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2021.04.09

6時間睡眠の人ほど「体調不良に陥る」納得理由|ミスが多いのはただの「睡眠不足」が原因かも


「6時間睡眠」の人が見落す危険なデメリットとは?(写真:Kayoko Hayashi/iStock)

「6時間睡眠」の人が見落す危険なデメリットとは?(写真:Kayoko Hayashi/iStock)

忙しい日本のビジネスパーソンは総じて、睡眠不足に陥りがちです。しかし、「睡眠時間を削って働く」よりも「睡眠時間を1時間増やす」ほうが、圧倒的にパフォーマンスが上がるということが、科学的にも証明されているのをご存じでしょうか? 書籍『ブレイン メンタル 強化大全』から、精神科医の樺沢紫苑氏が「パフォーマンスを上げる睡眠法」についてご紹介します。

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6時間睡眠続けるだけで「酔っぱらい状態」に

睡眠時間を削ると脳のパフォーマンスが著しく低下します。どのくらい下がるのかというと、6時間睡眠を14日間続けると48時間徹夜したのと同程度の認知機能になります。別の研究では、6時間睡眠を10日間続けただけで、24時間徹夜したのと同程度の認知機能になるという研究もあります。

これは具体的には、日本酒を1〜2合飲んだときの「酔っぱらい状態」での認知機能に相当します。つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている」「お酒を飲みながら仕事をしている」のと同じくらい低いパフォーマンスで、日々仕事をしているということです。

睡眠時間と集中力の関係(画像:『ブレイン メンタル 強化大全』(サンクチュアリ出版)より)

睡眠時間と集中力の関係(画像:『ブレイン メンタル 強化大全』(サンクチュアリ出版)より)

睡眠を削ることで、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかにされています。

さまざまな実験や研究の結果から、睡眠不足の人は、本来持つ自分の能力の1〜2割も低い能力で、毎日仕事をしていることがわかっているのです。

がんばっても仕事がはかどらない。ミスや失敗が多く叱られる。疲れやすい。感情が不安定。人間関係も悪化する……。睡眠時間を少し増やしただけで、仕事や人間関係の悩みが解決するとしたら、どんなに素晴らしいことでしょうか。

多忙な人にこそやっていただきたいのが、「1週間限定、睡眠時間1時間アップチャレンジ」です。今日から、「ずっと」睡眠時間を1時間増やさなければいけない、というと「難しい」と感じるかもしれません。なので、ずっとやる必要はありません。「1週間限定」でいいので、いつもより1時間早く寝て、1時間だけ睡眠時間を増やしてください。

スマホ、テレビ、ゲームなどの余暇時間を少しだけ削る。帰宅後の家事も1週間だけサボッてみる。1週間だけなら、できるのではないでしょうか?

睡眠時間6時間以下の人は、集中力、注意力、判断力、記憶力など著しい脳機能の低下を伴っており、「徹夜明け」と同程度の認知機能、作業能力しかないことをお伝えしました。「そんなわけはない」と思うかもしれませんが、「認知機能が下がっている人は、自分の認知機能の低下に気付かない」という研究があります。

慢性的な睡眠不足による仕事のパフォーマンス低下には、自分では気付けない。仕事が終わらないので残業が必要になる。残業が多いので睡眠時間を削らざるを得ないという悪循環なのです。さらに疲労やストレスもたまり、何をやってもうまくいかないという泥沼の状態に陥っているのです。それは、単なる「睡眠不足のせい」です。

たった1時間睡眠を増やすだけで脳の機能は著しく改善します。仕事のパフォーマンスは上がり、仕事の生産性は上がります。仕事のミスも減り、仕事は効率化し、仕事が早く切り上げられるようになり、そこで睡眠時間が確保できるようになります。

睡眠時間の悪循環(画像:『ブレイン メンタル 強化大全』(サンクチュアリ出版)より)

睡眠時間の悪循環(画像:『ブレイン メンタル 強化大全』(サンクチュアリ出版)より)

睡眠不足では、「10キロ」の足かせをしているのと同じ。それを取り除けば、今までとは別次元のパフォーマンスが出せるのは当然のことです。

「しっかり眠ると、こんなに調子がいいんだ」という気付きを得るだけで「睡眠改善」へと、大きな一歩を踏み出すことができるはずです。「睡眠時間を1時間増やす」は、最も簡単で、最も効果が得られる最強の仕事術なのです。

「26分の仮眠」で能率が向上する研究も

平日、睡眠不足の人は、「仮眠」をとるといいでしょう。仮眠によって、日頃の睡眠不足がなしになるわけではありませんが、「集中力低下」などの脳のパフォーマンスを改善し、健康に対する害を減らすことが可能です。

アメリカのNASAの研究によると、26分の仮眠によって、仕事効率が34%アップ、注意力が54%アップしたそうです。

アメリカでは、Googleやナイキなど、仮眠室やナップポッドと呼ばれる睡眠マシンを導入する企業が増えています。

では仮眠の場合、何分眠るのがいいのでしょう? 仮眠についてさまざまな研究がありますが、20〜30分が効果的と考えられます。30分を超えると効果が徐々に悪くなり、1時間を超える仮眠は、脳のパフォーマンス的にも健康的にも悪影響を及ぼします。

1時間を超えると深い睡眠に入ってしまうため、その後、目を覚ましてもすぐに脳は正常のパフォーマンスには戻りません。また、1時間を超える仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼします。仮眠の健康に対する影響ですが、1日30分以下の仮眠が、アルツハイマー病の発症リスクを5分の1にするという研究があります。しかし、1時間以上の仮眠は、アルツハイマー病のリスクを2倍に増加させます。

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働く男性の場合、週に3回以上、毎回30分の昼寝をする人は、死亡率が37%低く、心臓病での死亡率は64%も低くなります。また、糖尿病に関しても同様で、毎日30分程度の仮眠をとる人は、糖尿病のリスクが低く、逆に1時間以上の仮眠をとる人は、糖尿病のリスクが45%高くなる、という研究があります。

まとめると、1日30分前後の仮眠は、疲労回復、認知症予防、心臓病予防、糖尿病予防、身体の健康という観点からも、非常にいい。1時間を超える仮眠は、健康によくない、といえます。

「正しい仮眠」を取るための5つのルール

1:30分以下20〜30分が効果的

60分を超えないように注意してください。

2:眠る前にカフェイン摂取

眠る前に、コーヒーや緑茶などカフェインを摂取しておくと、約30分後にはカフェインの効果があらわれるため、自然に目覚めやすくなります。

3:できれば身体を横に

理想的には平らなところで眠るのがベストです。難しい場合は、リクライニングチェアで60度くらい角度をつける。できるだけ身体をリラックスさせたほうが、身体の疲労回復効果が得られやすいです。

4:15時までに終了

15時以後の仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすので、マイナス効果となります。

5:30分で食事、30分仮眠

60分の昼休みがある方は、30分で食事をして、残りの時間を仮眠に当てると、ちょうど、20〜30分を仮眠時間として確保できます。

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提供元:6時間睡眠の人ほど「体調不良に陥る」納得理由|東洋経済オンライン

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