2019.03.12
「男も女も老けさせる」紫外線対策、よくある5NG| 10年後のシミ、シワ、たるみに…対策してる?
「10年後のシミ、シワ、たるみ」…あなたは大丈夫?(写真:sasaki106/PIXTA)
ハーバード大学マサチューセッツ総合病院の客員研究員であり、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ロンドン大学セントトーマス病院など、豊富な国際経験をもつ小川徹氏。現在のハーバード大学マサチューセッツ総合病院においては、「皮膚とAI」に関するマサチューセッツ工科大学(MIT)との共同研究などに取り組んでいる。
その小川氏が「見た目が10歳若返る外見力」をテーマに上梓した『ハーバード現役研究員の皮膚科医が書いた 見た目が10歳若くなる本』が、今注目を集めている。その小川氏に「男性も女性も老けさせる、紫外線の5つの盲点」を解説してもらう。
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日本のビジネスパーソンは「外見力」を意識していない
私は現在、アメリカのボストンにある、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院で客員研究員として活動しています。その前はUCLAやロンドン大学セントトーマス病院に所属しており、この間、多くの欧米のエリートと接する機会がありました。
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こうした経験を通じて痛感しているのは、欧米、特にアメリカのパワーエリートは、とにかく「外見」に気を遣っているということです。男性でも爪を整え、シワとりやレーザー治療などをしている人は珍しくありません。そして、いつも驚かされるのは、みなさん例外なく「見た目が若い」ことです。
翻って日本に目を向けると、残念ながら日本のビジネスパーソン、とくに男性ほど「外見力」を意識している人は少ないように思います。「老け見え」でも気にしていない人が多く、非常に損で、もったいないことだと感じています。
男性も女性も「見た目」が若いことは、ビジネスにおいてもプライベートにおいても、大きなアドバンテージとなりうるはずです。みなさんの「見た目」がもし、10歳若返ったらどうでしょうか。きっと人生が変わるはずです。
一部の人は「若さ」を求めて美容整形や外科的な手法を取り入れますが、そんなことをしなくても、「老け見え」してしまう悪習慣をやめ、適切なケアや食事を取り入れることで、「見た目を若くする」ことは十分に可能です。
私はこれまで約20年間、医師として日々過ごす中で、「皮膚科学をもっと大きな視点で柔軟に考えることが必要」と感じ、「ポジティブ皮膚科学」と名付けて提唱してきました。
「老け見え」を招く悪習慣はいろいろありますが、「ポジティブ皮膚科学」を通してみると、「紫外線」に対する正しい対策がされていないことが、「老け見え」の根本原因のひとつと考えられます。
ここでは、「紫外線」の5つの盲点を紹介します。
まず、男性ほどやりがちなのが「そもそも紫外線対策を一切していない」ことです。
「紫外線対策」は男性も必要である
【1】「今さら遅い」と紫外線ケアを一切していない
「紫外線が肌に悪い」というのは、みなさんよくご存じだと思います。
最近では男性でも日傘を差す人がいますが、まだまだ少数派で、実際には「紫外線などまったく気にしていない人」が圧倒的多数ではないでしょうか。
紫外線は、波長の違いで「UVA(長波長紫外線)」「UVB(中波長紫外線)」「UVC(短波長紫外線)」の3つに分かれます。
この中で「UVA」と「UVB」の一部が皮膚に影響を及ぼし、「UVB」は浴びすぎると発がん作用があり、「UVA」は発がん作用や皮膚の老化(シミ、シワなど)にも関係しています。つまり、「見た目の若さ」を考えるならば、女性だけでなく男性も紫外線対策が必須なのです。
「紫外線は青年期までに一生に浴びる分の半分以上を浴びてしまう」ともいわれており、青年期までに浴びた紫外線のダメージが30代、40代になって「シミ」「シワ」「たるみ」としてあらわれるのです。
今怠った紫外線ケアは「10年後、20年後」に肌に跳ね返ってきます。今からでも遅くないというか、逆に今からが大事ですから、しっかり「紫外線対策」をしてください。
【2】「冬場だから」と油断している
夏の暑い時期は紫外線対策をしていたとしても、夏が過ぎて暑さが和らいでくると、意識に上らなくなるものです。
紫外線による皮膚へのダメージは、「紫外線の強さ×紫外線を浴びた時間」で決まります。つまり、冬の弱い紫外線量でも、長い時間を屋外で活動していれば、夏よりもトータルに浴びた紫外線量が多くなるケースは十分あります。
冬場にとくに気をつけたいのが「UVA」です。「UVA」は「UVB」に比べて、冬でも減らないという特徴があります。「UVA」は、皮膚の中にある弾性線維にダメージを与え、シミやシワの原因となります。
とくにスキーやスノーボードなどのウインタースポーツが好きな人は要注意。雪による反射は80%もあるといわれており、スキー場で浴びる紫外線量は雪のない場合の倍近くになるからです。
冬でも油断せず、「日焼け止めを使用する」「マフラーや帽子などで防御する」「皮膚の乾燥を防ぎ、保湿剤を使用する」などの対策を心がけてください。
次によくある盲点としては、「室内や自動車内の紫外線を軽視している」ことです。
「本格的な日焼け」はリスクが大きい
【3】「室内」や「自動車内」の紫外線を軽視している
紫外線対策というと、オフィスワーカーは「外に出ていないからあまり関係ない」と軽視する人も多いと思います。しかし、室内だからといっても安心はできません。紫外線は「窓ガラス」を通しても、しっかりと降り注いでいるからです。
室内のほかに、「自動車内」の紫外線も軽視しがちです。自動車の場合、日本は右ハンドルですから、顔の右半分、右腕に紫外線が集中しやすくなります。
「ほんの少しの時間だから……」といっても頻繁に乗っていると紫外線を多く浴びることになります。UVカットガラスでない場合は、とくに注意しましょう。
【4】「太陽は浴びたほうが健康にいい」と勘違いしている
かつては「子どもは外で遊んで日光を浴びなさい」といわれたものです。「太陽は浴びたほうが健康にいい」という通説なのですが、これは紫外線を浴びることによって体内に必要な「ビタミンD」を生成することが目的でした。
今も「骨を強くするために日光浴が必要」と誤解している人がいますが、「紫外線の皮膚に与える害」が解明されている現代では「古い認識」といえます。
つまり、「本格的な日焼けは『メリット』より『リスク』のほうが大きい」のです。「見た目の若さ」を考えるならば、「紫外線は皮膚にとって有害で防御する対象」と心がけてください。
次によくある紫外線対策のNGは「目の紫外線対策に無頓着」なことです。
【5】「目からの紫外線」に無頓着で、「サングラス」をしない
「目から入った紫外線が、シミやそばかすをつくる」といったら驚きますか? あまり意識していないことですが、紫外線は実は「目」からも入り込みます。紫外線は目にダメージを与え、それ自体、角膜の炎症、目の痛み、白内障などの症状を起こす恐れがあります。
また、紫外線により角膜が炎症を起こすと、脳の視床下部へ信号が送られて、脳が危険を察知します。そして、体の防御反応のために脳から「メラニン(色素)をつくれ」という指令を出します。つまり、目から紫外線が入ることで、紫外線を直接浴びていない皮膚にも、シミやそばかすができてしまうのです。
さらに、紫外線は「光老化」といって細胞を老化させるばかりでなく、皮膚の細胞の遺伝子を傷つけ、皮膚がんを発生させるリスクもあります。ですから、目だけでなく、皮膚を守るためにも、「目から入る紫外線対策」は重要なのです。
アメリカから帰国すると、日本では夏でもサングラスを着用する人が圧倒的に少ないことに気づきます。
紫外線の強い季節は、特に「UVカット効果」のあるサングラス、コンタクトレンズを装用してください。私も普段、UVカットのメガネやUVカットサングラスを「紫外線対策」として愛用しています。
「見た目」が若くなると、人間関係もよくなる
私たち皮膚科医は日々の診察において、いろいろな人の皮膚の状態を観察しますが、傾向として、肌がきれいで「見た目」が若い人は、内臓も若くて健康ということが多々あります。
逆にいうと、肌にハリがなくて調子が悪いというときは、内臓が疲れているとか、内臓疾患がある可能性もあるわけです。肌の調子は一種のシグナルといえます。
つまり「外見力をアップさせる」ことは、仕事や人間関係をよくするばかりでなく、健康を保つことにもつながるわけです。その意味では 「見た目は万能」といっても過言ではありません。
ここに挙げた「5つの盲点」を少しずつでも改善していけば、今より「見た目」が若くなることは、誰でもできる、私はそう確信しています。
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提供元:「男も女も老けさせる」紫外線対策、よくある5NG|東洋経済オンライン