2021.03.15
日本人が苦手な「自己紹介」、心を掴む簡単3秘訣|「所属、肩書から始めるはNG」あなたは大丈夫?
印象に残る「世界最高の自己紹介」を身に付ける方法を学ぶ(写真:アン・デオール/pixta)
日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。
たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。
その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方 1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は発売後、たちまち12万部を突破するベストセラーになっている。
コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「相手の心をつかむ、相手の記憶に残る『世界最高の自己紹介』」について解説する。
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多くの人が「印象に残らない自己紹介」で損をしている
いよいよ春本番。3月、4月は旅立ちと出会いの季節です。新しい職場や学校など、大きく生活環境が変わり、「自己紹介」や「自己PR」を求められる機会も増えることでしょう。
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いままで、1000人以上の社長、エグゼクティブ、企業幹部の「家庭教師」として、話し方をコーチングしてきましたが、「あなたの会社を紹介してください」「自己紹介をしてください」と問いかけると、かなりの確率で「しどろもどろ」で、あまり印象に残らない答えが返ってきます。
エグゼクティブの中にも「自己紹介」が苦手で、「初対面で相手の心をつかむ自己紹介ができない」という日本人が多い印象を受けます。
短い時間でどうすれば「自分が何者か」を要約できるのか、悩みますよね。
今回は、就活・転職だけではなく、最近、はやりの「パーソナルブランディング」にも欠かせない「自分の強みの伝え方」「最高の自己紹介の仕方」を紹介していきましょう。
私がいままでに見聞きした「残念な自己紹介あるある」には、次の3つのタイプがあります。
自己紹介の「同調圧力」で埋没してしまうことが多い
【よくある残念な自己紹介1】肩書・所属を、年代順に羅列する
1つめは、名前のあと「職歴・経歴」を「年代順」にたんに羅列していくパターンです。
【✕】「私の名前は坂本哲也です。電博堂に入社して、コーポレートコミュニケーション部に配属になり、ソリューション開発部を経て、今はデジタルマーケティング部のシニアコンサルタントをしています」
【よくある残念な自己紹介2】思いつくままに、趣味や特徴を並べ立てる
ほかにも、思いつくままに、「趣味・特徴」などを「並べ立てる」タイプも少なくありません。
【✕】「私の名前は鈴木恵麻です。早慶大学で政治を勉強し、ヨーロッパ政治を専攻しました。サークルではラクロスをやっていました。趣味は映画鑑賞です。性格は明るく人と話すのが大好きです」
【よくある残念な自己紹介3】「ポエム」のように一般的な抽象語が多い
もう1つよくある残念な自己紹介は、「抽象的」で一般的な言葉が多く、「印象に残りにくい」というパターンです。
【✕】「私は大木拓斗です。SDGsに興味があります。地球環境問題などを解決する仕事をしていきたいと思っています。楽しいこと、ワクワクすることを経験し、人を笑顔にしていきたいです」
それから、グループ全員で順番に自己紹介をするときに、なぜか「前の人と似たような内容になること」も多い気がします。
例えば、子どもの保護者会などで、最初の人が、「最寄りの駅は□□です」「子どもの部活は〇〇です」と始めると、後から続ける人も必ず同じパターンになりがち。自己紹介の「同調圧力」。これも「あるある」ではないでしょうか。
日本人の場合、「変に目立ちたくない」という意識も働きがちですが、転職や就活、新しい職場での第一歩となる「自己PR」の場面で埋没してしまうのももったいない。
では、どうすればいいのか。「あなたの強み」を強力にアピールする「3つの鉄板ルール」をお教えしましょう。
1つめは、「『与えられたもの』より『与えるもの』を示す」ことです。
「経験」や「知見」を相手の関心に結びつけること
【秘訣1】「与えられたもの」より「与えるもの」を示す
「部署名」や「肩書」などは社内の人たちにとっては意味があっても、社外の人には何のことやらさっぱりわかりません。昔務めていた会社で、「〇〇〇〇〇局〇〇〇〇部〇〇〇〇部兼務シニアコンサルタント」と肩書だけで、4行もある名刺を持たされ、相手に渡すたびに、「わかりにくくてすみません」と謝っていました。
また、「家庭教師先」の企業幹部の中には、プレゼンの自己紹介スライドで、7行ぐらいにわたって、過去の肩書を並べ、その変遷史を披露する人もいます。
しかし、これはあなたが会社から「与えられた」、相手にとっては意味不明の「記号」でしかありません。それよりも、自己PRになるような自己紹介では、あなたが相手に「与える」ことができるものを示してあげるべきなのです。
例えば、相手の役に立つであろう「自分の強み」「スキル」「相手にとってのメリット」などといったものを意味します。
「与えるもの」の例
【✕】「◎◎課の課長です」
↓
【◯】「ソーシャルメディアの専門家です。皆さんがソーシャルの活用などで困っていたら、いつでもご相談ください」
【◯】「ネット上のリスクマネジメントの知見を10年以上積んできました。会社の風評被害防止、炎上対策などで御社のお役に立てると思います」
このほうが聞き手はぐんと引きつけられますよね。
あるIT関連会社の部長は、最初「セキュリティーサービス部の部長です」と自己紹介をしていました。「もっと『聞き手のメリット』が見える形で自己紹介しましょう」とアドバイスしたところ、こんなふうに変わりました。
「皆さん、パスワードたくさんお持ちですよね。僕は数えたら800もありました。そんな面倒くさいパスワードを使わなくても、安全に認証できるシステムを開発しています」
どうでしょう。具体的で、ぐっと身近になりませんか。
「退屈な言葉の羅列」で終わらせるのではなく、あなたの「経験」や「知見」を「相手の興味・関心」に結びつけることがカギというわけです。
2つめは、「相手に興味を持ってもらえる『自分見出し』を作る」ことです。
説明の基本は「『幹』→『枝』→『葉』」の順番を守る
【秘訣2】「私は何者か」を一言で表す「自分見出し」を作る
自己紹介に欠かせないのは、「私は〇〇です」の〇〇に当たる部分、つまり一言で「私は何者か」を簡潔に説明する言葉です。
ここでのポイントは、説明の基本は「『幹』→『枝』→『葉』」という順番を守ること。
ありがちなのは、前記の「自己紹介あるある」の①②のように、経歴や趣味など具体的で詳しい「枝葉の部分」から始めてしまうことです。
言いたいことの最も「幹」となるもの、「自分は何者なのか」という結論を最初に言い切ってから、「細かい枝葉」の具体例に持っていくほうが、聞き手には圧倒的にわかりやすいのです。
新聞や雑誌では、見出しを見て、中身を読み出しますよね。いかに魅力的で相手に興味を持ってもらえる「自分見出し」を打ち出せるかが自己PRの肝といってもいいでしょう。できれば、味気ない紹介ではなく、「インパクト」と「具体性」のある言葉にしていきましょう。
「自分見出し」の例
【✕】「マーケティングの専門家です」
↓
【◯】「バズるソーシャルメディアコンテンツの専門家です
私の場合はまさに新刊『世界最高の話し方』のサブタイトルにあるように「1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた『伝説の家庭教師』です」ということになるでしょうか。
もしくは「エグゼクティブのパーソナルブランディングを手掛ける『プロデューサー』のような仕事もしています。『アイドルなら秋元康、社長なら岡本純子』と覚えてください」といった印象の残し方もありえます。
もちろん、そんな遊び心が許されない場面もあるかもしれませんが、何の印象も残せなくては意味がありません。
3つめは「『4つのS』で、自分のセールスポイントをアピールする」ことです。
【秘訣3】「4つのS」で、自分のセールスポイントをアピールする
「名前」→「自分見出し」ときたら、あとは、「4つのS」で具体的にあなたのセールスポイントを説明していきましょう。「4つのS」の中身は下記になります。
Success:成功体験
Strength:強み
Situation:シチュエーション
Story:ストーリー
例えば、次のような順番で話していきます。
「4つのS」の例
(成功体験)
「企業のウェブサイト開発を10年以上やってきました。20以上の企業を手掛け、どのケースでもビューワーの数を3カ月で2倍以上に増やすことができました」
(強み)
「私の強みはデザイン力です。ターゲットの特性などを徹底的に調べ上げ、そのニーズにかなったUI(ユーザーインターフェース)を作り上げます」
(シチュエーション)
「あるとき、手掛けていた企業に不祥事が発生しました。一晩で、情報を集約し、突貫工事で特設サイトを立ち上げることができました」
こうして「3つのS」で自分のセールスポイントを洗い出し、それを「4つめのS:ストーリー仕立て」で伝えていくというイメージです。
ただ、「特徴」を羅列するのではなく、「個人的な思い」「経験」「失敗談」などが入ったストーリーのほうが、聞き手は引きつけられます。
「世界最高の自己紹介」で、話すことが楽しくなる
何を言っているかわからないし、まったく心に響かない「世界最低の『事故』PR」から、相手の心をわしづかみする「世界最高の『自己』PR」へ。
この「魔法のスキル」を身に付けることで、あっという間に「話すこと」に自信がついて、初対面の人と会い会話をすることがどんどん楽しくなっていきます。
ぜひ、「世界最高の『自己』PR」につながる「自己紹介スキル」を磨くことで、出会いの幅を広げ、人生の新しいステージをより豊かで充実したものにしてくださいね。
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提供元:日本人が苦手な「自己紹介」、心を掴む簡単3秘訣|東洋経済オンライン