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2020.12.18

寝付きが悪い人は「何が邪魔者か」わかってない|食事、運動、日光――意外な要因が入眠を妨げる


眠れない人が見逃しているかもしれない要因とは?(写真:Tero Vesalainen/iStock)

眠れない人が見逃しているかもしれない要因とは?(写真:Tero Vesalainen/iStock)

「睡眠に影響しないことは何一つない」と言えるほど、私たちが起きている時間はその日の夜の眠りに直結しています。何を食べるか、何時に運動するか、ちょっとした光――。思いも寄らない些細なことが眠りに影響していることを、スウェーデン・ウプサラ大学の睡眠研究者で『Sleep, Sleep, Sleep』の著者、クリスティアン・ベネディクト氏が明かします。

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「太陽の光」が睡眠・覚醒をコントロールする

睡眠に関して、1つ結論があります。それは、「睡眠とはベッドでまどろんでいる時間だけを指すのではなく、24時間の営み」ということです。

睡眠の準備は、朝、目を覚まし、網膜に太陽の光を受け、体内時計に1日が始まるというシグナルが発せられた時点で始まります。それは、睡眠・覚醒リズムが、日光や気温といったあらゆることから強い影響を受けるからです。

また、いつ食事をし、水分を補給し、どの時間帯に運動をするのかといった一見すると眠りと関係のなさそうな行動も、確実に私たちの睡眠と結びついていることが数々の研究によりわかっています。

まず、太陽光は、睡眠・覚醒リズムにとって重要な出発点です。

外が明るくなり、覚醒の時間が始まったこと、反対に暗くなり、それが就寝の時間を意味することを私たちの体が認識できるよう、人の目は、朝と夕方、太陽光に敏感に反応するようになっています。

朝、網膜の神経細胞が太陽の光をキャッチすると、「マスタークロック」と呼ばれる体内時計の親玉が、体の各細胞にある体内時計に「1日が始まる!」とメッセージを送ります。これにより、代謝が活発になるなど体が覚醒モードに切り替わるのです。

徹夜明けでも意外と頭が冴え、四六時中うとうとすることもなく過ごせるのは、まさにこの太陽の光のおかげです。朝の光が、体内時計を刺激して覚醒のスイッチを押すため、寝ていなくても眠り落ちてしまわずにすむのです。

朝と同様、私たちの目は夕方にも光に敏感に反応します。これは徐々に暗くなっていく光をキャッチすることで、「眠る時間だ」ということをマスタークロックに認識させるため。しかし、現代の生活では、夜遅くまで部屋の明かりは灯り、パソコンやスマートフォンの光にも目は晒されています。これでは、体は睡眠モードになかなか入れず、「寝付きが悪い」「寝ても疲れが取れない」などの問題を引き起こしても無理はありません。

1日中室内にこもり、太陽の光を浴びないことでも、体は混乱します。昼なのか夜なのか分からなくなり、体は睡眠ホルモンである「メラトニン」をためらいがちに生成するように。

タイミングよく眠りにつき、安定した睡眠・覚醒リズムを形成したいなら、日中は外で多くの時間を過ごすことをお勧めします。

晴れている日は屋外に「30分」もいれば十分です。曇りなら「約1時間」が目安になります。

日中、外出する機会のない人は、窓のそばに座るのも効果的です。病院の入院患者で調査したところ、窓から1メートル以内にベッドがある患者は、それより離れたベッドの患者よりも夜の睡眠時間が1時間長く、回復も早く、退院までに要する時間が短かったことが判明しました。

また、「昼光色ランプ」も効果的で、病院の集中治療室に導入したところ、患者が30分以上長く眠れるようになりました。

運動は「午前中」に

「運動」も、睡眠・覚醒リズムを安定させ、質のよい睡眠をもたらします。

ただし、私たちの体のリズムに適したタイミングでスポーツを行うことが重要です。
睡眠・覚醒リズムを整えるには、午前中の運動がベストです。日光をたっぷり浴びることができ、それによって、夜の適切な時間に眠気である「睡眠圧」を高めることができます。

また、朝7〜8時の間、もしくは15〜17時の間にランニングなど持久系のスポーツをすると、光の有無に関係なく、体内時計が朝型に調整されることを示す新たな研究もあります。

反対に、19〜22時の間にランニングをすると、体内時計が後ろにずれてしまいます。運動中、体内ではストレスホルモンであるアドレナリンやコルチゾール、ドーパミンなどが分泌されます。これらのホルモンは私たちを覚醒させ、集中力を高める一方、入眠を妨げます。

さらに、運動をすると体温が上昇しますが、体温が上がると眠りにつきにくくなります。なので、体の発汗が促されるようなトレーニングは、遅くとも就寝時間の3、4時間前に終わらせるのが良いでしょう。

ただし、就寝前に熱いシャワーを浴びたり、バスタブに浸かったりして体温を上昇させるのは、睡眠を促し早く眠りにつく効果があります。

これは、シャワーや湯船で皮膚が温められることで血管が広がり、それにより熱の放射と快眠の条件である体の冷却が促進されるからです。

意外な「食材」が眠りを妨げる

食事もまた、睡眠と関わりの深いファクターです。

まず、「食事時間」は、7時〜19時の間に規則正しく食事を取る人は、気が向いたときに食べる人よりも、よく眠れることが立証されています。

では、眠りにいい食べ物・ダメな食べ物にはどういったものがあるのでしょうか?

◇「食物繊維」が腸でガスを発生させる

肉類や脂っこい食べ物は胃に長く残るので、体は遅くまで働き続け、長く起きることを強いられます。玉ねぎや食物繊維も、腸内にガスを発生させ、腸の夜間の休息が奪われることで眠りが妨げられる可能性が指摘されています。

◇「バター」「チーズ」は入眠にマイナス

バターやチーズ、赤身肉などに含まれる「飽和脂肪酸」の過剰摂取は入眠を妨げ、睡眠を断片化するという調査結果があります。

◇「牛乳」でスムーズな入眠を

反対に、入眠に役立つのが「牛乳」です。牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸が、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を促すため、入眠しやすくなるのです。

また、乳児に限れば、夕方の「母乳」にはメラトニンそのものが多く含まれていて、乳児がよく眠れるように作用すると考えられています。

◇「サワーチェリー」は入眠効果のある果物

メラトニンを多く含み、睡眠導入効果があるとして期待されているのが「サワーチェリー」(酸味の強いサクランボ)です。研究によれば、果汁のメラトニン濃度が高いことがわかっています。

就寝前にコップ1杯の牛乳、乳糖不耐症であればサワーチェリーのジュースを試してみてはいかがでしょうか。

「寝室」を眠りに最適に変える

前述したとおり、体温の低下は体内のすべての体内時計に、夜が始まって眠りの準備をする時間がきたことを知らせる合図となります。

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体温が最も下がるのは明け方3〜5時頃、私たちがよく夢を見ている時間です。その頃に体温は約36℃前後となります。体は睡眠中エネルギーを節約し、すべての器官に休息と回復の機会を与えるために、短期間ある種の冬眠状態となるのです。

この体温リズムを妨げないためにも、就寝前に寝室の温度を上げすぎないようにしましょう。冬は暖房をきつくしすぎない程度でOKです。室温とよい睡眠の質との間には関連が見られることは、研究でも確認されています。

同時に、夜間、十分な酸素量を確保することも重要です。複数の研究で、人は窓を開けたままのほうがよく眠れるという結果が出ています。寝室のドアを閉じずにおくだけでも、空気の循環が著しく改善されるので、「オープンな寝室」にトライしてぐっすり具合を確認してみてください。

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提供元:寝付きが悪い人は「何が邪魔者か」わかってない|東洋経済オンライン

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