2018.10.29
「怒りをぶつけてくる人」に怒ってはいけない│イライラしたら間をおくようにしよう
感情をぶつけるだけのようなメールが来たときに取るべき対応とは(写真:tuaindeed/iStock)
『大人の対応力』(ワニブックス)では、ビジネスシーンで何かと発生しがちなトラブルへの対応方法が具体的に描かれている。本記事では、その中から「取引相手から一方的に怒りをぶつけるメールが届いていた場合の対処法」をご紹介する。
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<お悩み>
会社のメールをチェックしたところ、取引相手から一方的に怒りをぶつけるメールが届いていました。こちらが悪いわけでもなく、ただ先方が思いどおりにならないことに憤りを覚えているといった内容です。ついイライラして、そのまま返信してしまいそうになりますが……。
イライラしたら"間をおく"
明らかに先方の一方的な言い分、いわば感情をぶつけるだけのようなメールが来た場合には、とにかく"間(時間)をおく"ということを頭に入れておきましょう。
とりあえず、「メールを拝受いたしました。その件につきましてはこちらでも検討させていただいて、後ほどあらためてご返信させていただきます」というように、これ以上相手を怒らせないよう、メールを受信したことだけを丁寧に伝えてから"間をおく"のです。
怒りというものは、多くの場合、時間が癒やしていくものです。ですから、たとえ1〜2日でも時間が経てば、相手が「少し言いすぎたかもしれない」と感じ始めるケースも少なくありません。だからこそ、最初にメールを受け取ったことだけを伝え、あくまで核心には触れない文面を返しておくことが、重要なポイントなのです。
ちなみに、これは相手の怒りをおさめることだけを目的としているわけではありません。一方的な怒りをぶつけられたら、どんな人でも多少は「イラッ」としますよね。ですから、間をおかずに核心に触れる返信をすると、自然と"こちら"のイライラも反映されてしまうのです。怒りにまかせて「大変お怒りのようですが、こちらとしてはそのようなことを言われましても、対処しかねます」などと返信したところで、相手の怒りに油を注ぐだけでしょう。
つまり、こちらの感情を鎮めるためにも、時間が必要だということです。
仮に、先方のメールがあまりに強い怒りの文章である場合は、もしかすると、どこかで行き違いが生じているという可能性も捨てきれません。ですから"間をおいている"間に、いろいろな角度から、問題の検証をしてみるとよいでしょう。
その際、「こちらでも確認させていただきます」「精査いたします」というような丁寧な言葉遣いでその場をおさめると同時に、決して相手の意見を肯定しない、謝らない、というのもポイントです。なぜなら、問題の検証をするうちに先方の勘違いやミスがわかる可能性もあるからです。最初に「申し訳ありません」などと謝ってしまうと、その勘違いを認めたことになってしまいます。
この場合はメールですので、自分がイラッとしていても、対応さえ間違えなければ大きな問題にはならないでしょう。
それでは、先方から突然電話がかかってきた場合は、どのように対応すべきでしょうか?
電話の場合は、相手の怒りがダイレクトに伝わってきますから、こちらとしても非常にしんどいわけですね。しかし、この場合も「仰ることは、よくわかりました。それでは、こちらでも検討しまして、後ほどあらためてメールにてお返事させていただきます」というように、どうにか時間をおく努力をすると同時に"メールに持ち込む"ことがポイントになってきます。
メールはごまかせない
メールというのは、事実関係と了解事項の積み重ねです。つまり、文面として残っている以上、ごまかせないわけです。感情だけでうそをつくというようなことが不可能な世界です。ですから、本来仕事でのやり取りは、すべて文面に残すべきですし、メールに残しておくことによって、このような突発的な出来事にも対処できるようになるわけです。
また、電話で相手を罵倒し続けるような人はたびたび見掛けても、メールで激昂し続ける人は少ないように思いませんか? これは、感情を言語化していくうちに怒り続けることが難しくなり、少しずつ冷静になっていくためです。
ですから、感情面のイライラはとりあえず時間をおくことで対処し、その後、じっくりとメールのやり取りを確認しながら事実関係を明らかにしていく……。
この戦法で対応していきましょう。
ただし、このような手順でメールのやり取りをしていても、どうにも相手の怒りがおさまらない、どこか感情が行き違っていると感じる場合には、思い切って電話をしてみるというのも一つの手です。
「このたびは、どうもすみませんでした」などと、こちらが丁寧に出るうちに、相手も「いや、こちらこそ、どうもすみません」と、つられて怒りがおさまる可能性があります。
つまり、感情の共有をすることで"ガス抜き"をするわけです。この場合、「どうも」という日本語は、感情の共有に絶大な効果を発揮します。
相手のタイプを見極める
文面では激しい怒りをぶつけてくる相手でも、電話になると"そうでもない"というケースもたびたび見られます。
不思議とメールでの攻撃性が減って、笑い声すらあげるような人がいるのです。このようなタイプの方は、会って話すとさらに態度が軟化する傾向にあります。
ですから、電話でのリアクションから、どうも相手がこのようなタイプであると判断した場合には、実際に会って「このたびはどうも行き違いがありまして……」などとゆっくりと事実関係をひもといていき、雑談に持ち込むとよいでしょう。
いかにも日本人らしいというのでしょうか。"面と向かって怒り続ける"ことが苦手というわけです。ぜひ、時間をかけて怒りをおさめつつ、やり取りを正しく見極めて、ケースに見合った大人の対応を心掛けてくださいね。
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提供元:「怒りをぶつけてくる人」に怒ってはいけない│イライラしたら間をおくようにしよう|東洋経済オンライン