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2018.11.13

才能がないと嘆く人はマネが徹底できてない|デキる人の言葉を聞かずに行動を完コピせよ


まずはマネから始めてみることが必要です(写真:Morsa Images/iStock)

まずはマネから始めてみることが必要です(写真:Morsa Images/iStock)

「才能」という言葉を聞くと、多くの人が「もともとその人に備わっている“すごい能力”のことでしょ」「何の努力もしなくてもできちゃう人に使う言葉でしょ」と思いがちですが、それは全然違います。

辞書で「才能」という言葉を引くと「生まれつきの能力」と書かれていますが、生まれつきの能力は、“誰もが”持っています。

「才能」を引き出す大事なキーワード

しかし、「あの人には才能がある」といった言い方は、「ほかの人にはないような能力を持っている」というニュアンスで使いますよね。能力の高い人は、単純にそれを効果的に磨いてきただけの話なのに。

では、「本来は誰もが持っている能力」を、どのように伸ばせば「『才能がある』と言われるべきもの=ほかの人にはないような突出した能力」になっていくのでしょうか?

そのために大事なキーワードは「守破離」です。

守破離とは、剣道や茶道などの修業における個人のスキルの段階を示したもの。

まず「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身に付ける段階。

次に「破」は、ほかの師や流派の教えについても学び、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。

3つめの「離」は、1つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。(『デジタル大辞泉』より)。

ですから、まずは“師となる人”の教えを守って、徹底的にまねをするといいでしょう。「まねする」ことを、軽んじてはいけません。

成果を残している人ほど、いちばん初めは誰かのまねを徹底的にしているもの。そもそも、まねといっても、“すごい”と言われる人のまねなんて、そうそうできるものではありません。

ただ、拙著『才能の正体』でも触れていますが、このときに頭のいい人、もしくは、すごくできる人の言うことは、聞かないほうがいいでしょう。頭のいい人が「こういうふうにやったらいいよ」と言葉で教えてくれているのに、いざ実行に移しても、その通りにできない、ということがありませんか?

『才能の正体』 ※外部サイトに遷移します

「頭のいい人や出来のいい人の“言葉”は、聞く意味がない」と僕は思っています。

なぜそう思うのか――?

“すごくできている人”って、自分がどうしてそれができているのかがよくわかっていないからです。なぜなら、できないことで悩んだことがないから。“できちゃってる人”には、上達するための説明はできないのです。説明できないどころか、レベルに到達していない人を見たらイライラが募って「なんでこんなこともできないんだ!」なんてことも言いかねません。

できる人の「行動」を完コピする方法

“できる人”にとっては、“できることが当たり前”すぎて、“普通の人にとっては難しい”ということを認知できていないことが多いのです。

メモじゃなく動画を使って、できる人の「行動」を完コピせよ!

「まねする」ということについて、もう少し掘り下げていきましょう。

僕がいつも言うのは、「頭のいい人の“行動”を完コピしろ」ということです。

いい成績を取りたいと思ったら、頭のいい人(できる人)に「どうやって勉強したら、できるようになるんですか」と聞きたくなりますよね。でも、実は、そんなノウハウを聞いても意味がない。

それよりも、あなたがすべきことは――「普段どんなふうにやっているのか、今ここでやってみてください」とお願いすることです。

たとえば営業成績がめちゃめちゃいい人に「営業のやり方を教えてください」と相談して、アドバイスを受けても、あなた自身の営業成績を上げるための効果は少ないでしょう。

それよりも、一緒に営業先へ同行して、その人がどんなふうにあいさつしているか、どんな表情で相手に話しかけているのか、どんな言葉遣いで話しているのか、どんな順番で話をしているのか……をしっかり観察して、それと同じ行動を“完コピ”するほうが、成績上昇に直結します。

さて、完コピするときに、いちばん近道で効果のある方法をお教えしましょう。

それは、頭のいい人、できる人の行動を、動画で撮影することです。そして、動画を見ながら、彼のどこに「うまくいくポイント」があるのかを見つけるのです。

「わざわざ動画を撮らなくても、(手帳などに)メモをしたらいいじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、《動画撮影》と《手書きのメモ》は、根本的に大きく違います。手書きのメモには、書く人の主観が入ってしまうので、自分が見たいところだけを見て、大事なことを取りこぼす可能性がある。そのため、メモだけでは、どんなに参考にできることがあっても、勉強でも仕事でも思ったように成績が上がらないのです。

一方、動画だと、普段“自分の意思では見ていない”ところまで映ります。ですから、後で映像を見ながら分析することができます。映像をていねいに見て、“頭のいい人”“できる人”が何をどうやっているのかがわかったら、今度は、その行動を完コピする。それが理想です。いちばんの成功の近道なのでおすすめします。

もちろん、何時間も動画で撮るのは難しいという人もいると思うので、具体的にどれくらいまねしたらいいのかを説明しましょう。

たとえば、その人が毎朝8時に会社に来るなら、あなたも朝8時に来るようにする。だいたい8時に来るけれど、2日に1回は3分ぐらい遅刻するなら、そこもコピーする。そういう、細かいところまでまねしていくのです。

すると、その人がやっている行動、挙動、言葉、タイミング、反復性、過剰なところ、抜いているところなど、いろんなことがわかってくる。すると、たとえば自分はちょっと姿勢が悪いかもしれない、とか、「ありがとうございます」を言うタイミングがおかしいかもしれない、といったことがわかるようになります。

完コピで、能力を磨く「基礎」を作る

ところで、「できる人の行動を完コピしなさい」と言うと、恥ずかしいと思う人もいるし、そもそも誰かのまねをすることに対して、否定的な人も結構います。

「自分はその人より能力が低いのだから、できる人のまねなんかしても意味がない」と思う人が、わりと多いようです。また「まねをするよりも、オリジナリティを出さなくちゃ」「自分の個性で勝負しないと戦えない」といった考え方をする人もいます。

しかし、それは間違っています。

そもそも、人間は一人ひとり違います。身長も違えば声も違う、骨格も関節も違うし、今までに受けてきた教育も人間性も違う。なので、どんなに“完コピ”しようとしても、必ずズレが出てくるのです。つまり、どんなに誰かのまねをしても、“あなたらしさ”は出てしまうものなのです。

それに、基礎がないうえに、ただただ「オリジナリティ」を築いたって、そんなものは見かけだおしのオリジナリティ。あなたが戦うための武器にはなりません。

ですから、まずは完コピすべきなんです。

完コピで、「能力を磨くための基礎」を作るのです。

完コピを徹底的にやると、必然的にオリジナリティが出てきます。

僕に言わせれば、それが「個性」です。

完コピにあたって、大切なポイントがあります。完コピをするときは、その人の「考え方」だとか、「言っていること」ではなく、「行動」を完コピすること、です。

人間が唯一、他人を完コピできるのが「行動」です。思考なんて、一人ひとり全然違っているので、計測できませんし、まねしてもできているかどうかわからない。「完コピできたかどうか」が、はっきりわかるのは“行動だけ”なのです。

「言葉」よりも「行動」のほうがいい理由

できる人のまねをするとき、「言葉」よりも「行動」に注目する理由について、言語学の言葉を使って、もう少し詳しく説明しましょう。

言語学には「シニフィアン」(意味しているもの、表しているもの)と、「シニフィエ」(意味されているもの、表されているもの)という言葉があります。たとえば「海(うみ)」という「言葉・文字・音」が「シニフィアン」で、そこからイメージした、魚がいるとか、青いとか、広いとかいった「海の概念」が「シニフィエ」です。

さきほどの「完コピ」の話の続きになりますが、“言葉だけ”で何かを伝えようとすると、それを受け取る人は各々で認知が違うため、「シニフィアン」と「シニフィエ」にズレが生じてしまうのです。

上司が部下に「コピー取ってきて」とお願いすることが、よくありますね。コピーして上司に渡すと、上司があれこれ文句を言う。カラーかモノクロかについて、コピーした部数について、ホチキスを留める位置について……。

これは「コーヒー買ってきて→ミルクと砂糖入りはNG」や「お弁当買ってきて→飲み物も一緒に買ってくるのが普通」とか、細かいことを言えばいろいろあります。

こんな理由から、現代においては「動画を撮っておく」のが絶対にいいと思います。

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『才能の正体』(幻冬舎) クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

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提供元:才能がないと嘆く人はマネが徹底できてない|東洋経済オンライン

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