2019.07.04
ファティーグ・ファクターのお話。疲れの原因が判れば回復も早い
とある調査によると疲労が原因で生じる日本の経済損失は、年間1.2兆円に上ると言われているそうです。また、一昔前に比べ、疲労が慢性化する傾向が強くなっているという報告や、子供を含めた若年層の疲労が深刻化しているという報告も見受けられ、疲労は現代人の健康を脅かす要因として無視できない深刻な状態だと言えます。
スルー厳禁!疲労は身体からの警告です
疲労は、発熱や痛みなどの兆候と合わせて「三大生体アラーム」と言われ、ホメオスタシス(恒常性)の異常を知らせる兆候の一つです。ですが明確な判断が難しく、やる気や気合の問題などに転嫁され、抜本的な解決がないまま看過されるがちなのも事実。疲労が深刻化・慢性化しないように、「その日の疲れはその日のうちに解消」することを目指せたらいいですよね。
疲労を引き起こす成因は、大きく分けて「身体的疲労」「精神的疲労」があり、相互に絡み合っていることがほとんどです。加えてスマホなどの電子機器利用頻度の増加から、視神経の酷使などを要因とする「神経的疲労」も加わって、問題をさらに複雑なものにしています。
疲労の原因を見極めよう
正しく疲労に対処するためには、まずご自身の疲労の原因を知れば、対策も講じやすいものです。 ご自身の生活の中で思い当たることがないか確認してみましょう。
慢性疲労症候群と慢性的な疲労の違い
慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)は、原因不明の強い疲労感が長期間(概ね6ヶ月以上)に及び継続する病気で、微熱 ・咽頭痛 ・頸部あるいはリンパ節の腫張・原因不明の筋力低下や羞明 (しゅうめい:異常に眩しく感じること)・思考力の低下・関節障害 ・睡眠障害を伴い、治療を要する疾患と定義されています。一方、慢性的な疲労は、医師の治療が必要なレベルの病態ではないものの、疲労が蓄積し、日々の睡眠や休息では解消しきれていない状態のことを指します。
「病院に行ったけど、病名はつかなかった。治療が必要とは言われなかった」という理由で対処を怠ると、もっと深刻な病気の呼び水になることも。病名がつかなくても、原因不明の疲れが蓄積されている場合はよくあるものです。悲観しすぎる必要もありませんが、より快適な状態になるよう、ご自身の生活を見直す必要があると考えたほうが良いでしょう。
主な疲労原因(ファティーグ・ファクター)は何か
上述した通り、疲労は「身体的疲労」「精神的疲労」「神経的疲労」などが複雑に絡み合っています。生活スタイルによって原因は人それぞれという側面もあります。だからこそ、ご自身の疲労が何に由来するかを知ることは、解決の近道となる可能性があります。近しい人からのフィードバックも手がかりにしながら、まずは疲れの原因を探ってみましょう。
意外?食べ過ぎは疲れの原因に
栄養バランスを整え、食事の質を高めてゆくことは大切ですが、過食による内臓の働きすぎ(身体的疲労の一部)が疲れの一因になるとも言われています。疲れた時は栄養のあるものを食べて元気を出そう!と張り切るよりも、胃腸を一旦休息させるほうが効果的な場面も多々あります。食べても調子が回復しない時は、一旦胃腸を休めてみるのもよい方法です。
あなたのお疲れは、どのタイプ?
気持ちが疲れを凌駕する人→ 身体的疲労タイプ
朝早くから夜遅くまで精力的に働き、通勤や営業先周りなどで移動が多いビジネスパーソン。健康意識も高く、仕事の前後にワークアウトで身体を鍛えている方に多く見られるのも特徴です。
このような生活スタイルを送る人は、よく食べよく飲み、睡眠時間を削って活動していることも多いもの。精神的な充足感が目くらましとなり、肉体疲労が蓄積していることに気が付かない場合があるようです。
精神的高揚はもちろん大切ですが、睡眠不足に疲れが蓄積されすぎると免疫力が下がりがちになり、感冒症状(かんぼうしょうじょう)や思わぬ体調不良を招く原因になります。ご自身の身体を過信せず、心身ともにOFFモードの時間を設けることが健康維持の秘訣です。
生真面目さゆえのオーバーヒート→ 身体的精神的疲労の複合タイプ
女性に多く見受けられるのが、生真面目さから手抜きが出来ず、精神的な負荷がかかりやすいタイプ。子育て世代のママや、人間関係のストレスに悩む方もこのタイプに分類される場合が多いです。利他的な活動が多いため、気持ちに余裕が無くなってしまったり、休息に充分な時間をとれない日々が続き、心身ともにデフレスパイラルに陥りがち。
心の回復力が低下すると、身体の回復力にも影響を与えます。自分の心身が健康であってこそ、誰かを支えてあげることができると心得え、時に休息し、時に誰かに頼り、時に諦めて、肩の荷を一旦下ろしてみましょう。身体が喜ぶ食事と良質な睡眠で、心身ともに養生すれば、頑張る気力や体力が湧いてきます。
スマホの奴隷!24時間デジタル漬け→ 神経的疲労タイプ
暇さえあればスマホの画面を見続けている人や、PC画面にかぶりつきのお仕事大好き人間に多いのがこのタイプ。若年層に多い傾向があるようです。スマホが無いと不安だな…という感覚がある方は、依存症予備軍の可能性もあり、要注意。視神経の酷使からくる疲れは、自律神経の働きを乱し、交感神経優位の状態が続きすぎると、睡眠の質を低下させる恐れがあります。
スマホやパソコン、テレビとの接触時間を見直し、デジタル・デトックスを敢行してみるのも良いかもしれません。
良質な睡眠は、疲労を癒やす最高の良薬
疲れの原因になっている生活スタイルや意識、考え方を是正すると、生体疲労は徐々に回復してゆくはずです。とはいえ、人生には「今が頑張り時」という場面が少なからずあるもの。日々の疲れを蓄積させないようにするためには、睡眠の質を上げ、疲労の回復力・治癒力を底上げし、疲れに負けない身体をつくることがとても大切です。
以前別のコラムでもご紹介しましたが、腸内環境の良し悪しが、睡眠の質にも影響を与えることがわかってきました。腸の健康が全身の健康と深い関連があることは、近年の健康トピックの一つです。
以前別のコラム ※外部サイトに遷移します
眠りに関するお悩みは人それぞれかもしれません。しかし腸の状態を良くすることは、ほぼ全人類に該当する必須課題であるとも言えます。一見無関係のように見えるかもしれませんが、ご自身の腸の状態を改善すれば、睡眠の質が上がり、疲労を感じている方々の明るい兆しとなるかもしれません。
記事提供:サンスター 健康道場
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提供元:ファティーグ・ファクターのお話。疲れの原因が判れば回復も早い|サンスター 健康道場