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2020.09.04

独断で選ぶ「座り心地がいい」新幹線ベスト10|乗車時間の大半で接し、旅の印象を左右する


N700S確認試験車の普通車(撮影:尾形文繁)

N700S確認試験車の普通車(撮影:尾形文繁)

乗り鉄、撮り鉄、模型鉄……。鉄道趣味にはいろいろなジャンルがあるが、筆者は「座席鉄」。座席は乗車時間の大半で接する設備であり、その快適性は旅の印象を左右するからだ。

公共交通機関の座席は、座る人のサイズに合わせた座席にはできないから、同じ座席でも身長や体型などで印象が異なり、座る人の数だけ評価もあろう。とはいえ同じクラスの設備で「相対的に見て素晴らしい座席」は存在するとも感じる。

そんな折り、東海道新幹線で新型車両N700Sがデビューした。新しい鉄道車両を見ると座席が気になる。さっそく、JR東海の運行情報を調べて乗車してみた。

よい座席とは何か

N700Sの乗車を契機に、筆者の独断で「現役新幹線座席トップ10」を考えてみた。あくまで独断で、異論も多いと思うが、「よい座席とは何か」考えるきっかけになればと考える。

評価基準は「新幹線全座席を念頭に置いたうえで、価格以上の価値を持つと思えるか」で、座り心地を主、コンセントなどの実用性を従とした。例えばグリーン車より順位が上の普通車があるが、これは総合的に優れるという意味で「グリーン車より快適な普通車」という意味ではない。また座席が置かれた条件は加味した。例えば東海道新幹線なら「定員重視の2+3列座席普通車」は前提で、より快適性を追求できる山陽・九州新幹線の2+2列普通車と同列評価はしていない。ご了承いただきたい。

■10位:E3系700番台「お座敷指定席」

山形新幹線を走る「足湯」で有名な新幹線観光列車「とれいゆつばさ」の12~14号車「お座敷指定席」は非常に個性的だ。新幹線では珍しいボックスシートが、ゆとりのある座席間隔1960mmで並ぶ。ミニ新幹線のために車体サイズは在来線と同じだが、それでも山形新幹線グリーン車以上の1+2列で設置されているのは好評価。座面は畳で、座布団が置かれている(座布団が2019年に「天童将棋駒」の柄に)。

「とれいゆつばさ」のお座敷指定席(撮影:尾形文繁)

「とれいゆつばさ」のお座敷指定席(撮影:尾形文繁)

占有面積は最高。だが、座り心地としてはリクライニングしないことや、肘掛けがないこと、また背もたれの腰部が張り出しすぎ、座面が平たいので体が滑りやすいのは残念だ。

■9位:800系1000・2000番台「普通車」

九州新幹線を走る、和風の内装が特徴的な新幹線。ランクインするのは、ヘッドライトが膨らんだ後期型(U007~U009編成)だ。

座席間隔は1040mmの2+2列、座席幅460mm。座席として特筆すべきは、車両ごとに異なる素材が使われたことだ。1・6号車は西陣織(柄違い)、2号車は革、3号車は粗目のモケット、4号車はゴブラン織り、5号車がツイードと素材が異なり、乗車ごとに新しい驚きがある。また中間肘掛け内に木製のインアームテーブルを備える。

座席は、初期型の800系0番台よりも座面を35mm深くし、着席時の背もたれ角度を7度から8度に変更した改良型だ。肘掛けも木製で素材の感触が心地よく、枕があるのも高評価だ。

ただ背もたれの形状が直線的で、背骨の曲線と合致しない印象がある。肘掛けも幅が狭く外側にやや湾曲している為、安定感がない。2+2列なのだから肘掛けは横幅が欲しい。

気になるフットレスト

■8位:N700S「グリーン車」

東海道・山陽新幹線の最新鋭車両である。2+2列、座席間隔1160mm、座席幅480mmはN700系と同じだが、くるぶしを回転中心としたリクライニング機構で、疲れにくい姿勢で座れる。座席にはレッグウォーマー、コンセント、インアームテーブル、背面テーブル、読書灯(明るさが従来比70%向上)、網袋、多目的フックを備える。足元スペースも15%拡大され、フットレストも25%大型化されている。

N700S確認試験車のグリーン車(撮影:尾形文繁)

N700S確認試験車のグリーン車(撮影:尾形文繁)

座り心地は、座面と背もたれが描くラインが極めて自然で、素晴らしい着座感。座面はやや硬めだが、肘掛けはやや柔らかく、感触は良好である。テーブルがスライド式で手前に引き寄せられるのも便利だ。

ただ、2つの点が気になる。まず「フットレストの採用」だ。JR東日本、JR九州の新幹線グリーン車は、太ももを支えるレッグレストに移行している(座面と接続したレッグレストは、向かい合わせでも使える利点がある)。フットレストは足首を支えるが、身長が低い人は届かない。フットレストを採用するなら、手前に引き寄せられた方がいい。次に「防音性」。リクライニングの動作音がしない設計はグランクラス以上だが、走行音は普通に感じるので、もう少し静粛性が高まるといい。

なお、普通車については惜しくも選外としたが、気づいたことを記してみたい。座席配列は2+3列(座席幅は440mm、3人掛け座席の中央だけ460mm。車いす対応座席は420mm)で、座席間隔1040mm(1・16号車は1023mm)と、N700系のサイズを踏襲している。

特筆すべきはリクライニング時に、座面後部が沈み込む改良だ。リクライニングシートで背もたれだけが倒れると、体は前すべりし、足で踏ん張ることになるので、この改良は喜ばしい。側窓回りが卵型に凹み、窓側でも圧迫感が少ない。カーテンを下げても、ペットボトルが置ける側窓部テーブルは便利で、東海道新幹線で初めて、コンセントの普通車全席設置を実現するなど、実用面も評価できる。

ただ、身長173cmの私がリクライニングすると、湾曲した背もたれの上部が帯状に後頭部に当たり、首が浮いて疲れやすい。E7/W7系普通車のように枕があれば、体型の違いを吸収できただろう。また、ドリンクホルダーは設置したほうがよい。

■7位:N700系7000・8000番台「グリーン車」

山陽新幹線から九州新幹線に直通する「さくら」「みずほ」用のN700系は、東海道新幹線とは別仕様である。グリーン車座席は2+2列、座席間隔1160mm、座席幅480mmで、N700系と同じだが、2+2列普通車指定席との差別化もあり、枕とレッグレストが追加装備されている。座席自体はN700Sのほうが改良されているが、総合的には枕とレッグレストを備えたこちらがやや上回ると感じる。

N700系7000・8000番台のグリーン車(撮影;梅谷秀司)

N700系7000・8000番台のグリーン車(撮影;梅谷秀司)

■6位:E4系「グリーン車」

上越新幹線を走る、現役で唯一の2階建て新幹線。運行開始が1997年と古い車両のため、コンセントを備えていないなど、最新の新幹線に劣る部分もある。

座席間隔は1160mm、座席幅490mm。リクライニングに連動して座面が動作するため、座り心地に優れる。大型の背もたれはプライベート感があり、枕も備わる。肘掛は布張りで感触がいい。なお、足置きはレッグレストだが、進行方向いちばん前の座席にはさらに足置きが備わり、非常に快適だ。2階席で眺望性もよいため、6位とした。

グリーン車に近い「普通車」とは?

■5位:E7/W7系「普通車」

北陸・上越新幹線を走る新幹線。座席間隔1040mm、座席幅440mm(3人掛けの真ん中は460mm)は標準的だが、新幹線で初めて「普通車への全席コンセント設置」を実現した。リクライニングと連動し、座面後部が下がるためホールド感がいい。

付帯設備は枕、取っ手、背面テーブル、網袋、ドリンクホルダーと充実。2+3列の座席としては、H5系と並び、いちばんだと思う(E5系は一部座席にコンセントがない編成がある)。

■4位:N700系7000/8000番台「普通車指定席」

前述した山陽・九州新幹線用のN700系普通車。普通車指定席は2+2列で座席間隔1040mm、座席幅460mmとゆとりがある。リクライニングに座面後部が連動して下がるため、ホールド感にも優れる。枕やレッグレストはなく、リクライニング角度がやや浅いが、グリーン車に近い座席だ。グリーン車と異なり、中間肘掛けが跳ね上げられるため、未就学児を連れた両親に最適な座席でもある。2+2列普通車としてはいちばんだろう。

■3位:E5/H5系「グリーン車」

3位は東北・北海道新幹線用のE5/H5系。H5系は壁面や絨毯の配色が異なる。座席間隔1160mm、座席幅475mm。付帯設備は枕、レッグレスト、読書灯、背面テーブル、インアームテーブル、荷物入れ、ドリンクホルダー、荷物フックである。座り心地は、肘掛けがやや細いが、背中、座面、レッグレストの流れに無理がなく、完成度が高い。それは在来線特急のE261系やJR四国8600系でも、この座席が採用されたことからもうかがえる。

北海道新幹線H5系のグリーン車(撮影:尾形文繁)

北海道新幹線H5系のグリーン車(撮影:尾形文繁)

■2位:700系7000番台「4人用普通個室」

山陽新幹線「ひかりレールスター」に備わる、新幹線唯一の個室設備。扉のついた個室内に、向かい合わせリクライニングシート(座面が前に出て、姿勢を楽にする)が置かれる。座席の中間肘掛け(跳ね上げ可能)は幅が広く、贅沢感がある。

座席間隔は2080mmで、占有面積は2+2列普通車と同じだが、大型テーブルやテーブル上の照明が贅沢で、満足感が高い。なお、個室利用は3~4人でかつ「ひかり」で運行している列車のみなので、注意したい。

グランクラスでも差がある

■1位:E7/W7系「グランクラス」

独断で選ぶ新幹線座席の頂点は、北陸・上越新幹線向けのE7/W7系「グランクラス」だ。

E7系のグランクラス(撮影:尾形文繁)

E7系のグランクラス(撮影:尾形文繁)

このクラスは東北新幹線E5系(北海道新幹線H5系も同じ座席)が先に設置している。E5系グランクラスは、1+2列(E5系グリーン車2+2列)で座席が配置され、座席幅520mm(同475mm)、座席間隔1300mm(同1160mm)と、サイズ面ではグリーン車を大きく上回る。

バックシェル付きの背もたれは、リクライニングをしても気を使う必要がない。側壁がグリーン車よりも分厚いため、走行音は少ないし、乗り心地もいい。アテンダントの軽食・飲料サービスも、大きな魅力だ。ただ、座席単体では疑問点もある。とくに2人掛け座席の中間肘掛けは気にかかる。肘掛けスペースが非常に小さいうえに、外側の肘掛けと高さが違う。そのため姿勢が限定されるのは残念だ。座席は革張りで高級感があるが、肘掛けにクッションがないので感触が堅い。また、電動リクライニングシートの動作音で静粛性を損なわれるなど、惜しくも選外とした。

E7/W7系のグランクラスは電動リクライニング音以外の問題が解消されている。1+2列で座席間隔1300mm、座席幅525mm(E5/H5系より5mm広い)と余裕がある。肘掛けのサイズや高さの問題も解消され、非常に座り心地がいい。また、側壁が分厚く、最高速度がE5/H5系より抑えられていることもあり、リクライニング時以外は非常に静かだ。テーブルの安定感もE5/H5系を上回り、新幹線最強座席と感じる。

いかがだろうか。皆様も座席に注目して、快適な旅を満喫していただければ幸いである。

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提供元:独断で選ぶ「座り心地がいい」新幹線ベスト10|東洋経済オンライン

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