2021.04.21
「やる気が続かない人」が使っている2つの語尾|目標を立てても中途半端に終わっていませんか
「ダイエットをしようと決めたのに続かない」「お菓子を食べないように気をつけようと思ったのに守れない」といった経験はありませんか(写真:buritora/PIXTA)
メンタルコーチングをした星稜高校野球部が甲子園決勝進出を果たし、女子スピードスケート髙木菜那選手は平昌五輪で2つの金メダル獲得するなど、メンタルコーチとしてビジネスとスポーツの両分野で実績を残してきた飯山晄朗氏。『勝者のゴールデンメンタル』の著者でもある同氏が、「やる気が続かない」「目標を立てても中途半端になってしまう」人がやってしまいがちな言動と対処法を解説します。
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無理やりやる気を出そうとしていないか
やる気が続かない。目標が中途半端に終わってしまう。こういった悩みを持つ多くの人が、無意識にやる気を削ぐような言葉を使っている可能性があります。例えば、「あのタスクをこなさなければいけないな」「行動しないといけないな」と自分を鼓舞して、無理やりやる気を出そうとしていないでしょうか。
実はやる気を出さなければいけない、行動しなければいけないと思うほど、逆効果になってしまうのです。「〜しなければいけない」といった言葉は、脳に義務感とプレッシャーを生み出す言葉だからです。一時的には行動力が上がっても、それを維持することは大変難しいでしょう。
ではどのような言葉を使えば、自分のやる気を引き出すことができるのでしょうか。私はこれまで2万人以上の方と向き合い、脳科学と心理学に基づいたトレーニングによって、多くの方のメンタルを改善してきました。そして、その結果、オリンピックで金メダル獲得、甲子園で決勝進出などの成果を残すことができています。
長年のメンタルコーチングを通して学んだ大事なことは」、普段の「言葉遣い」に気をつければ、やる気や自信は高まっていくということです。今回は、やる気が続かない人が使ってしまっている口癖を4つのシチュエーション別にご紹介していきます。それを、どう言い換えればいいのか対処法もご紹介しています。仕事へのモチベーションがなかなか高まらない方、やる気が持続しない方など、ぜひ普段から実践してみてください。
(1) 「〜しなければいけない」
仕事の現場でも「メールをしなければ」「コストを削減しなければ」という「〜しなければいけない」という言葉がよく使われています。
「〜しなければいけない」という言葉は一見してプラス言葉のようですが、義務感やプレッシャーとして脳に伝わり、逆にマイナスの影響を及ぼしてしまう言葉なのです。脳にはストレスがかかってしまい、やる気や行動力が下がっていきます。
「課題をこなさなければ」ではなく現在形に
実は言葉には使ううえでの原則があり、脳の機能を利用した言葉の原則を知らないと、いくらプラスの言葉を使っても意味がなくなり逆効果にさえなってしまいます。まずは「言葉の語尾に気をつける」ことが大事です。同じ言葉でも語尾が異なれば、脳はまったく異なった認識をします。
例えば、何か課題に追われている時に、「課題をこなさなければ」と思うのではなく、「課題をやる」と意識しましょう。行動力を高めるためには、言葉を使う時に語尾を「断定か現在進行形」にします。
「課題をこなさなければ」ではなく、「課題をやる」または「課題をこなしている」と口にした瞬間に脳はだまされてしまい、そのことを勝手に実現しようとするのです。義務感やプレッシャーから解き放つ言葉を使って、脳をだましながら実現に向かって行動していきましょう。
(2) 「〜してはいけない」
もう1つ気をつけなければいけない語尾は、「〜してはいけない」です。例えば、仕事の大切な場面で「ここは失敗してはいけない」と思っていると、結果的に失敗を招くことがあります。実は、脳は否定形のイメージをつくることができないため「○○してはいけない」と言うと○○の部分をイメージしてしまうからなのです。
「緊張してはいけない」と言うと「緊張」が。「お菓子を食べてはいけない」と言うと「お菓子を食べる」がイメージされます。脳はイメージしていることを実現しようとしますから、どんどんイメージに向かってしまうのです。ですから、使う言葉を変えるようにしましょう。
「緊張してはいけない」を「リラックスしている」。「お菓子を食べてはいけない」を「野菜(ヘルシーなもの)を食べる」。といった感じです。このように言い換えていくと、プラスの行動につながっていくでしょう。
寝る前3分が「ゴールデンタイム」
(3) 寝る前にマイナスなことを言う・考える
脳は寝た瞬間にその日一日を再生する機能があります。もし、その日一日を否定的な思いで過ごしていて、寝る前まで引きずってしまうと、脳は睡眠中にその否定的な思いをつくる原因となった出来事も含めて何度も反復してしまい、マイナスのイメージトレーニングをしていることと同じになってしまいます。
また、一日中肯定的な思いになる出来事ばかりだったとしても、寝る前に否定的な思いになる出来事があると、マイナスのイメージトレーニングをしていることになるのです。
逆に、一日中否定的な思いになる出来事ばかりだったとしても、寝る前に肯定的な思いをつくってしまえば、脳は最後を記憶するため、肯定的な記憶データとして記憶してくれるのです。つまり、一日をどのような思い、感情で終わるかが夢や目標を実現するためにとっても重要になるのです。
脳は一日の最後を強く記憶します。そして寝る前に思っていたこと、感じていたことを寝ている間に繰り返してくれるのです。布団に入ってから寝付くまでの時間で、いいイメージトレーニングを行えば効果的に潜在意識に記憶させることができるのです。
例えば、今日少しでも良かったことがあったなら、そのことだけを思い浮かべて眠りにつくのも1つです。また、今日は全部がうまくいかなかったという日があっても、「明日朝早く起きて前向きに行動できている自分」を思い浮かべてみるのもいいでしょう。この「脳のゴールデンタイム」に実現イメージを描くのです。可能であれば、眠る前に一日3分のイメージタイムをとりましょう。この繰り返しが将来の自分をつくります。
(4) 「あれもこれもやりたい」
私たちの脳は、2つ以上のことに集中することができません。さらに、2つ以上のことに感情移入することも非常に難しいのです。だから、「あれもこれもやりたい」というよりも、「これ1つに集中する」と取り組みを1つに絞ることが重要になります。
1つに絞ることで、実現しているイメージと、そのときの達成感などの感情も明確にすることができます。こんな話をすると、「1つに絞ることが難しい」という方がいますが、すべては優先順位を立てることが物事をやり遂げるには重要です。
まずは、○○をやる。○○ができたら(実現したら)次は△△を。そして、△△ができたら(実現したら)□□を、という具合に、優先順位を決めて、順番に実現していくのです。
物事を成し遂げるためには、「選択と集中」することが必要です。時間や労力、お金など、リソース(資源)は限られています。あれもこれもと言っていたら、時間、お金、労力といった大切な資源が分散してしまい、結局何も実現できないということにもなりかねません。
まずこれ、と決めてそこに時間とお金と労力を集中させる。その目標が実現したら、次の目標へ。このように選択して集中して取り組むから、実現しやすくなるんですね。優先順位を決めて、臨んでいきましょう。
「小さいことの積み重ね」が大事
以上シンプルではありますが、厳選してご紹介させていただきました。
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やる気を引き出す上で、私自身が大切にしている言葉があります。「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」というイチロー選手の言葉です。すごく重みがありますね。
私はこの言葉が毎日メルマガを書くモチベーションになっています。そして、もうすぐメルマガは5300本になります。イチロー氏の通算安打数を抜きました。メンタルコーチングを始めて、数十年、おかげさまで多くのアスリートや社会人が劇的に人生を好転する瞬間を目の当たりにしてきました。これも積み重ねがあっての結果だと思います。
今回紹介した口癖は小さなコツですが、継続して意識することで確実にいい結果をもたらしてくれるものばかりです。日々意識すると言うのは簡単なことではありませんが、できることからコツコツと実践してみてください。
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提供元:「やる気が続かない人」が使っている2つの語尾|東洋経済オンライン