2020.12.15
話し方「永遠に下手な人」と上達する人、3つの差|「伝説の家庭教師」が1000人以上を指導した実感
話し方が「永遠に下手な人」と上達する人の3つの差とは?(写真: Elnur/PIXTA)
日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。
たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。
その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方 1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は、発売たちまち6万部を突破するベストセラーになっている。コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「話がうまくならない人と上達する人、3つの差」について解説する。
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「話す力」は「才能」ではない
みなさんは「話し方」に自信がありますか?
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多くの日本人がコミュニケーションの悩みを抱えていますが、誰も「きちんとしたルール」も知らず、「教えてくれる人」も「教わる場」もなく、自己流で話し、「伝わらない」「伝えられない」「才能がない」と諦めてしまっています。
これは本当にもったいない話です。なぜなら、「話す力」は「才能」ではないからです。
私はこれまで1000人以上の社長、役員、企業幹部の「家庭教師」として、「話し方」を指導してきました。スピーチやプレゼンから、雑談まで、「コミュニケーション」のあらゆる相談に乗り、具体的にアドバイスしてきました。
立場上、「あの大企業のあの有名な人」と具体名を公開することはできないのですが、例えば、「大手電機メーカーの経営陣」「大手通信会社の社長」「大手自動車メーカー社長・役員」「大手ゲーム会社社長」「メガバンクの役員」「大手IT企業の全役員」「世界的外資系製薬企業の外国人社長」など、誰もがその名を知る日本有数の企業リーダーたち、そして「知事」「閣僚」「政治家」「官僚」「病院や大学の理事長」「スポーツ選手」など……。
「家庭教師」として関わった多くの社長・役員・企業幹部の方からいただくのは、「こんなことを教わる機会は、いままでなかった」「もっと若いときに知りたかった」といったコメントです。
リーダーレベルでさえ、漫然と「我流」を通すしかないのが日本の現状で、世界水準の「話し方のノウハウ」はまったく普及していません。
しかし、日本人は「コミュニケーションができない」のではなく、「そのルールを知らず、スキルを磨く機会が極端に少ない」のです。
私も「人見知り」で「プレゼンは大の苦手」だった
私は、いまのような「家庭教師」をする以前、もともとは新聞記者として、ソフトバンクの孫正義社長、日本電産の永守重信社長など、数々のリーダーに取材し、その話し方・伝え方を間近に観察・研究してきました。
家庭の事情で退職・渡米し、MIT(マサチューセッツ工科大学)でコミュニケーションの研究に従事し、帰国後は、「PRコンサルタント」として、リーダー向けのメディアトレーニングなどに関わるようになりました。
しかし、私自身、コミュニケーションの知識はあっても、じつは「人見知りでコンプレックスが強く、大勢の前でのプレゼンは大の苦手」だったのです。
そこで、「人前でもっと堂々と話せるようになりたい。コンプレックスを克服したい」と一念発起し、コミュ力修業のために、再び渡米しました。
ニューヨークで、プレゼンコーチや研究者などコミュニケーションのトッププロフェッショナルたちに「弟子入り」し、グローバルスタンダードの話し方を徹底的に学びました。
その中で、衝撃を受けたのは、「コミュニケーションを学ぶ場の豊富さ」です。
子どものころから、プレゼン術などの手厚い教育を受けるアメリカ人ですが、学校以外の街中にも無数のワークショップやクラスがあり、まるでジムに行くように仕事帰りに気軽に寄って、「話し方」をモリモリと鍛えていたのです。
そうした場も、機会もほとんどない日本のみなさんに「学んだ世界水準の話し方スキルをお伝えしたい」と帰国後、「家庭教師」を始めたというわけです。
多くの人が、「自分は下手だから」「才能がないから」と諦めてしまっていますが、話し方の上手下手は「生まれつき」ではなく、「9割は環境によるもの」です。
一方で、これまで数多くのエリートの「話し方改造」に携わってきて、「プレゼンや話がうまくなる人となりづらい人」には一定の傾向があるように感じています。
1000人以上を指導して実感した「3つの差」
具体的には、私が1000以上のエグゼクティブを指導してきて実感するのは、次の3つの「差」が成長のポテンシャルを大きく分けるようです。
(1)「若い人」ほど「伸びしろ」は大きい
「鉄は熱いうちに打て」。これは当たり前かもしれませんが、やはり年齢が若ければ若いほど、あっという間に上手になります。歳を重ねれば重ねるほど、自分のスタイルが染みついて、なかなか変えることができなくなるのです。
そういった意味で、「幼少時からのコミュニケーション教育」は非常に重要です。海外で堂々とプレゼンなどをする人はそれこそ、幼稚園のころから、そうした場に立ち続け、研鑽を積むわけです。
日本でも学校や企業内で、若いうちから、この分野の教育・研修に力を入れていく必要があるでしょう。
(2)「誇りがある人」はうまくなり、「おごりがある人」はうまくなりにくい
みなさんは「プライド」と言うと、ポジティブなイメージを持つかもしれませんが、じつはこの言葉、キリスト教の7つの大罪(Seven Deadly Sins)の1つだということをご存じですか。
プライドには「Authentic pride (正真正銘のプライド)」と「Hubristic pride(高慢なプライド)」があります。前者は「誇り」、後者は「おごり」と言い換えられるでしょうか。
つねに他人と自分を比較し、おごる人ほど、アドバイスをあまり素直に受け入れない傾向があり、本当の誇りをもつ人は、そうした相対評価をあまり気にしないからです。
体面を取り繕おうとか、カッコよく見せようという気持ちがない、ある種「オタク気質」の人のほうが圧倒的に変身しやすいということです。
最後の3つ目は、意外に思われるかもしれませんが、話し方に「自信がない人」ほど、「正しいスキル」を学べば上達しやすい、ということです。逆に「自信がある人」ほど上達しにくい傾向にあります。
(3)「自信がない人」ほどうまくなり、「自信がある人」ほど成長しない
「自分は話やプレゼンがうまい」と思い込んでいる人は、頑迷にそのやり方を変えようとはしません。
なまじ自信があるため、聞き手への気遣いがなく、ただ自分の話したい話を滔々としてしまうのです。
多少うまいとはいえ、じつはグローバルスタンダードには程遠いレベルで、満足してしまう。「自分をカッコよく見せたい」と相手が受け止められないような「剛速球」を投げがちです。
逆に「自分は恥ずかしがり屋だ、自信がない」という人ほど、人の気持ちを慮る気持ちが強いので、「正しい話し方の技法」を学べば、聞き手本位のキャッチボール(対話)を続けていくことができるようになりやすいのです。
「何とかしたい」「学びたい」と考える謙虚な気持ちが、成長のドライバーとなります。
すぐ学べ、あっという間に上達するのが「話し方」
「話し方」は完成形のない「道」のようなものです。その常識は時代とともに変わり続け、スキルも常にアップデートしていかなければなりません。
「自分はもう十分にできる」「もう学ぶものなどない」そう思った瞬間に、歩みは止まります。
たった2時間ほどのコーチングでまるで魔法にかけられたかのように、話し方が変わり、自信をまとうようになる。そうした人たちの姿を見て、「このスキルをもっと多くの方に伝えたい」……と思いを新たにし、秘伝のルールをまとめたのが、拙著『世界最高の話し方』になります。
「誰」でも、「いつから」でも、「どこから」でも学べ、あっという間に上達するのが「話し方」。その「黄金スキル」を手に入れて、ぜひ、みなさんの人生をもっと豊かに、生きやすいものにしてみてください。
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提供元:話し方「永遠に下手な人」と上達する人、3つの差|東洋経済オンライン