2018.09.03
「やりたい事がわからない」のは危険信号だ|「謙虚」を続けると人に振り回されやすくなる
自分の思いや意見を閉じ込めたままにしておくと、だんだん退化して、自分でさえつかみにくくなっていく(写真:Masaru123/iStock)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
この連載の記事一覧はこちら ※外部サイトに遷移します
「日々何となく過ごしている」「特にやりたいこともない」「夢中になれるものがない」こんな思いを持ちつつ、毎日を送っている方も少なくないと思います。実際に、「自分がどうしたらよいのかわからない(ビジョンが持てない)」という相談も多いです。
自分の気持ちや考えが自分でつかみ切れない人は、日々の生活の中で、自分の気持ちをないがしろにしてしまうことが多く、自分を大切にできていない人とも言えます。他人に遠慮したり、空気を読みすぎたり、否定ばかりをされ続けた人に多く見られる現象です。
謙虚になるがゆえに、どうでもよくなってしまう
自分の思いや意見を表出(相手に伝えることを)しなければ、それがだんだん退化していく傾向にあります。退化とはなくなってしまうことではなく、自分の中でつかみにくくなる、認めにくくなるということを指します。相手と何かを決めるときに、謙虚になるがゆえに「どっちでもいいから決めて」「任せる」というようなかかわりを続けてしまうと、当初はあった要望もだんだんと、どうでもよくなり、本当に「どっちでもよく」なってしまうのです。
それが、どのような影響を及ぼすかというと、人に振り回されやすくなります。人に何かを言われて感情が動くのは、自然な現象ですが、自分の芯がしっかりしていないとその振り幅は大きくなります。要するに、自分の信念や思い、意見が自分自身でつかめていないと、相手の影響を受けやすく、それによって多大なエネルギーの消耗を招くのです。それが、ストレスの原因となり、対人関係に疲れやすくもなります。
ですから、自分自身の気持ちを見つめることは自分の心身の健康を守るためにも必要なのことなのです。
しかし、自分に向き合う作業は意外と難しく、見たくない部分や認めたくない部分があるとなおさら困難です。そして、目をそらし続けると、ますますわかりづらくなります。
以下のようなことが、いくつか、もしくは、どれかが頻繁に起こったら、自分の気持ちと向き合えていない証拠です。
「なんだかわからないけれどイライラする」
「ささいなことで無性に腹が立つ」
「理由もなく悲しくなったり、涙が出る」
「憂鬱な気分から抜け出せない」
自分発見は、人との会話から
では、どうやって自分と向き合っていけばよいのでしょうか。
誰かと話をしていて、自分が攻撃されたり非難されているわけではないのに、イラっとしたり、腹立たしくなることはありませんか。
自分の気にしていることだったり、抱えている問題が投影されていると、そこから無意識に遠ざかろうとして、腹が立つ傾向があります。
例)友人が転職で大変だった話をしている。
「入社してまもないのに転職するなんて」と腹が立ち、非難したい気持ちになる。
自分の問題ではないので、本来なら「へぇそうなんだ」で済むのですが、そうならないのは、
・自分が今の職場に不満を持ってる
・本当は転職がしたいのに勇気が出ない
・自由な友人がうらやましい
・何事も有言実行できない自分がもどかしい
など、何らかの本心が隠れているからです。
相手のためを思って……などという大きなお世話とも言える、大義名分となる気持ちに隠れてしまいがちですが、相手ではなく、自分に焦点を当てることが必要です。何に対して腹を立てているのか自分の気持ちに向き合うチャンスなのです。自分のこだわりや価値観を探る手がかりになります。
「仕事を変えてはいけない」など、「○○でなければならない」という思い込みに気づくこともできるかもしれません。思い込みは、私たちの思考を支配し、知らず知らず行動をがんじがらめにしていきます。それを少しでも楽にコントロールできるようにするためには、自分がどんな思考や価値観に縛られているのかを正確に知ることが重要です。
思考や価値観は変化する
もう1つ大切なのは、思考や価値観は変わるということを認識することです。仕事、経済、健康、人間関係など、取り巻く環境によって左右されます。ある時期は、「時間」が最も重要かもしれませんし、「大切な人」や「お金」という時期もあるでしょう。ですから、つねに自分に向き合うことを習慣化し、変化も認識していくことが大切です。
自分の価値観がはっきりすれば、日常生活の中で選択を迫られたときに、自分なりの指針が立てやすくなります。優先順位がわかっていれば、それを基準に考えていくことで、自分で決定したという意識を持ちやすく、もし選択を間違えたとしても、そのときの状況下では最もよい選択だった、と認識することができ、納得がいきやすいのです。
自分にとって最適な選択をするためにも、人生の後悔を少なくするためにも、自分の気持ちを避けずに、向き合うことを大切にして下さい。
自分らしくよりよい毎日を送ることができますように。
【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します
提供元:「やりたい事がわからない」のは危険信号だ|東洋経済オンライン