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2022.07.02

チョコ好きの人に教えたい「身体にいい」食べ方|「腸内環境を整えるための食材」とは何か?


健康的な食事にかかせないのは、腸内環境を整えること(写真:66BIRTH/PIXTA)

健康的な食事にかかせないのは、腸内環境を整えること(写真:66BIRTH/PIXTA)

健康で100歳以上長生きする人々は多く存在し、今や決して特別な存在ではありません。食事とライフスタイルを見直すことで、誰もが天寿を全うするまで健康な人生を謳歌することが可能だと言うのは、ヒト体内の微生物と長寿に関する世界的権威である医学博士のスティーブン・R・ガンドリー氏です。同氏の新著『死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事』から一部を抜粋し再構成のうえお届けします。

今回は腸内環境を整える「腸内細菌の好物」を紹介します。

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前回:『長生きする地域の人が「食べないモノ」の共通点』 ※外部サイトに遷移します

腸内環境を整えるための食材

ホームセンターに行って芝生の種を買い、庭に撒いて、水も肥料も与えずに放置したとしよう。当然のことながら、芝は育たない。愚行に見えるが、私の患者の大半が同じ過ちを犯している。芝生ではなく微生物叢で、だ。

彼らは微生物叢が健康や長寿にどれほど重要かを知ると、高価なプロバイオティクス製品を買って飲み、腸に良い細菌が増殖して多様になると期待する。しかし、腸内細菌が好む食べ物を与えつづけなければ、芝生のようにすぐに枯れてしまう。

健全な腸内細菌の集団を再生するには、栄養を与えなければならない。ホロビオームの優れた点のひとつは、腸内細菌の集団が急速に増殖することだ。前著『食のパラドックス』(翔泳社、2018年)を読んだ方なら、腸内細菌が好むものを食べれば、数日のうちに腸内細菌の数を劇的に変えられるとわかっているだろう。

腸に住む良き仲間たちに、「あなたの体にずっと住んでいたい」と思わせるには、以下の食品(※本稿では一部を紹介する)をできるだけたくさん食べるといい。

プレバイオティクス

プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いについては混乱が生じているが、実際にはとてもシンプルだ。プロバイオティクスが生きた善玉菌そのものであるのに対し、プレバイオティクスは腸内にもともと住む善玉菌を増やす食物繊維や長鎖の糖鎖だ。

先ほどの芝生の例を使うと、プロバイオティクスは庭に植える種に相当する。そしてプレバイオティクスは水や肥料に相当する。プロバイオティクスがうまく機能するのは、プロバイオティクスが人間に消化されないから。だからプロバイオティクスは腸内に留まり、腸の仲間たちが喜んでそれを食べるのだ。

ハダカデバネズミは塊茎や塊根、菌類ばかり食べると本書の前半で書いたが、覚えているだろうか。塊茎や塊根、菌類にはプレバイオティクスが豊富に含まれている。だからこそ、この神秘的なハダカデバネズミの腸内細菌は数が豊富で多様性に富んでおり、老化に抗うこともできるのだ。

ヤマノイモ属の塊茎に加え、クズイモ属のヒカマ、タイガーナッツ、ルタバガ、パースニップ、サツマイモ、キノコ、タロイモ(類似のキャッサバなども)、ユッカ、根セロリ、エルサレムアーティチョーク(別名サンチョーク)、チコリ、ラディッキオ、アーティチョーク、ベルギーエンダイブなどがプレバイオティクスの優れた摂取源となるが、とくに今挙げた中の最後の4つにはアッカーマンシア菌の好物であるイヌリンが豊富に含まれている。

アッカーマンシア菌は腸壁を覆う粘液を食べて、粘液の生成を助ける。アッカーマンシア菌が多いほど、年を重ねても若々しくいられる。私のお気に入りをいくつか紹介しよう。

オクラのオススメの食べ方

オクラ

オクラは、プレバイオティクスの食物繊維や、ビタミンC、A、鉄、リン、亜鉛などを豊富に含んでいる。実は、オクラに含まれる炭水化物の半分はプレバイオティクスの食物繊維なのだ。正しく調理すれば、おいしく食べられることを約束しよう。

私のおすすめは、強火で炒めるか、カリカリになるまでオーブンで焼くこと。生のオクラが手に入らなくても心配無用。冷凍オクラはたいていのスーパーで売られており、栄養価は同じだ。調理する前に解凍して水気を切っておくと、ねばねば感が軽減される。そしてオクラの粘液はレクチンと結合するのだ。

とくにブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜には、腸内環境を整える効果がある。芽キャベツには食物繊維やビタミンB1、B2、B6、C、Kなどが豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用もある。芽キャベツは、とくに腸に優しい野菜のひとつと言えるだろう。

一方、ブロッコリーの食物繊維は芽キャベツよりやや劣るが、調理した1カップ分のブロッコリーでオレンジ1個分のビタミンCを摂取できる。また、βカロテンも豊富に含まれている。さらに、ブロッコリーにはビタミンB1、B2、B3、B6が含まれていることを知っていただろうか。ビタミンB群がこれほど含まれるものはそうないだろう。また鉄分やカリウム、亜鉛、マグネシウムも豊富に含まれている。

さらに、ブロッコリーがリーキーガット(腸管透過性亢進)の治療に役立つという証拠もある。ある研究では、ヒトのリーキーガットや大腸炎に似た症状を持つマウスに、ブロッコリーをたっぷり含んだ食事をさせたところ、症状が軽減された。同じ症状のマウスにブロッコリーを食べさせなかった場合、症状は変わらなかった。なぜそんなことが起こったのか?

ブロッコリーや芽キャベツなどのアブラナ科の野菜には、インドロカルバゾール(ICZ)と呼ばれる化合物が含まれている。この化合物は、アリール炭化水素受容体(AhR)と呼ばれる腸内の受容体と結合し、体が毒素に反応するのを助ける役割を果たす。AhRとICZが腸内で結合すると、腸のバリアと免疫システムがともに強化されるのだ。

皮肉なことに、以前はリーキーガットの患者の多くが、医師からブロッコリーや芽キャベツなどの「食物繊維」を避けるよう言われていた。だが実は、こうした野菜は患者の腸を治すのに役立つのだ。リーキーガットやIBSの症状が出ている場合は、下痢や痙攣を起こさないよう、初めて食べるときはドロドロになるまでじっくり煮込むか、圧力鍋を使うといい。

キノコがいい理由

キノコ類

キノコ類の健康効果は古くから知られている。だが長寿研究の仲間が、キノコ類に豊富に含まれる2つの重要な抗加齢に効く物質、エルゴチオネインとグルタチオンを初めて特定した。キノコ類はこの2つの抗酸化物質を最も多く含む食品であり、フリーラジカルから体を守り、若さを保つのに役立つ。

キノコを調べた結果、ポリフェノール含有量はポルチーニが圧倒的に高かった。第2位は、人気の高いホワイトマッシュルーム。キノコ類には多糖類がたっぷり含まれる。多糖類は微生物叢を養い、免疫系に「落ち着くように」と指示を出してくれる。キノコ類が免疫力を高めるというのは、これが理由だ。

そして何よりも、熱を加えてもキノコに含まれる大事なポリフェノールに影響はない。だから炒め物やソテーにして、アンチエイジング効果のある野菜の付け合わせとして食べよう。

だが、キノコを食生活に取り入れる本当の理由は、ポリアミンが豊富に含まれていることだ。ポリアミンは長寿を促進する化合物で、百寿者はよくこれを摂っている。

私のお気に入りのポリアミンはスペルミジンで、これは精液に含まれることから名付けられた。研究によると、スペルミジンは寿命を延ばし、心臓を保護する働きがあるという。キノコ類はスペルミジンの優れた摂取源のひとつだ。

果物の多くは、旬の時期にだけ適度に食べるのが望ましいのだが、もともと低糖質で、季節を問わずたくさん食べてよい果物もある。残念ながら、こうしたアンチエイジング効果の高い果物は、果物だと思われていないことが多い。以下のようなものがある。

グリーンバナナ

バナナにはカリウムが豊富に含まれるため賞賛されているが、バナナには微生物叢が嫌がる糖質も豊富に含まれている。中くらいのバナナ1本には14gの糖が含まれており、これは小さじ3杯半に相当する。ところが、未熟なバナナは果糖の含有量が少なく、レジスタントスターチで構成されているため、微生物叢が好んで食べる。

だから青いバナナを見つけたら、ぜひ買おう。アボカドと同じく、この低糖質の果物は髪や肌に栄養を与える。アボカド1/2個とグリーンバナナ1/2個をつぶして混ぜ、ヘアマスクやフェイスパックとして使おう。良い香りがするし、肌の細菌たちも喜ぶ。

ラズベリー、ブラックベリー、マルベリー

この酸味のあるベリー類は、1カップあたりの糖分が約5gしかなく、プレバイオティクスの食物繊維の宝庫であり、エラグ酸を含むポリフェノール類がたっぷり含まれている。また、ビタミンA、C、Kも豊富に含まれている。甘いものが好きな人は、ラズベリーを冷凍しておけば、悪玉菌を増やすことなく小腹を満たせるだろう。

このほかにも…

エクストラダークチョコレート

腸の仲間たちは毎日チョコレートを食べてほしがっている。だからエクストラダークチョコレートを毎日28gずつ食べてみよう。満足感があって贅沢な気分になれるだけでなく、健康にも良い影響を与えられる。

チョコレートには抗酸化物質やフラボノイドが含まれており、これらには強力な抗炎症作用がある。しかし、本当の効果は、市販されているほとんどのチョコレートの主成分である植物由来のカカオにある。

カカオに含まれるフラボノールには、脳の健康を促す効果があり、フラボノールが豊富なチョコレートを長期的に摂取することで脳を保護できる。ある研究では、少量のダークチョコレートを3カ月間食べつづけた人は、対照群に比べて記憶力、処理速度、注意力が向上した。

他の研究では、フラボノールを摂取した高齢者の記憶保持力と新しい学習能力が顕著に向上したことが示されている。これは、加齢によって最も影響を受ける脳の構造である大脳皮質への血流が増加したことと関係があると考えられている。チョコレートを食べると加齢によって最も劣化する脳の部分の血流が増え、老化を防げるということだ。

ただし、コンビニなどに並ぶチョコレートバーを手に取る前に思い出すこと。ミルクチョコレートの主成分は砂糖で、健康上の利点はない。少なくともカカオ含有量72%以上のものを選ぼう。できるだけダークな方が良い。チョコレートの摂取量は1日28g程度に留めよう。

私はカカオ90%以上のチョコレートをよく食べる。また、「アルカリ処理」(ダッチ・プロセス)されたチョコレート製品は避けること。アルカリ処理は、健康を促すチョコレートのポリフェノールを破壊してしまう。

お茶の力

緑茶

私が愛飲している温かい緑茶は、自己免疫疾患の症状を改善し、病状を軽減する。これは、自己免疫T細胞とその炎症性サイトカインの増殖を抑制するためだ。私は緑茶とミントティーを1日に5杯ほど飲んでいるが、自己免疫疾患の患者もそうではない人も、炎症を抑えるために同じように飲むことを勧める。

記事画像

『死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

さらに長寿を目指すなら、オーガニックのプーアール茶がおすすめだ。この発酵茶は、脂質の酸化を抑えることがわかっている。プーアール茶に含まれるポリフェノールには、鉄分濃度を低下させる働きもある。

いや、「鉄欠乏性貧血」にはならない。鉄は老化を促す代表的な化合物のひとつだ。鉄分濃度が高いと、文字通り錆びてしまう。そして、プーアール茶はアッカーマンシア菌の成長を促す。この細菌が増えてほしくない人はいないはず。

さて、さまざまなおいしい食材を紹介してきた。腸の仲間たちがここまでセンスがいいとは思わなかったろう。食事を楽しみながら腸内環境を整えるのは、とても簡単なことだ。ただし、うっかり悪玉菌が好む食事はしないよう気をつけよう。

(訳/川岸 史)

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提供元:チョコ好きの人に教えたい「身体にいい」食べ方|東洋経済オンライン

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