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2022.05.12

「お世辞」を言わずに相手を気持ちよくさせる方法|元FBI捜査官が教える「自分を褒めさせる技術」


相手との信頼関係を築くのに「褒める」のは有効な手段ですが、「褒め言葉」を「お世辞」と思われては逆効果になってしまうことも。「お世辞」と思われずに、相手を気分良くさせるには?(写真:mits/PIXTA)

相手との信頼関係を築くのに「褒める」のは有効な手段ですが、「褒め言葉」を「お世辞」と思われては逆効果になってしまうことも。「お世辞」と思われずに、相手を気分良くさせるには?(写真:mits/PIXTA)

ビジネスでもプライベートでも、相手との信頼関係を築くには、「好感度アップ」が必要だ。ただ、好感度アップのためにウソ臭い「お世辞」を言うと警戒されてしまうリスクもある。
しかし、お世辞を言わなくても、テクニック次第で、相手を気分良くさせて「好感度アップ」が狙える方法があるという。元FBI特別捜査官で数々のスパイや容疑者から情報を引き出してきた著者がそうしたテクニックを惜しみなく紹介した『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』(ジャック・シェーファー/マーヴィン・カーリンズ著)が刊行された。相手を気分良くさせて、信頼関係を築く方法を本書から一部抜粋・編集して、お届けする。

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お世辞が逆効果になることも

好感度アップするには人を褒めるのが効果的だ。ただし、あなたの褒め言葉がウソ臭いと思われたり、何か下心があってお世辞を言っているのではと勘繰られたりしたら、逆効果。相手はあなたにネガティブな印象をもつことになる。他人に操られたり、ウソをつかれたりして、いい気分になる人はいない。

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たとえば、誰かに「○○がお上手ですね」とお世辞を言ったとしよう。ところが相手は、それが不得手であると自覚していれば「なぜこの人はわざわざこんなお世辞を言うのだろう?」と疑問に思う。あなたの評価と自分の評価が一致しないのは一目瞭然だからだ。

これを避けるには、相手に「自分自身を褒めさせるテクニック」を使えばいい。こうすれば、お世辞を言って不快に思われる危険もないし、相手の自尊心をくすぐっていい気分になってもらえるうえ、怒りを買うおそれもない。相手が「自分を褒める」ときに、あなたの誠意の有無は関係ない。

そして、人は「自分を褒める機会」を与えられれば、喜んで自画自賛する(その機会を、あなたがタイミングよく提供するというわけだ)。

自分を褒めさせるコツは、相手の個性やなし遂げたことを把握し、「よく頑張っていますね」「すごいですね」と背中を押すようなフレーズを言うことだ。人は自尊心をくすぐられると「いい気分」になり、その結果あなたに好感をもつ。次に、自分を褒めさせる具体的な例を紹介しよう。

ブラッド:じゃあ、ずーっと忙しくて大変だったんだ。
クリスティーナ:ええ。大きなプロジェクトがあって、ここ3週間、週に60時間も働いたのよ。
ブラッド:それだけ大きなプロジェクトを成功させるには、強い意志をもって、集中して頑張りぬかなくちゃならないんだろうね。〔「自分を褒める機会を与える」〕
クリスティーナ:そうね(考えながら)、この一大プロジェクトのために、いろいろと我慢して頑張ったわ。その甲斐あって、自分で言うのもなんだけど、いい仕事ができたはずよ。

ブラッドはクリスティーナに、これまで頑張ってきた自分を褒めるチャンスを与えた。その結果、クリスティーナは満悦することができた。簡単な言葉を使って共感を示しただけで、会話の方向性を変え、クリスティーナに自画自賛させることに成功したのだ─―それも当人には気づかれないまま。

外見以外でも褒めるところはたくさんある

褒め言葉にはさまざまなかたちがあり、その程度もさまざまだ。85年近く前、デール・カーネギーは著書『人を動かす』(創元社)のなかで、褒め言葉の価値を認めていた。この本はいまなおベストセラーとなっている。なぜだろう? 

それは、いわばカーネギーが〈好感度アップの鉄則〉を守る草分けとして、褒め言葉の重要性を認識し、世間に広めたからだ。彼の助言のなかには、ある人物を見たら、相手がどこに自信をもっているかを観察し、そこを褒めるといいというものがある。

この戦略は、論理的に練られていた。たとえば身に着けるものにこだわったり、手入れのゆきとどいた口ひげをたくわえたりと、「外見」をよくする努力をしている人であれば、誰かがその点に気づいて褒めてくれれば、嬉しくないはずがない。そして、褒めてくれたあなたへの評価も上がるというわけだ。

ただし昨今の社会では、人の外見(服装、髪型、体型など)を褒める際には少しばかり注意が必要となるが、適切に敬意をもって褒めれば、相手を「いい気分」にさせたうえで、信頼関係を築くことができる。どちらも、引き出し法を成功させるうえで欠かせない下地となる。

外見や服装を褒めるのは少々リスクをともなうので避けたいという場合でも、人を褒める方法はほかにもたくさんあるし、そのチャンスも多い。

たとえば、誕生日、結婚記念日、子どもの誕生、結婚、地域や職場でのなんらかの受賞、転職、昇進、組織への加入、仕事や趣味での成功、新車や家など高額の買い物……。

よく知らない人に名前を憶えてもらっていることがわかっただけでも、褒められた気分になる。デール・カーネギーは「世の中でもっとも甘い響きをもつ言葉は自分の名前である」と述べた。

「自分を気にかけている」が好感の下地になる

このように、相手を褒めようと思えば、そのチャンスはいくらでもある。要するに、想像力を駆使すれば、いくらでも誉め言葉を考えつけるのだ。
ある人物の何かについて褒めるのは、二つの理由で効果がある。

(1)相手を「いい気分」にさせたうえで、(2)わざわざ時間をかけて相手の生き方や考え方を推測したり、外見を観察したりして、いいところに気づき、それをわざわざ伝えるほど、あなたが相手のことを思いやっていることを示せるからだ。

「この人は、自分のことを気づかってくれている」と思えば、相手はあなたに好感をもちやすくなる。アメリカ大統領を務めたセオドア・ルーズベルトは、この事実の本質をしっかりと把握していて、「あなたがこちらのことをどれほど気にかけているかがわかったとき、初めて、あなたがどの程度知っているのかを気にかけるようになる」と述べている。

人を褒めるときは、率直に褒めよう。そして、けっして、やりすぎないように。また、相手にその褒め言葉を信じてもらえなければ意味はない。たとえばさきほどの例のように、仕事でよく頑張ったねと褒めたとしても、相手が手を抜いていたことを自覚していた場合、不快に思われかねない。

「褒め言葉」についてまとめよう。あなたが褒めた結果、相手が自身のことを好きになれたのであれば、相手はあなたのことも好きになる。その結果、引き出し法を最大限に有効活用するための下地ができるのだ。

(翻訳:栗木さつき)

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提供元:「お世辞」を言わずに相手を気持ちよくさせる方法|東洋経済オンライン

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