2020.12.01
観光客解禁、ハワイの現状はどうなっているか|失業者が増えて治安は悪化、スリにご用心
ソーシャルディスタンスを保ったプールチェアのレイアウト(写真:ザ・カハラ・ホテル&リゾート)
10月15日、到着72時間前のPCR検査の陰性が証明できれば14日間の隔離がなくなり、ワイキキでもいよいよ観光客を迎えることになった。まだまだ感染者の多いアメリカ本土からの観光客を迎えていいのか、という意見もある中、冷え込んでしまっている観光業をとにかく動かさなくては、という州としての判断で決定された。 11月17日時点におけるハワイへの渡航者数7277人のうち、3159人が観光客だった。
当初はアメリカ本土の人たちはマスクを付けることに慣れていないこともあり、陰性証明を持って入ってきた人の中には、到着後マスクを付けずにワイキキを歩いていた人もいた。地元の人も少し不安に思っていたようだ。しかしハワイ州観光局も事前の啓蒙にかなり力を入れ、最近は本土からやってきた人たちもマスクを着用している姿を多く見かけるようになった。
人通りは通常の2割程度
ただ、観光客を受け入れてから1カ月以上が経過しているにもかかわらず、筆者がワイキキに行って見た限りでは、通常の2割くらいしか歩道に人はいず、 ロイヤルハワイアンセンターのレストラン中で飲食している人は1〜2組程度でまだ外食をする人は随分少ないのが現状だ。1回目のロックダウン後も小売業ではお店を開けたのは1割程度で、レストランではテイクアウトがまだ中心のようだ。来年の春以降は徐々に観光客が戻ってくるのではと期待して、今はテイクアウトでなんとか持ちこたえているという状況だ。なお、車を持っている人が多いホノルルでは、日本ほどウーバーイーツは流行せず、逆にテイクアウト専門の店は売り上げも好調だという。
レストランを店じまいするところも増えてきた。オバマ前大統領がハワイにやってきたときに訪れた「アランウォンズ」、オーガニックの草分け的な「タウン」、ロバート・デニーロが共同経営者であることで有名な「ノブ」などを始め多くが閉店を決めている。
一方で、新規オープンの話も聞く。ワイキキからすぐそばのマッカリー地区で、イタリアンのレストランがオープンした。居抜き状態で、かなり低い金額で購入ができるのが魅力ということだ。日本の不動産関係の人が新しくレストランを始めたという話も聞く。
オアフ島のみであるが、連日の感染者数が50人以下であれば、11月半ばにいよいよ警戒レベルをレベル3に引き下げる予定であるが、ここ最近はまた100人を上回る日も出てきた。レベル3に進むためには4週間続けて、1週間の平均感染者数が20人~49人でなければならない。1週間目は50人以下だったが、11月4日から2週間続けての平均感染者数が71人(11月4日~)、81人(11月11日~)という具合だ。特例で11月18日から2週間続けて平均感染者数が50人以下に抑えられれば次のステップのレベル3に進むとホノルル市長は発言している。
懸念される治安の悪化
ハワイはアメリカの他州と比べても治安が良い印象があるが、コロナ禍によって、周囲では銃を買い足したという話を聞く。スリの話も以前より聞くようになった。ちょっとした時間ならと思って荷物をすべて車の中においていなくなったすきに全部取られてしまう、また店が長く休業状態なことを知って、天井から店内に入って、そこで生活するようなホームレスもいるという。
ワイキキは車も少なめ(筆者撮影)
日本の厚生労働省が認可する新型コロナウイルス感染症の核酸増幅検査(NAT)を行うことができる21カ所の医療機関と契約を締結し、2020年11月6日のフライトより日本向けの事前検査プログラムが適応されることが発表された。これにより、日本を出発する72時間以内に契約を締結した日本国内の21カ所の指定医療機関で新型コロナウイルス感染症の検査を受け、ハワイ入国時にハワイ州指定の陰性証明書を提示することにより、ハワイ到着後の14日間自己隔離が免除される。
また11月18日、ハワイ州は、日本の厚生労働省が認可する新型コロナウイルス感染症の核酸増幅検査を行うことができる36カ所の医療機関と新たに契約を締結した。これにより、合計で57カ所の指定医療機関で事前検査プログラムに必要な陰性証明書を発行することができる体制が整った。
今回追加された36カ所の指定医療機関には、ハワイ便が発着する羽田空港と成田国際空港内の検査センターが追加され、これにより、日本国内の地方空港から乗り継いでハワイを訪れる旅行者にも利便性が高くなったほか、連休や年末年始にも対応できる体制を整えることができた。
接触回数の高い場所を重点的に消毒・清掃(写真:ザ・カハラ・ホテル&リゾート)
6日(金)、7日(土)、10日(火)、14日(土)の日本からの直行便でハワイに訪れた人数は437人だった。ハワイ時間11月23日の時点で、 11月の臨時便は10便、12月は51便、1月は32便の予定だ。
14日間の自主隔離がなくなったことで、ハワイに長期滞在をしている日本人もいるようだ。会社のズームミーティングにハワイから参加したビジネスマンもいると聞く。
ザ・カハラ・ホテル&リゾートのPR担当者は、プルメリアビーチハウスなどのレストランもソーシャルディスタンスを保ち、席数も50%に削減、プールサイドも同様に席数を減らして対応しているという。フロントデスクもアクリル板を使い、いたるところに消毒液を置き衛生管理を徹底しているという。「客室稼働率は6月から8月は地元の人が宿泊するなどで3割ほど、年末年始も例年の半分くらいという状況だ。来春ごろより観光客が戻ってくることを期待したい」と話す。
ホテルの多くが再開
ワイキキではホテルの再開も始まった。主要ホテルでは、ロイヤルハワイアンは12月1日より再開となるが、ハイアット、シェラトン、トランプなどのホテルはすでにオープンしている。
マスク着用を促すサイン(写真:ザ・カハラ・ホテル&リゾート)
11月10日現在、ロイヤルハワイアンショッピングセンターは約95%の店舗がオープン、インターナショナルマーケットプレイスも約75−80%の店舗がオープン、アラモアナセンターも80%以上の店舗がオープンとなり、観光客を待ち望んでいる状態である。
ハワイ州観光局 日本支局長のミツエ・ヴァーレイさんは、「オアフ島で2回目の外出禁止令が発令された際も約7万人の人が無料で受けられるPCR検査をして、とにかく新型コロナウイルスの感染者数を減らすことに力を入れている。11月末まで住民、観光客もワイキキ内(ワイキキシェル)において無料でPCR検査が受けられる」と、現地での検査体制の徹底ぶりを示唆している。
ハワイに元のように観光客が戻るのは来年の夏以降となりそう。ワイキキの通りを観光客がすずなりに歩く光景を再び見られる日が待ち遠しい。
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提供元:観光客解禁、ハワイの現状はどうなっているか|東洋経済オンライン