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2020.01.23

味で勝負できる「糖質制限おやつ」意外な売れ筋|あの「シャトレーゼ」の知られざる実力


ファミリー層を中心にファンの多いシャトレーゼで今、糖質カット商品が売れています(写真:シャトレーゼ提供)

ファミリー層を中心にファンの多いシャトレーゼで今、糖質カット商品が売れています(写真:シャトレーゼ提供)

郊外をドライブしているとよく見掛ける「シャトレーゼ」の看板。約400種類のスイーツを製造販売する創業66年の老舗だ。

日常使いのおやつが手頃な価格で購入できると、子どものいる家庭を含め、多くの人に親しまれている。「スペシャル苺ショート」(324円税込)や「ダブルシュークリーム」(108円税込)などを食べたことのある人も多いのではないだろうか。

全国に展開するシャトレーゼ。現在店舗数は530店舗(国内)に上る(写真:シャトレーゼ提供)

全国に展開するシャトレーゼ。現在店舗数は530店舗(国内)に上る(写真:シャトレーゼ提供)

長年、郊外中心に店舗展開してきたが、都心在住者からの出店要望が増えたことから、2019年9月からは銀座や青山に都心向け店舗を出店。ネット上でも人気が広がり、昨年はSNS上で「チョコバッキー」(64円税込)というアイスが大ブレイク、年間3000万本の販売を記録した。海外展開も順調で、ここ数年、売上高も店舗数(国内530店舗)も伸びている。

そんなシャトレーゼには、隠れたヒット商品がある。「糖質カットシリーズ」だ。

実は、糖質制限ブームの前から存在した

最近、糖質制限ブームの影響で需要が急増し、売り上げが伸びているという。筆者も先日立ち寄った銀座の店舗で、リアルな売れ行きを目撃。40歳代と思しきスタイルのよい男性が、ガサーッとこのシリーズのスイーツを15個ほど大人買いしていった。

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しかし、同社はブームに便乗したわけではない。発売は2009年と、実は割と前からある商品なのだ。2003年に発売したアレルギー対応スイーツに感謝の声が多く寄せられたことから、「食べたくても食べられない人のためにまた何かできないか」と、検討されたのが始まり。当時、生活習慣病が社会問題化していたため、糖尿病患者や血糖値が気になる人を対象にこのシリーズが開発された。

売れるかどうか未知数だったが、まとめ買いするシニアが現れるなど、徐々に手応えを感じていったという。ある糖尿病の専門医が、同シリーズの「ショートケーキ」の有用性を評価したのをきっかけに、病院での患者向け食事勉強会などで紹介される機会が増加。妊娠糖尿病患者の病院食に採用する産婦人科もあるという。

研究開発課課長の保坂徹さん(撮影:今井康一)

研究開発課課長の保坂徹さん(撮影:今井康一)

こうした背景から主な購買層は患者を中心とする中高年だったが、前述の糖質制限ブームやSNSの普及でダイエッターの支持が急増。「チアリーディング活動のため体重を増やせない」という10代女子など、若年層にもファンが広がっている。「売り上げは、この10年間で10倍伸びました」と、研究開発課課長の保坂徹さんは話す。

人気の秘密は、やはり「おいしさ」にあるようだ。一般的に糖質オフ商品に味は期待できないイメージがあるが、同社の商品は、ネット上の声などを見ても味への評価が高い印象。「洋菓子から和菓子まで長年培った製造ノウハウが開発に生かされています」と、保坂さんは語る。

しかし、開発は簡単ではない。糖質カットは、糖質が多く含まれる砂糖や小麦粉をほかの素材に代替することが基本だ。同社では、砂糖の代わりに、体に吸収されにくく血糖値の上昇が緩やかとなる「エリスリトール」「マルチトール」などの糖アルコールや人工甘味料を使用。小麦粉は、食物繊維や大豆粉などに置き換える。ところが、おいしくなるベスト配合に出合うには試行錯誤が必要になる。

キッチンで成功したものが量産時につまずくことも。とくに口どけのよさやふっくら感を出すのが難しいという。

「第1号のまんじゅうは完成までに1年。ショートケーキは100回試作しました」と、保坂さん。「ライバルはシャトレーゼの通常商品。とにかく通常商品のおいしさに近づけようと日々取り組んでいます」。

品ぞろえのよさも人気の理由の1つだろう。当初は5商品だったが、ニーズが高まるにつれ数を増やし、現在は全16商品を展開。

全16商品 ※外部サイトに遷移します

大きく分けて2種類あり、1つは糖質70%以上カット(糖質2.6~5.6g)のもので、主に糖尿病患者を対象としている。もう1つは、糖質50%カット(糖質7.1~10.3g)のもので、ダイエット志向の人がターゲットだ(※カット率は日本食品標準成分表や同社従来品と比較しており、商品により比較対象は異なる)。

人気1位の商品は・・・?

1番人気の「糖質85%カットのテーブルパン6個入」。まとめ買いが多いという(写真:シャトレーゼ提供)

1番人気の「糖質85%カットのテーブルパン6個入」。まとめ買いが多いという(写真:シャトレーゼ提供)

売れ筋は、店舗・通販ともに、意外にもケーキではなく、1位が「糖質85%カットのテーブルパン6個入」(648円税込)。主食になるのでまとめ買いをする人が多いそう。糖質制限パンといえばふすま系の商品にガッカリした経験があるのでこれもバサッとしているかと思いきや、やわらかくて香りもよく意表をつかれた。「苦くなりがちなふすまは使わず食物繊維を多く使っています」と、保坂さん。サンドイッチにも適しており、売れるのに納得だ。

2番目に人気の「糖質70%カットのアイス」。バニラ、宇治抹茶、チョコと3種類ある(写真:シャトレーゼ提供)

2番目に人気の「糖質70%カットのアイス」。バニラ、宇治抹茶、チョコと3種類ある(写真:シャトレーゼ提供)

以下、2位は「糖質70%カットのアイス」(各432円税込)、3位は「糖質88%カットのとろけるショコラ 生チョコ風」(572円税込)。

人気3位の「糖質88%カットのとろけるショコラ 生チョコ風」。糖質はなんと1粒0.22g(写真:シャトレーゼ提供)

人気3位の「糖質88%カットのとろけるショコラ 生チョコ風」。糖質はなんと1粒0.22g(写真:シャトレーゼ提供)

筆者のイチオシは、3位の商品だ。なめらかな口どけと砂糖不使用とは思えない風味で、1粒わずか糖質0.22g。1箱食べても5.6gとビックリの低糖質を実現している。小1の息子は「生クリームがウマイ~」と「糖質86%カットのショートケーキ」(280円税込)を気に入った。ほか、ピザやシュークリーム、エクレア、プリンなどにかく種類が豊富。糖質制限が必要な人にとって、おやつを諦めず、飽きずに楽しめるのはさぞうれしいことだろう。

すべて冷凍品なので、保存がきき、好きなときに食べられる点も支持されているという。シャトレーゼ全店(都心向け店舗は一部店舗)と自社通販で販売しているため、比較的入手しやすい点もリピートにつながっているようだ。

そして、通常商品と同様に、お財布に優しい価格も大きなポイント。だが、同社はなぜ、市場が大きいとはいえない糖質カットシリーズも含め、味にこだわった安価な商品を種類豊富に提供することができるのだろうか。

いいものを安く届けるための体制とは?

その答えは、独自のビジネスモデルにあった。山梨県に本社を置く同社はその立地を生かし、卵や牛乳、果物など菓子作りに必要な素材を地元の契約農家や農場から直接仕入れている。そして国内の自社工場で製造を行い、最短で翌日には全国の店舗へ自社配送。つまり、問屋を通さないため、新鮮な素材を使った商品を安く消費者へ届けられるのだ。

加工済みの液卵は使わず、新鮮な卵を仕入れ自社工場で割卵して菓子作りに使用(写真:シャトレーゼ提供)

加工済みの液卵は使わず、新鮮な卵を仕入れ自社工場で割卵して菓子作りに使用(写真:シャトレーゼ提供)

「ファームファクトリー」と呼ぶこの独自システムは1994年から始まった。「添加物を極力使わず素材にこだわる」というのも特徴だ。例えば、牛乳は、餌を厳選し高原で育てた牛の搾りたてを八ヶ岳の契約牧場から毎日仕入れ、低温殺菌を施し使用。卵も鶏の餌や飲み水にこだわり、近隣の契約農家より採卵から2日以内のものを毎日仕入れている。甲斐駒ヶ岳のふもとに白州工場を建てたのも、素材の味を邪魔しない水を使いたかったからだという。

また、割卵や精米など第1工程から自社加工を行う。例えばあんは、北海道産の小豆を白州の水で炊き上げ加工。しかも80種と菓子に合わせあんの味を変えているという。

糖質カットシリーズの「どらやき」は風味を出すためにこのあんの煮汁を使っているが、これも自社工場ならではの製法。「冷凍技術を含め製造設備を持っているため効率よく生産できる」と、保坂さんは味と価格を両立できるワケについて説明する。このほか、低価格実現のため、広告宣伝費は使わずに情報発信はHPやツイッター経由にとどめているという。

このように独自のリソースを生かし、アレルギー対応や糖質カットのようなニッチ市場にも注力する同社。おいしいものをお値打ちで、かつそれを“すべての人”に――ここをぶれずに追求してきたからこそ、長年多くの人から愛されてきたのだろう。

ニッチ領域の今後について保坂さんはこう語る。「餅の糖質カットは難しいですが、団子や大福など和菓子はぜひ増やしたい。また、例えばタンパク質の制限が必要な腎臓病の方など、今後も何らかの病気で食べられないものがある人のための商品を考えたい」。同社の挑戦は、続く。

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提供元:味で勝負できる「糖質制限おやつ」意外な売れ筋|東洋経済オンライン

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