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2018.10.30

やがて破綻を招く会話パターンに気づくコツ│イメージを共有できれば「行き違い」は防げる


ほんの一言で、トラブルが防げることはたくさんある(写真:kotoru/PIXTA)

ほんの一言で、トラブルが防げることはたくさんある(写真:kotoru/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ(R)」の大野萌子です。

自分本位の「当たり前」

Aさん「今度、日帰り温泉行こうよ」 ​

Bさん「いいね! 行こう!」

友人同士の会話ですが、意気投合したように見えて実は、2人の脳内には、まったく違うイメージが存在している可能性があります。 この連載の記事一覧はこちら Aさんは、街中にあるスパ、Bさんは、日帰り圏内の温泉地をイメージしているとします。 しばらくして、Bさんがいい所を見つけたからと温泉地のパンフレットを見せたところ「えっ、そんなところまで行くの!?」「○○駅にあるスパのつもりだった」なんていうことはよくあることです。 たとえば、「マヨネーズ買ってきて」と言えば「キュー〇ー」しか思い浮かばない人もいれば、「味の○」を思い浮かべる人、ほかのメーカーを思い浮かべる人もいるでしょう。

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この連載の記事一覧はこちら ※外部サイトに遷移します

私たちは、つねに自分の経験則で物事をとらえ、それが当たり前だと思い、疑いません。よって、説明をしなくても当然、相手も同じことを認識しているという感覚に陥っています。特に同じ日本人なんだから、同じ文化圏なんだからという意識がそれを強め、違っていたときに相手に対して「普通そうだよね?」と怒りにさえ変わってしまう自己中心的な発想です。

日常のやり取りの中では、この自分本位の「当たり前」が相手を傷つけ、また、相手に対し、いらぬ怒りを生んでしまう原因ともなるのです。

私たちは、思い浮かべた状況を「言語」という「共通の記号」で相手に伝えようと試みます。今までの体験を通じての価値観や学習した経験などによって、表現方法(言語の言い回し)を選択します。

何かを説明しようとするときに、ゴムボールみたいなものを思い浮かべて「柔らかい」といったと仮定します。しかし、それを受けた側は「柔らかい」という表現から、ゴムボールを思い浮かべるとは限らず、「羽毛のように」とか「マシュマロのように」と解釈することが生じます。これは、聞く側の経験や価値観、そして思い込みが大きく作用します。

相手に正確に伝えるには?

ですから、相手に正確に伝えるためには、頭に思い浮かんだことや気持ちをより細やかに伝える必要があるのです。

企業研修などで、2人組になって言葉かけのみで相手に絵を描いてもらう、図形のピースを組み合わせて形を作ってもらうといったワークをすることがあります。ほとんどの場合、言葉かけを行ったほうが意図していたのと同じ絵は描けず、単純な図形をくみ上げることも困難です。

たとえば、ただの丸を紙に書くにしても「丸を書いてください」というだけでは、相手は、好き勝手な場所に好きな大きさの丸を描きます。紙のどのあたりに、どのくらいの大きさの丸を描くのかを伝えなければ、こちらが意図した丸を描いてもらうことはできません。要するに、自分の言いたいことを「端折って」伝えていることを自覚する必要があります。

相手にわかってもらうためには、相手がわからないことを前提に伝えることが大切です。たとえば、何かをすることに慣れていない子どもに対して説明するように、日本語をまだ使いこなせていない外国人の友人に対して解説するように、という感覚だとわかりやすいでしょうか。

相手に対して、初めてのことを教えるインストラクターになった心づもりで、具体的な言葉を、あと一言伝える配慮があるとよいかもしれません。

さらに、普段のやり取りに慣れてしまっていると、そもそも省略するという癖がついてしまっている場合もあります。

たとえば、「お母さん、お茶」と、お母さんにお茶を入れてほしいという意味合いでよく使われるのではと思いますが、「お母さん、お茶入れて(ください)」を省略したものですよね。それでわかるのだから問題ないという感覚が、特に身近な関係だとありがちです。家族はもとより、同じ部署の人間や親しい友人などでも起こりえます。もちろんこれらのやり取りが絶対にダメということではありませんが、相手への配慮や思いやりを欠くことにつながりかねないことを意識していただければと思います。

「察する文化」の中で生活している私たち

人は、自分の思ったことや言いたいことを相手にわかってほしいという欲求が強いにもかかわらず、多くを語らずに「わかってもらいたい」と思いがちな勝手なところがあります。しかも、わかってもらえないと裏切られたように感じてしまうのです。

話のさわり部分を聞いただけでさもわかったような(わかってもらったような)気になってしまうのは、お互いとても危険なのです。情報が少ないとそれを補うために、より一層自分本位の想像力を働かせてしまうのも問題です。

察する文化の中で生活している私たちは、相手の心を「読む」ことが暗黙のうちに期待されています。なので、詳しく聞いたりすることや、プラスアルファを説明することを恥じるという感覚も持ち合わせています。

「お前そんなこともわからないのかよ」と思われることを嫌うのです。そう思わせないために、わからなくても適当に判断してしまうということになりかねません。それが相手との行き違いをより深めてしまいます。

ですから、相手との理解を深め、自分のことをわかってもらうためには、わからないであろうということを想定し、丁寧に具体的に伝える必要があります。

ほんの一言で、トラブルが防げることはたくさんあります。ぜひ「具体的な思いやりのひとこと」を自分と相手のために付け加えるようにしてみてください。

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提供元:やがて破綻を招く会話パターンに気づくコツ|東洋経済オンライン

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