2020.09.15
デキない上司がやりがちな「命令口調」の大弊害|元CAが断言「立派な人ほど謙虚で偉ぶらない」
なぜデキる人ほど「謙虚かつ」「丁寧な言葉遣い」なのか?(写真:mits/PIXTA)
新卒で日本航空のCA(キャビンアテンダント)として働き、国際線ファーストクラスで数多くのVIPや経営者をもてなしてきた清水裕美子さん。彼女が「一流の人ほど偉そうにせず、謙虚な人が多い」と語る理由とは? さまざまなCA経験から知見を集約した『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』から一部抜粋・再構成してお届けする。
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超一流の方はとても謙虚な方ばかりです。誰もが認めるような地位や実績を手にしている方に限って、「何でこんなに謙虚なんだろう」と驚いてしまうくらい謙虚です。
CAのあいだでは、お客様に「君は私がどんなにすごい人か知らないだろう」というような態度をとられたという話もよくあるのですが、超一流の方はまずこのような態度をとりません。自分を大きく見せようとするどころか、「同じ人間ですよね」というスタンスで歩み寄ってきてくださいます。
超一流ほど「言葉遣い」が丁寧
そのため、まずは言葉遣いがとても丁寧です。どんなに年輩の方であっても、初対面では敬語、丁寧語で話されます。命令口調や友達口調で話しかけるようなことはありません。
もちろん、会話をするなかで打ち解けて言葉遣いがフランクになっていくことはありますが、それでもなれなれしすぎず、相手を尊重した話し方をされます。同行している部下や関係者にもえらそうな言葉遣いはされていません。
また、聞き上手な方が多いのも特徴です。会話のなかで自分のことを話すよりも、「フライトでは何が大変ですか?」「○○でおすすめのお店はありますか?」など、CAの話を聞こうとしてくださる方が多いです。ニコニコと相槌を打ちながら聞いてくださるので、こちらもつい、いろいろとお話ししたくなってしまうほどです。
それはCAに対してだけでなく、同行されている秘書や関係者に対しても同様です。上層部の方であっても、独断で決めるのではなく、例えばワイン1本開けるときでも、ポジションに関係なく、皆の意見を取り入れようとする姿勢が感じられます。
何かトラブルが起こってしまった際も、「普通はこうでしょ」と自分の考えや主張を押しつけることはなく、「そういう考えもあるんですね!」「こういうケースもあるんですね!」と多様な意見を受け入れる姿勢を崩さず、物事を俯瞰してとらえていらっしゃるような印象を受けます。
理想的な職場をあらわす言葉として、「風通しのいい職場」という言葉が使われますが、このような上司がいる職場は、きっと部下も発言しやすく風通しがいいのだろうなと思わされます。
CA時代、よく「大きなトラブルに発展するのを防ぐために、少しでも気になることがあればすぐに報告しましょう」と言われていました。
しかし、頭ではわかっていてもどうしても言いづらい先輩というのも存在します。そのようなときは「気のせいかもしれない」「自力でなんとかしよう」などと思ってしまい、報告が遅れたり、トラブルにつながってしまった苦い経験もあります。逆に、気軽に相談しやすい雰囲気の先輩には、少しでも気になることがあれば迷うことなく報告することができます。
風通しのいい職場ほど高パフォーマンス
私が勤務していた航空会社では、基本的に一緒にフライトをするグループというものがありました。振り返ってみると、聞き上手で話しやすい雰囲気のチーフのグループのときは、トラブルも最小限にとどめることができ、お客様からのお褒めのコメントも多く、機内販売の成績もいい傾向にありました。
上司が風通しのいい雰囲気をつくることで、部下は働きやすくなりパフォーマンスが上がるというのは、どの職場でも同じなのではないでしょうか。
機内でお会いする超一流のお客様はあまりに謙虚なので、もしかしたら「今は自分がお客様の立場だけど、明日には目の前にいるCAが自分の会社の製品やサービスのお客様になるかもしれないから、好印象を与えておこう」という計算が働いているのではないかと思ったこともありました。
しかし、ふとしたときに出る言葉遣いや相手の意見を聞き入れる姿勢、話しやすい雰囲気などは簡単につくれるものではありません。やはり利害を考えているのではなく、本質的に礼儀正しさが身についていらっしゃるのだと思います。
CAは退職後、大手企業の役員秘書、高級ホテルのコンシェルジュ、会員制のクリニックなど、VIPと日常的に接する仕事につくケースが少なくないのですが、やはり超一流の方は謙虚で腰が低いと皆口を揃えて言います。このことからも、機内だから礼儀正しくしているというわけではないことがわかります。
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男性のなかには、謙虚な姿勢だと相手に見くびられてしまうのではないかと思っている人もいるかもしれませんが、それは逆です。謙虚な姿勢をとることができるということは、それだけ自分自身に自信があるということのあらわれです。
反対に、人から称賛を浴びようと自分を誇示したり、相手に負けを認めさせようとまくしたてるように話したりする姿からは、自信のなさと余裕のなさが感じられませんか。自分を大きく見せようとする態度が、逆にみじめに映ってしまっているようなケースもあるようです。
内面に確固たる自信と信念を持っているからこそ、丁寧な物腰で相手の話に耳を傾け、謙虚で柔らかく人と接することができる。超一流の方からはこのような共通点が感じられます。
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提供元:デキない上司がやりがちな「命令口調」の大弊害|東洋経済オンライン