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2022.06.07

【ポジティブ・エイジング養生訓】命にかかわる老化太り


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肩がこる、疲れがとれない、食欲がない・・・とお悩みのみなさん!いつまでも明るく元気な「健康現役人」を目指すには、日頃からの“養生”が肝心です。漢方と、西洋医学を駆使する木村容子先生が、現代の養生訓を指南します。

加齢→腎虚→太る

加齢によって、誰でも太りやすくなります。もちろん一般的に太りやすさは、体質によって違いがありますが、中高年は、どのタイプの人でも、さらには、それまで太りにくかった人でさえも太りやすくなります。
漢方でその理由を説明すると、老化の2つの流れの1つ「実から虚」への過程で、加齢による老化によって「腎」の働きが衰えると、水分代謝が低下したり、基礎代謝が低くなって、老廃物を溜め込みやすくなり、脂肪が体内に滞るようになるから、と言えます。
「腎」とは、五臓六腑の中の1つで、西洋医学でいう腎臓機能(心臓から送られてくる血液から余分な塩分や老廃物をろ過して尿として排泄する機能)のほか、カラダ全体を温め、水分代謝全体や生殖機能、歯や骨、呼吸などに関わっています。
泌尿器系や内分泌系に関わる「腎」は、加齢とともに自然と働きが衰える「腎虚」の状態になります。これは、水分代謝が低下したり、基礎代謝が低くなって老廃物を溜め込み、脂肪が体内に滞るようになる状態をいいます。こうした加齢による老化太りは「腎虚太り」と考えられます。いわゆる“中年太り”です。腎虚太りは、おなかやお尻、太股といった下半身に脂肪がつきやすいのが特徴です。

中高年だからこそ、ダイエット

また、もう1つの老化の流れである「陽から陰」への移行でも、カラダ自体が冷えやすくなり、基礎代謝が落ち、摂取したエネルギーがうまく消費されずに余分な脂肪が体内に溜まっていきますから、結果的に太ることをサポートすることになってしまいます。
西洋医学で説明すると、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少が、老化による太りやすさにつながると言えます。
エストロゲンは、コレステロールの代謝にも関わっていますから、閉経によってエストロゲンの分泌が激減することで、カラダはコレステロールを溜め込みやすくなります。
「太る」ということ自体は病気ではありませんが、見た目の体型が気になることはもとより、高脂血症といった命に関わる病気にもつながってしまうのが、中高年の「腎虚太り」で気を付けなくてはいけないことです。
自然と太りやすくなる年代だからこそ、なるべく太らないように意識する、「ダイエット」という発想が大事になり、病気の予防にもつながります。

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激しい運動は避ける

ただ、太るのを避けようとして、翌日に疲れが残るほど激しい運動をしてはいけないのが、この年代です。体力を消耗させることは、生まれながらにして持っている先天の気に関わる「腎エネルギー」をすり減らすことにつながり、かえって、老化を早めてしまいかねません。ご自分の体力に合わせたエクササイズを選ぶことが大切です。
 前述のように、腎虚太りは下半身に表われやすいので、下半身全体の血行を良くして、脂肪を燃焼させやすくしておくようにしましょう。開脚などのストレッチを日々行ったり、下半身の冷えに効果があると言われるツボ(三陰交や照海など)を押してみてください。

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甘味コントロールには酸味を活用する

また、ダイエットと言っても、カロリーを気にしての極端な粗食はかえって逆効果です。先天の気を補うべく、腎の働きを活発にする食材を選び、代謝を促すような工夫をすべきです。黒豆や黒ゴマなどの黒色の食材や、ヤマイモやオクラなどのネバネバ食品を積極的に食事に取り入れることは、腎を補うことにつながります。
さらに漢方では、塩辛さが腎の機能を高めると考えられています。例えば、塩辛い味の源である海水に関わりのある、昆布やワカメ、海苔、ヒジキなどの海草類や、エビ、貝類などがおすすめです。ただし、コレステロールが高いなど、医師から食事制限を受けている場合は、その指示に従ってください。
甘味をコントロールすることも、腎虚太り対策では有効です。すぐにエネルギーになりやすい甘いものは、エネルギーが減ってきているこの世代が手を伸ばしたくなるのですが、漢方では、甘味を取りすぎると腎の働きを低下させてしまうと考えます。
甘味の取りすぎを抑制するのは、酸味です。甘いものが欲しい時や、甘いものを食べ過ぎてしまった際には、酸味を積極的に摂るようにすると良いでしょう。

著者:木村容子(東京女子医科大学附属東洋医学研究所所長)

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お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁入省(国家公務員I種)。イギリス・オックスフォード大学大学院に留学中、漢方に出会う。帰国後、退職して東海大学医学部に学士入学。2002年から東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。現在、同研究所所長。日本東洋医学会認定 漢方専門医、指導医。内科学会認定医。日本東洋医学会理事。人生100年時代に向けて、漢方治療を通じて各自に合わせた“ポジティブ・エイジング”を推進。

著書:『太りやすく、痩せにくくなったら読む本 医師が教えるほんとうのダイエット』(大和書房)
『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)
『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
『漢方の知恵でポジティブ・エイジング』(NHK出版生活人新書) 
他多数。

記事提供:介護・福祉の応援サイト「けあサポ」

「けあサポ」は、福祉の出版社である中央法規出版が運営する、介護・福祉でがんばっているみんなのための、応援サイトです。福祉の資格を取りたい方、福祉の現場で活躍する方に役立つ情報を毎日お届けしています。

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提供元:【ポジティブ・エイジング養生訓】命にかかわる老化太り|けあサポ

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