2020.04.06
目のトラブルが「見た目」の劣化を招く!?
----デジタルデバイスの普及により、現代を生きる私たちの「目」は、人類史上かつてないほどに酷使されています。ドライアイやスマホ老眼といった目に関する現代病も深刻に。単に「見える」「見えない」ということはなく、目を"健やかに""美しく"保つためにはどうしたらよいのでしょうか。「瞳のエイジング」について、眼科医の平松 類先生にうかがいました。
黒目が小さくなる、充血する... 「角膜パンヌス」が怖い
特に20~30代の女性に多い2大トラブルが、ドライアイと、コンタクトレンズによる不調です。ドライアイに関しては、オフィスワークをされている方の約7割が経験しているほど。肩こりや頭痛がひどくて...という方で、眼精疲労が原因だったというケースも多いですね。
目のトラブルは、からだの不調だけでなく、見た目にも影響します。たとえば、「角膜パンヌス」。これは、黒目が小さくなったり、ひどく充血したりするという、外から見てもわかるほどの影響があります。角膜や黒目というのは血管が通っていない場所で、通常は涙などで栄養を補充しているわけですが、ドライアイやコンタクトレンズによるトラブルを放っておくと、角膜に栄養がいかなくなる。そこでどうするかというと、それまでなかった血管を生やして、直接血流を運ぼうとする。その結果、黒目は小さくなり、本来はないはずの血管ができるために目は赤く見てしまうのです。「角膜パンヌス」は年単位で症状が進むので、見た目でわかるくらいまでになってしまうと、治療はなかなか難しいですね。
ダメージを蓄積させる コンタクトレンズのトラブル
コンタクトレンズ性の眼瞼下垂にも注意が必要です。眼瞼下垂、まぶたが下がってくるというのは、加齢が原因だと思われがちですが、コンタクトレンズは目とまぶたの間に異物を入れているわけですから、どうしても物理的なダメージがあるわけです。そのダメージが蓄積された結果、若い方でもまぶたが弱って下がってきてしまうことがあります。それがコンタクトレンズ性の眼瞼下垂で、特にハードレンズの方にダメージが大きい。まぶたが下がれば目が小さく見えてしまいますので、これも見た目に影響します。
人気のカラーコンタクトレンズも、トラブルが多いです。特にネットで買う場合は、コンタクトレンズ自体の品質にばらつきが多く、2014年に国民生活センターが発表した「カラーコンタクトレンズの安全性」で、カラーコンタクトの色が溶け出るものがあったといいます。「安くて便利だから」という理由で選んだ結果、粗悪品により目にダメージを負ってしまっては、元も子もありません。見た目を美しく見せるためのコンタクトレンズによって、黒目が小さくなったり、まぶたが下がって目が小さく見えてしまっても、本末転倒です。まずは、目にもっと意識を向けていただくことが、「瞳のエイジング」ケアにつながっていくのではないでしょうか。
----眼精疲労はもちろん、女性にとっては、「見た目」に影響を与えかねないトラブルにも要注意です。次回は、健やかな瞳に欠かせない「涙」と、メイクと瞳の関係について教えていただきます。
平松 類
眼科医。医学博士。昭和大学兼任講師。彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長を経て、平成30年4月より二本松眼科病院勤務。目の健康に関する情報について、多くのテレビ・ラジオ・新聞などのメディアで積極的に発信している。『老人の取扱説明書』『認知症の取扱説明書』『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』(SBクリエイティブ)、『老眼のウソ』(時事通信社)、『眼科医がすすめる 目の不調を感じたら毎日食べたい料理』(KADOKAWA)など著書多数。
取材・文/剣持亜弥
イラスト/吉岡ゆうこ
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提供元:目のトラブルが「見た目」の劣化を招く!?|ワコール ボディブック