2019.04.16
相手が不快になるビジネスメールを書かない術 |カタカナ用語で「デキる」を演出するのはNG
相手にもきちんと理解してもらえる表現でメールを送っていますか?(写真:polkadot/PIXTA)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
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もはや、ビジネスコミュニケーションの大半を担うメール。当たり前のツールになったからこそ、深く考えずに気軽にやり取りしてしまいがちですが、後に残るツールでもあり、ちょっとした気遣いが必要になります。
この春、新社会人になった方に、もう何度目かの春を迎えるビジネスパーソンのためにも、基本的な文面の書き方を見直し、相手をイラっとさせるリスクを減らす方法を、お伝えしたいと思います。
カタカナ用語、略語の多用を避ける
カタカナのビジネス用語を使うことで、「仕事ができる人」になったつもりでいるのは、大いなる誤解です。万人に認知されているカタカナ用語はともかく、はやりを意識したいわゆるトレンド語や新語を多用するのは、避けたほうが無難です。
以下のようなメールを送ってはいないでしょうか。
【NG例】
日程のバッファを取らずフィックスに遅れが出て、レスポンスに時間がかかり、お詫び申し上げます。追って、アジェンダを送付しますので、アサインお願いします。
ここまで、カタカナ用語の羅列ではなくても、このような文面を送られたほうは、一瞬なんのこと?と思う方もいると思います。ワード検索する方もいるでしょう。意味不明の文章を送り、相手に調べさせるということは、相手の時間を奪うことにもつながります。忙しいときや気持ちにゆとりがないときは、なおさらイラっと感じさせてしまう原因にもなるでしょう。
また、カタカナ用語は、日本語に訳すときに複数の意味を伴うことになり(造語以外は外国語由来が多いので、訳すときに微妙な意味合いの違いから複数の意味が生まれる)、相手に意図が正確に伝わらないことが発生します。よって、なんとなく雰囲気で「こんな感じかな?」と勝手に解釈されてしまう場合もあり、まったく別の意味で捉えられてしまうこともあるのです。
同じ職場内の人間や上司が頻繁にカタカナ用語を使うと、それにならい、よかれと思って使用してしまうことも多いので注意が必要です。
【改例】
日程に余裕がなく決定が遅れ、返信に時間がかかりましたことお詫び申し上げます。追って計画表を送付しますので、担当決めをお願いします。
カタカナ用語を使用しないほうが、誰でもスッキリ理解できると思います。
ビジネスメールに必要なのは、こちらの意向や内容が正確に相手に伝わることです。世代間や情報・認識の差があってもわかる平易な表現を心がけることが大切です。
ほかにも、最近よく使われているセグメント、デフォルト、エビデンス、コンセンサスなどは、すぐに日本語変換できますか? 英語が得意な方には何でもないことかもしれませんが、多くの人が、さっと日本語に言い換えられないような曖昧なものは、使わないようにするのが無難です。
ある程度のビジネス用語を認識し、使用することができることは必要ですが、相手が同じ認識とは限りませんし、基本的にはわかりやすい表現を使うことがベターです。
略語や業界用語も使用を避けたほうがいい
さらに、アルファベット略語にも注意が必要です。
CB(コールバック)、FB(フィードバック)などなら、まだ何となくわかるかと思いますが、以下の例はいかがでしょうか。
【NG例】
「ASAPでお返事をいただけませんでしょうか」
(「as soon as possible」の略で、「できるだけ速やかに」の意)
業種や業務によっては、聞きなれた方もいらっしゃるかとは思いますが、何のことやら、わからない方も多いと思います。
アルファベット略語ではありませんが、同じ意で「なるはやで」、などと略されることもあるかと思います。これも、上司や関係先などに送るのは失礼かと思います。
もちろん、略語や業界用語を使用することによって、作業効率を高めたり、共通言語を使うことによって、チームワークを育む効果もあります。
しかし、略語、業界用語は身内の言語であり、それ以外の人に通じない可能性も高く、不快感やトラブルを招きやすくなります。
また、業界用語に慣れてしまうと、通常用語との境が曖昧になりがちです。相手との差別化を図るために意図的に使う場合もあるかと思いますが、慎重に使い分けることが重要です。
「ネガティブ表現」を極力避ける
また、相手に心地よく捉えてもらうためには、ネガティブな表現をできる限り避けることが大切です。
例を挙げてみます。
【NG例】
「体調を崩さないようにお気を付けください」
→(崩す)という表現が△
「体調を崩さないようにお気を付けください」
→(崩す)という表現が△
【改例】
「健やかにお過ごしになられますように」
言霊(ことだま)という言葉が昔からあるように、言葉には魂が宿るとする考え方があります。使用する言葉が、少しでもポジティブ(肯定・楽観)なほうが受け手にとっては、よい印象を与えるのです。
次のような例はどうでしょう。
△ご返信がないので心配しておりました。→心配(悲観)
◎ご返信をいただき安心いたしました。→安心(楽観)
といった具合です。
相手の立場になると、わかりやすいかと思います。
例えば、久しぶりに連絡した友人に、「最近全然連絡なかったから、具合でも悪いのかと思ってた」と反応されたらどうでしょう。抵抗感を覚える人も多いのではないでしょうか。「具合でも悪いのか」というところを、プラスの表現で「最近全然連絡なかったから、メールもらえてうれしい」と言われたほうが、気持ちよいのではないでしょうか。
相手が理解しやすい平易な表現、プラスイメージの語彙を選ぶことが相手との関係性をよりよくしていくことにつながります。
わかり合えることに重きを置いてメール作成を心がけ、信頼関係を育てる有効な手段にしていただけることを願っています。
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提供元:相手が不快になるビジネスメールを書かない術|東洋経済オンライン