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2020.08.12

「腰痛は病院でしか治せない」と思う人の大誤解|テレワークで増加中の腰痛持ちに教えたい対処


自分でできる正しいケアで、在宅を快適に過ごそう(写真:Ushico/PIXTA)

自分でできる正しいケアで、在宅を快適に過ごそう(写真:Ushico/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが推奨されるようになりました。これまでは、会社で行っていた多くの労働が、自宅などで行われています。

「移動時間がなくなり快適だ」「意外に不自由はない」という声が聞こえてくる一方で、「腰が痛い」「運動不足になった」という声もよく聞きます。

拙著『「腰が痛い」と思ったらとにかく読む本』でも解説していますが、産業医の育成を行う産業医科大学と私が代表を務めるバックテックの共同研究によって、4~5月の緊急事態宣言の前後、315人の会社員を対象にアンケート調査を行ったところ、非テレワークの人のうち腰痛に悩む人が10%であるのに対し、テレワークをしている人の中で腰痛持ちは31%に上ることがわかりました。

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テレワークで腰痛になりやすい人の特徴

また、テレワークで不便に感じていることを調査した結果、「デスク環境の不整」「情報機器の不足」「(仕事のための)作業空間がない」が上位を占め、テレワークで不便と思っている項目が多い人ほど、腰痛で悩んでいる確率が高いことがわかりました(テレワークに関わる悩み事が1つ増えるごとに腰痛に悩まされるリスクは1.4倍増加)。さらに、椅子に座って仕事している人と比べて、床に座って仕事をしている人の方が、腰痛に悩んでいる人が多いということも明らかになりました。

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つまり、テレワークをしていない人に比べて、テレワークで働く方の場合、3倍以上の人が腰痛の悩みを抱えており、かつ、「テレワークにおける悩み事が多い人」ほど腰痛を抱えやすいという傾向が見えてきています。

テレワークで腰痛になってしまった方が今すぐすべきこととして、ここでは2つのことを紹介します。

「腰痛についての正しい知識をつけること」、そして「適度な運動」です。

実は、腰痛を慢性化させやすい人は、腰痛について間違った思い込みを持っているということが明らかになっています。その思い込みとは、「腰痛を“治らない”と思い込んでいること」「腰痛の原因を“身体上の問題”だと思っていること」「病院やマッサージサロンなどで何かを“してもらうこと”が腰痛改善の近道だと思っていること」などが挙げられます。

腰痛治療にレントゲンは必ずしも必要ない

ここ数年、必ずしもレントゲンなどの画像による検査が必要ないというのが、世界の腰痛治療のトレンドになっています。それは、実はレントゲンで把握できる身体の状態と腰の痛みは必ずしも関連しないからです。

例えば、腰のレントゲン撮影をして骨が大きく歪んでいたら、多くの方は「腰が痛い原因はこれだ」と考えがちです。しかし、実際は骨が歪んでいることにより、腰痛が生じているという因果関係は立証されていません。

たまに街で、腰が大きく曲がった老人を見かけますが、その中でも腰痛がある方は一握りで、多くの方は痛みを伴っていないのです。また、腰痛がない方に画像検査をした場合でも、実は30%もの人が腰のヘルニアに似たカラダの変化が認められるとの報告もあります。

それなのに多くの方は、「自分は姿勢が悪いから、痛い」と勝手に関連付けて考えてしまいます。それで、「身体上の問題を、病院で取り除いてもらおう」「コリをマッサージでほぐしてもらおう」「湿布で痛みを緩和しよう」など、他人やモノに何かしてもらうことで改善しようとするのです。

本当に腰痛改善のために必要なのは、「腰痛は自分で治せる」「コントロールできる」ということを中心とした、「正しい知識」とその知識に対する心からの理解なのです。

そして、知識をつけたうえでウォーキングなどの有酸素運動によって体を動かすことが、腰痛の人に必要な2つのステップといえるでしょう。

あるいは、ストレッチやヨガなども腰痛改善に効果がありますが、前屈で痛みを感じる腰痛か、後屈で痛みを感じる腰痛か等によって効果的な運動の内容は異なります。

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腰痛は、働く人の生産性を、年間数万円単位で左右することがわかっています。私たちの研究では、腰痛を改善するための取り組みを始めるだけで、働く人1人あたりの生産性が年間で1万円以上向上することが明らかになっています。今後、ジョブ型の雇用形態や評価基準に移っていく企業にとっては、腰痛によって生産性が下がることが、組織はもちろん、働く人一人ひとりにとって、大きなデメリットともなりうる時代になってきているのです。

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腰痛は、正しい知識を得るだけで、自分でマネジメントしていくことができます。また、病院に受診すべき基準も理解しておくことで、今後、新たに腰痛に悩まされた場合も、「この症状って病院に行くべきなの!?」というような不安に襲われることなく適切に腰痛をマネジメントできるようになっていくことが期待できます。

現在、腰痛を抱えている人は、まずは正しい知識を得て、腰痛を慢性化させないためにも、自分でマネジメントすることに力を注ぐのが望ましいのです。

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提供元:「腰痛は病院でしか治せない」と思う人の大誤解|東洋経済オンライン

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