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2021.08.12

“カット野菜は栄養がない”は誤解!?気になる栄養価を管理栄養士が解説


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ここ数年、カット野菜の需要の拡大が進み、スーパーやコンビニで見かけることが多くなりました。この背景には、共働き世帯の増加や家事時間の減少など私達のライフスタイルの変化があるようです。すぐに使えて便利なカット野菜は、チルドから冷凍まで幅広く販売されていて私たちの食生活に身近な存在となっています。

また、食の簡便化や多様化が進んだことにより、外食や中食市場が急拡大したことでカット野菜のニーズが高まったと考えられ、今では野菜市場の6割を占めるまでに変化しました。

そこで今日は、カット野菜の気になる栄養価と上手な活用法について解説していきたいと思います[1]。

カット野菜と生野菜の栄養価、どのくらい違うの?

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カット野菜は野菜を洗って、小さく切るなど食べやすく加工し包装した商品です。袋入りサラダや炒め物用ミックス野菜など、用途によりさまざまな種類があります。とても便利な反面、「カット野菜は、栄養が抜けていて食べる意味がないのでは?」と疑問の声も伺えます。では実際、カット野菜は栄養価がなく食べる価値がないのでしょうか。さまざまな工程を経て商品となるカット野菜に、栄養価がどれほど期待できるのかを見ていきましょう。

HACCP手法によるカット野菜の衛生管理マニュアルより、製造過程の一部は以下の通りです。

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よくカット野菜に使われている野菜に含まれている主な栄養素は、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル、食物繊維です。そのなかでビタミンB群とビタミンCは水溶性ビタミンのため、製造過程の洗浄中に失う可能性があります。

ここで女子栄養大学による「水に浸した千切りキャベツのビタミンC残存量」の実験データをご紹介すると、千切りキャベツのビタミンC含有量44mgに対し、30分水に浸した後の残存量は35mgで、水につけることで失ったビタミンCは約2割でした。

カット野菜は商品によって加工法等が異なるため、全ての商品に同じことが言えるわけではありませんが、この実験結果を考慮すると、ある程度の残存量が期待できるのではないでしょうか?

そして、カット野菜に限らず、ご家庭での調理過程においても同様なことが言えるでしょう。長時間水に浸けて洗うことで、栄養素が失われている可能性があります。

結論としては、多少水溶性の栄養素が減ってしまう可能性があるとしても、脂溶性のビタミンAや食物繊維など、水に溶けない栄養素はあまり変化しないと考えられるため、「カット野菜は栄養が抜けている!」「食べても意味がない!」とは言い難いのではないでしょうか。生鮮野菜、カット野菜とあまり区別をせずに、さまざまな種類の野菜を食べることをお勧めします[2-4]。

カット野菜を上手に活用して、野菜不足を防ごう!

厚生労働省が進めている国民の健康作り運動である「健康日本21(第二次)」で、健康な生活を維持するための目標値の一つに「野菜類を1日350g以上食べましょう」と掲げられているのはご存知でしょうか?

野菜を食べることを推奨している理由の1つは、食物繊維を積極的にとる必要性があるからです。食物繊維は、私たち日本人が不足しがちな栄養素の一つであり、糖尿病、虚血性心疾患などの生活習慣病の予防に役立つ働きがあることが認められています。

しかしながら、「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、野菜摂取量の平均値は 280.5gです。世代別で見てみると、特に20~40 歳代で不足が目立ち、男性は250g前後、女性は230g前後で、目標摂取量に約100gも足りてない傾向が見られます。

そして「健康な食習慣の妨げとなる点」による調査では、20〜40歳代男女ともに「仕事(家事、育児)が忙しくて時間がない」「面倒くさい」と回答した人の割合が非常に高いことが伺えます。もし、毎日の食事に便利なカット野菜を活用できたら、多くの人たちが今よりもっと健康的な生活を送ることができるかもしれません[5, 6]。

カット野菜を味方に!上手に活用するコツ

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私たちがカット野菜を利用する最大のメリットは、手間や時間をかけずに、食物繊維などの栄養がとれることではないでしょうか。忙しい日や食事作りを負担に思う日にこそ便利なカット野菜をもっと活用していきませんか。

カレーの日やコロッケなどの惣菜を買って済ませたい日に、生野菜サラダや千切りキャベツをプラスする、そうめんにカットオクラやカットネギなどをプラスするなど、工夫次第で簡単に野菜をとることができます。普段のお料理に野菜を簡単にプラスするために、カットほうれん草や里芋、かぼちゃ、ブロッコリーなど、下処理をせずにパッと使える冷凍野菜を常にストックしておくのも良いですね。

もっと手軽にもっと野菜を!

カット野菜の気になる栄養価について、失われる栄養素は微量で、生野菜とそれほど大きく変わるものではないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。まずは細かいことを気にせず、忙しい毎日にぴったりなカット野菜を積極的に活用して、今より一品でも多く野菜をプラスするところから始めてみませんか?ご自身のライフスタイルに合わせ賢く野菜を選びましょう。

【参考文献】(すべて2021年6月12日閲覧)

[1]農林水産省|加工・業務用野菜をめぐる状況|野菜の消費動向 ※外部サイトに遷移します

[2]一般財団法人食品産業センター|HACCP関連情報データーベース|HACCP手法によるカット野菜の衛生管理マニュアル「第二章 カット野菜類の一般衛生管理」 ※外部サイトに遷移します

[3]独立行政法人農畜産業振興機構|野菜|野菜の旬と栄養価 ※外部サイトに遷移します

[4]厚生労働省「日本人食事摂取基準(2020年版)」

[5]厚生労働省|e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康 ※外部サイトに遷移します

[6]厚生労働省|令和元年国民健康・栄養調査報告|第1部 社会環境と生活習慣等に関する状況 ※外部サイトに遷移します

【プロフィール】管理栄養士/小学生アスリート食インストラクター 小野久実

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管理栄養士の資格を取得後、精神科病院、老人保健施設、保健センター等に勤務し、給食業務や栄養管理業務で赤ちゃんからお年寄りまでの栄養指導を経験。現在は小学生アスリートのお子さんを持つご両親に向け “手間暇かけない栄養満点スポーツ食で、子供のベストパフォーマンスを引き出す”をコンセプトにした、パーソナル栄養講座を開催し、成長期に必要な栄養と競技の特性を合わせたスポーツ栄養の両方を考慮したチームや個人のサポートを行っている。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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