2018.08.23
【特集/目覚めよ体幹!】 「ゆるめる」「吐く」で疲れない!
----活性化する前に小胸筋(肩甲骨の前側から肋骨についている深層筋)をゆるめる必要があるという話を前回しましたが、日本人は特に小胸筋が硬いのだとか。"肩身が狭い"という言葉は、まさに小胸筋の緊張を表していると安田先生。
小胸筋 ※外部サイトに遷移します
固まりがちな肩甲骨まわりは腕を回してゆるめる
小胸筋のほかにも、肩甲骨の奥にある腕を後ろに引く筋肉、菱形筋(りょうけいきん)も凝っている人が多いと言われています。長時間パソコンに向かってキーボードを打つ、車の運転をするといった動作によって肩甲骨に制限ができると、肩甲骨まわりの筋肉すべてが凝ってしまうのです。小胸筋と菱形筋をゆるめる方法は簡単。
肩甲骨 ※外部サイトに遷移します
菱形筋 ※外部サイトに遷移します
小胸筋をゆるめる方法
(1)左手で右肩のくぼみを押さえ、その奥にある小胸筋を意識する。
(2)ゆっくりした呼吸を意識しながら、右腕をひじから内⇔︎外へ動かす。左肩の小胸筋も同様に、それぞれ10回行う(小胸筋が硬い人は20回を目安に)。動かすうちに、くぼみを押さえている左手がどんどん奥に入っていくのを感じるはずです。
菱形筋は腕をぐるぐる回すだけ。(1)肩の力を抜いて上半身を前に倒す。(2)深呼吸しながら、右腕を時計回りにゆっくり回す。反時計にも回したら、左腕も同様に行ってみてください。
ゆっくり長く吐く呼吸はストレス軽減効果も
呼吸は肺で行われていますが、肺自体は膨らんだり縮んだりできないので、呼吸筋(胸郭とその周辺の深層筋群)がポンプの役割をしています。表層筋が固まっていると呼吸筋はスムーズに動くことができず、浅い呼吸になってしまうのですが、意識して深くゆったりとした呼吸を行うと副交感神経が活性化し、表層筋の緊張がゆるみます。表層筋の緊張が解ければ、深層筋も活性化しやすくなるというわけです。
胸郭 ※外部サイトに遷移します
副交感神経 ※外部サイトに遷移します
深くゆったりとした呼吸は、どのようにすればいいかというと......。"呼吸"という字からもわかるように、本来「吐く」ことが先で「吸う」のは後。大事なのは、「吸うことよりも吐くこと」。吐くことを意識するだけで、ゆっくり長く吐けるようになります。能の舞は、すべて陰と陽を繰り返しています。陽の動きのときに息を吸い、陰でゆっくり吐く。能楽師が元気なのは、深い呼吸ができていることも大きいと思います。さらに、呼吸はストレスを軽減する効果もあると言われているので、リラックスした深い呼吸を意識し、生涯現役の「息の長い」人間を目指しましょう。
----パソコンに向かっているとき、猫背になっている人は多いと思います。呼吸は当然浅くなり、肩甲骨まわりはますます緊張......とまさに負のスパイラル。緊張をゆるめておけば、次回紹介する活性化もよりスムーズに!
安田登
下掛宝生流能楽師、全米Rolf institute公認ロルファー。国内外で多くの舞台をつとめるかたわら、学校やカルチャーセンターなどで能のワークショップを行う。主な著書に『疲れない体をつくる「和」の身体作法』(祥伝社黄金文庫)、『身体能力を高める「和の所作」』(ちくま文庫)などがある。
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取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ
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提供元:【特集/目覚めよ体幹!】 「ゆるめる」「吐く」で疲れない!|ワコール ボディブック