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2019.04.19

守らないと罰則!有給休暇を正しく取るルール│4月から施行、従業員に変更点の説明は必須


4月から有給休暇の取得が「義務」となりました。変更点の周知は人事担当者だけでなく、職場で共有することが肝要です(tabiphoto/PIXTA)

4月から有給休暇の取得が「義務」となりました。変更点の周知は人事担当者だけでなく、職場で共有することが肝要です(tabiphoto/PIXTA)

4月から年次有給休暇(有給)のルールが変わりました。4月1日施行の改正労働基準法により、年10日以上の有給が付与される労働者に対して、そのうち5日を1年以内に取得させることが新たな会社の義務となります。これに伴い会社がこの義務に違反すると、有給5日を取得していない労働者1人当たり最大30万円の罰金が会社に科せられる可能性があります。

日本人は休んでいないのか?

まず、なぜ今回の有給を5日取得させる義務が導入されるたという点について確認しましょう。そもそも日本人は休んでいないのでしょうか。今回の義務化は、日本が世界的に見て有給消化率が低いという理由から、罰則付きで強い強制力を伴って導入されました。

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確かに、有給取得率はフランスが100%、シンガポールが87%、アメリカが87%程度であるのに対し、日本は50%程度であるという実態はあります。

しかし一方で、年間の祝日日数が多い国です。フランス9日、シンガポール11日、アメリカ10日であるのに対し、日本は17日あります。そのため、有給取得日数だけではなく、祝日日数もプラスして考えると、日本はフランスには及ばないもののシンガポール、アメリカよりも休暇日数が多いのが現状です。これに加えると、今後、有給5日取得義務により日本の休暇日数合計は世界トップ5に入るレベルとなるでしょう。

問題は、これが正しい方向性なのかどうか。この点は読者の皆様の判断に委ねたいと思いますが、少なくとも「日本人は休暇が少ない」説の根拠は有給取得率である場合が多く、その前提を疑ってかかるべき場合が多いことは間違いありません。

まずは、4月からスタートしている有給5日義務の注意点について解説していきます。

(1)中小企業を含め、4月1日からスタートしている!

前回述べた労働時間の上限規制は、中小企業については2020年からの適用となりますが、有給5日義務については中小企業も含めて、既に対応が必要な問題となっています。

労働時間の上限規制 ※外部サイトに遷移します

(2)期間は付与日から1年以内、自分で消費すればその分はカウントされる

初年度の特例など例外を除けば、基本的には期限は付与日から1年以内となります。また、会社が有給の時季指定をせずとも、労働者が自ら有給を消化したり、「計画年休」という制度で既に1年のうちに5日の有給消化が決まっているのであれば、それ以上の対策は不要となります。

(3)正社員でなくとも、年に10日以上の有給が付与される労働者であれば対象になる

5日取得の対象者は、「年に10日以上の有給が付与される労働者」です。そのため、正社員でなくとも、パート・アルバイト・契約社員・嘱託再雇用社員などで年に10日以上有給が付与される人であれば5日取得させなければなりません。

なお、派遣については派遣元が雇用主ですので、派遣元の義務となります。ちなみに、派遣労働者の場合、派遣先が変わったとしても、引き続き同じ派遣元に雇用されているのであれば、有給取得日数も有給5日の時季指定義務も引き継ぎます。

(4)半日単位はカウントされるが、時間単位はカウントされない

注意点としては、有給は1日単位で取得する以外にも半日単位、時間単位という取得の方法があります。しかし、今回の「5日」のカウント対象としては、半日はカウントされますが、時間単位はカウントされないことに注意が必要です。

例えば「毎週水曜日に病院に行くために有給を2時間使う」というケースでは、毎週ですからそれなりに時間数が積み上がることになりますが、5日取得義務との関係では一切カウントされていないことになります(なお、時間単位取得は法律上、5日の範囲内でのみできることになっています)。

会社から有給の時季を指定されることも

(5)会社から時季指定が可能となる

これまで、有給は労働者側が申請して取得するものであり、会社側が「この日に有給を取れ」と命ずることはできませんでした

(厚生労働省作成 「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」より)

(厚生労働省作成 「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」より)

しかし、今回の改正との関係で、有給5日を確実に取得させる必要があるため、会社は本人の希望を聴取したうえで、有給取得する時季を「指定」することができるようになりました。

これを時季指定と言いますが、今後は、有給を自ら取得しない労働者に対して、会社は時季指定を行っていく必要が出てくるのです。

(6)リフレッシュ休暇・夏期休暇・アニバーサリー休暇などは「有給」であったとしても5日のカウント対象外となる可能性がある

実務的な注意点ですが、会社の就業規則を見ると、法律上の有給休暇以外にも、リフレッシュ休暇・夏期休暇・アニバーサリー休暇などの休暇制度があり、しかもそれが「有給」であることがあります。これを「法定外休暇」と言いますが、これを取得した場合には、通常は有給5日のカウント対象外となりますので、会社によっては、これらの制度を見直すことを検討しているところもあります。

とはいえ、単純にこれらの制度をなくしたのでは「不利益変更」となって法律上認められない可能性があるため、例えば「夏期休暇3日をなくす代わりに、法律上の有給を3日プラスした」など、トータルの休暇日数が変わらないように再設計するところもあります。法定外休暇と法律上の有給の関係について整理しておきましょう。

(7)有給管理簿を作成する必要がある

なお、今回の有給5日取得(させる)義務化にあたり、会社側も、労働者名簿・賃金台帳などと一緒に「有給休暇管理簿」を新たに作成して、取得時季・日数等を記載し、3年間保存しておく必要があります。

不利益になる有給変更は無効になるリスクも

以下は、さらに進んで、企業ごとに異なる実務的な注意点について解説します。

まずはいつ、どのように取得させるかです。取得方法の検討は企業によりさまざまです。一斉にまとめて取得する、事業場・部署ごとに取得する、最初の半年は自由に取得させ取得状況に応じて時季指定するなど対応は企業の実情によります。

一斉休業できるようなホワイトカラー職場もあれば、工場や店舗など、一斉に休むわけにはいかない職場もありますので、「これがベスト」というのはありません。ただし、ゴールデンウィークやシルバーウィーク、年末年始、お盆の本来休みの日の前後にくっつけて取得させる方法を取る企業も見られます。

注意点としては、これまで休日としていた年末年始やお盆について、休日を廃止し、年次有給休暇の取得に振り替えるだけであれば、それは不利益変更であり、労働契約法10条により無効となるリスクがあります。

ややイレギュラーな形で有給を取らざるをえないケースも出てきそうです。有給5日付与の対象は、年10日の年休が発生している労働者すべてですので、育休復帰者、休職者等についても対象になります。例えば、育児休業についてみても、復帰から残りの労働日が5日以上あれば義務履行の対象です。

変則的な有給消化にも注意を

例えば、4月1日に有給が付与される会社の場合、3月25日に育休から復帰した人がいるとすれば、復帰早々に「まずは5日の有給休暇を取得せよ」ということになります。直ちに復帰できず、復帰の初日からいきなり年休を取得するという極めて奇妙な事態となります。

また、実務的に有給5日の取得状況を把握する管理者を明確にする必要がありそうです。すべて人事部任せにするとミスが発生するおそれがありますので、まずは「現場で」確認するのがよいと思います。その場合も「何となく誰か確認しているはず」ではなく、「○○の役職にある者が確認する」などのルール化をすべきでしょう。

有給の使い方は人それぞれですが、風邪をひいたときや万一のために取っておきたい、と思う人は多いのではないでしょうか。しかし、今回の有給5日取得(させる)義務は罰則を伴うため、企業としては「確実に」履行せざるをえません。そのため、年度末のギリギリになって慌てて時季指定する事態は避けたいので、あらかじめ有給を与えていく必要があります。

その意味では、有給を残しておきたい派の人は有給消化がないので時季指定の対象となり、会社側から「勝手に有給を消費される」ことになります。しかし、繰り返しになりますが、刑事罰がありますので、企業対応としてはそうせざるをえないのです。これは法律による要請であることを企業も労働者に対して説明する必要があるでしょう。

有給5日問題は、刑事罰を伴う強い規制ですので、ミスのないよう、正確に運用していきましょう。

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提供元:守らないと罰則!有給休暇を正しく取るルール│東洋経済オンライン

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