性愛的」に見られたくないと、「男性同士が必要以上につるむ」ことに躊躇いを感じる人は少なくないのです。

結果的に、ある調査によれば「悩み事を相談できるような友人がいないという人は全体で2割に対し、男性50~60代で3割台、70歳以上では半数を超える」事態になっています。

「ひとりが楽しい」という人はそれでいいのですが、現実には、「他者との接触や友人数が多い人ほど、生活に満足している割合が高く、とくに30~50代の中年男性では、『悩み事の相談相手の人数』によって『生活満足度』が大きく異なる」という結果が出ています。

「ひとり時間」は大いに楽しむべきですし、付き合いが多ければ多いほどいいわけでもなければ、「友達いない」=「孤独」ということでもありません。「ひとりでいること」と望まない「孤独」は別物です。

いまの時代、ひとりで生きていく力は必要でしょう。ただし、楽しいはずの「ひとり」が、いつの間にか望まぬ「孤独」につながる可能性は否定できません。

問題は、本当は「誰かとつながりたい、話したい」、「寂しい」という気持ちがあるのに、それを無理に抑え込まなければならない状況です。

人は「何かにつながりたい生き物」です。うまく人とつながれず、不安を感じると、特定の人(たとえば妻や母親)、アルコールやあやしい宗教、極端な思想に「依存」したり、心身に影響が出たりという状況が生まれやすくなります。

2019年5月のアメリカの女性誌『ハーパーズバザー』の「男性には友達がいない。だから、女性がその重荷を背負わなければならない」という記事にはこう書かれています。

「男性は、ほかの男性の前では、ストイックなロボットのようにふるまうことを求められ、親密な関係性を築けない。結果、(妻などの)女性が心の支えになり、依存するようになる」。そうやって、気がつくと「妻が唯一のつながり」であり、「社会への窓口」になっていたりするわけです。

「雑談力」で、「他人以上、友達未満」のゆるい関係を大切に

というわけで、中高年男性にとっては、友達づくりの負荷やハードルはかなり高いと言わざるをえません。

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「では、どうしたらいいのか?」と尋ねられた時、私は、「家族」「肩書」「会社」の3Kに依存するのではなく、「趣味」「仕事」「知り合い」の3つのSを大切にしましょうとおススメしています。

束縛感のある関係性を無理につくろうとする必要もないでしょう。それよりも大切にしたいのは「見知らぬ人以上、友達未満のゆるい関係」。

スナックや喫茶店などでの何気ない会話。顔見知りや近所の人とのちょっとした立ち話。病院の先生や行政の関係者、お店の人とのやり取り。

コロナで、コミュニケーションは希薄化し、将来的には、お一人様がデフォルトになる時代がやってきます。だからこそ、改めて、礼節をもって関係性を維持するコミュニケーションスキルの重要性が高まっています。

身の回りの「一期一会」を大事にし、緩やかに気持ちよくつながり続ける。そのための最強の武器が「雑談力」というわけなのです。

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提供元:「友達は妻だけオジサン」中高年男の超残念な現実|東洋経済オンライン

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