2022.04.15
果物は野菜の代わりになる?ならない?管理栄養士がお答えします
「今日は野菜が取れなかったから、代わりに果物を食べよう!」
食事は毎日のことですから、こんな会話が生まれるときもあるのではないでしょうか?野菜は食べた方がいいとわかっていても、忙しい毎日のなかで食事に時間や手間をかけられず、野菜不足を感じる日もありますよね。
そこで今回は、知っているようで知らない「果物は野菜の代わりになる?」という疑問に管理栄養士の視点でお答えしていきます。
知っておきたい野菜・果物の基礎知識
なんのために野菜と果物を食べることが推奨されているの?
野菜と果物には、日本人が不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれています。特に野菜に多く含まれている食物繊維は、整腸作用、生活習慣予防など、さまざまな面で体の健康に寄与することが明らかにされている、積極的にとりたい栄養素です[1]。
野菜と果物は1日にどのくらい食べればいいの?
私たちが健康的な食生活を送るために、野菜と果物は毎日の食生活に欠かせない食品と位置付けられています。厚生労働省と農林水産省が共同で策定した、1日に何をどれだけ食べたら良いかの目安をわかりやすく記した「食事バランスガイド」では成人1人1日当たり野菜は350g、果物は200gをとることを推奨しています[2]。
日本人の野菜、果物の摂取状況は?欧米と比べて?
令和元年の「国民健康・栄養調査」のデータを見てみると、成人1人1日当たりの野菜摂取量は280g、果物摂取量は100g程度で多くの人が目標に足りていないことが伺えます。
それに比べて欧米では、健康的な食生活に対する消費者の関心が高まり、国民1人当たりの野菜摂取量はわが国を上回っています。
そして日本人の果物摂取量については世界174か国中129位と、国際的にみても最低水準というのが現状です[3,4]。
野菜も果物も、日本人はあまり摂取できていないようです。
ここが違う!野菜と果物の栄養成分
野菜と果物の違いについて疑問に思われている方が、主に気になっているのは栄養価の違いのようです。はたして、野菜でとりたい栄養素は果物でも補えるのでしょうか?
まずは、日本人の摂取量が多い野菜と果物を抜粋し、栄養成分を比較してみましょう。
野菜と果物に含まれるミネラルとビタミンの種類には違いがあります。野菜のなかでも特に緑黄色野菜は、カルシウムや鉄などのミネラルやビタミンA、ビタミンB群を比較的多く含む特徴が見られます。
果物は、カリウムとビタミンCについては野菜よりも多く含むものもありますが、野菜に比べて含まれるミネラルやビタミンの種類は少ない傾向があります。
また、糖質の量にも注目してみてください。果物は野菜と比べて糖質の量が多いため、本来とるべき野菜を果物に置き換えたら、糖質のとりすぎになる可能性があります。過剰に摂取した糖質は中性脂肪になり、体脂肪として蓄積されてしまうため注意が必要です[5,6]。
野菜・果物はどのくらい食べたら良い?
では健康的な食生活を送るために、野菜・果物を具体的にどのくらい食べるとよいのでしょうか?1日の目標量である野菜350g、果物200gをとるために、100gの目安を表にしましたので、こちらを参考に組み合せて食べてみてはいかがでしょうか。ただし、医療機関に受診している方は必ず担当の医師の指示に従ってください[7]。
結論:野菜と果物の栄養成分は違うがどちらも大切
野菜と果物はそれぞれ含まれている栄養成分の特徴が異なるため「野菜の代わりに果物を食べる」と言うことは通用しません。しかし、どちらも健康的な体づくりに大切な食品ですので、それぞれの栄養成分の特徴を理解しながら、ご自身のライフスタイルに合わせて毎日の食事に積極的に取り入れてくださいね。
【参考文献】(すべて2022年3月12日閲覧)※外部サイトに遷移します
[3]厚生労働省:令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要|栄養素・食品群別摂
【プロフィール】管理栄養士 小野久実
管理栄養士の資格を取得後、精神科病院、老人保健施設、保健センター等に勤務し、給食業務や栄養管理業務で赤ちゃんからお年寄りまでの栄養指導を経験。現在は小中学生アスリート向けの“手間暇かけない栄養満点スポーツ食で、子供のベストパフォーマンスを引き出す”をコンセプトにした、パーソナル栄養講座を開催し、成長期に必要な栄養と競技の特性を合わせた栄養サポートをチームや個人の方に行っている。
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記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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