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2018.04.27

食とエイジング/「老けないライフスタイル」の極意【教えて、ドクター!】


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老化を早める「糖化」は食生活と深く関係していることが見えてきました。食事は、からだの調子を整えるホルモンの分泌にも大きく影響します。食事をすることで体内では何が起きているのか、引き続き米井嘉一先生にお話を伺います。

成長ホルモンとエイジングの深い関係

老化の原因となる糖化を防ぐには、からだの中に余分な糖をため込まないことが大切だとお話しました。エイジング対策としてもうひとつ、生活習慣を整えることも非常に重要です。当たり前のように聞こえますが、なぜか、というところはあまり知られていないのではないでしょうか。

細胞の新陳代謝を促す「成長ホルモン」は、子どもの成長期には身長を伸ばすなど大切な役割を果たすホルモンですが、大人になったからといって不要になるのではなく、皮膚や筋肉、骨を丈夫に保つという重要な働きがあります。年齢を重ねると傷が治りにくくなったり、体脂肪が分解されにくくなったりしますが、これも加齢に伴って成長ホルモンの分泌が減少することと大きく関係しています。

では、この成長ホルモンと生活習慣には、どのような関連があるのでしょうか。
1日のうち何度か成長ホルモンの分泌が増えるタイミングがあります。まずは食事です。食べ物が胃に入って胃の壁を刺激すると、「グレリン」というホルモンが分泌されます。グレリンは、ホルモンの分泌を司る脳の下垂体という部位に働きかけ、成長ホルモンの分泌が促されるのです。胃壁への刺激は、空腹時のほうが強いので、逆に言えば、間食ばかりして空腹感がないと、胃壁への刺激が少なく、充分に成長ホルモンが分泌されないということになります。

次に、運動も食事と同様に成長ホルモンを分泌させます。筋肉に負荷をかける運動を15分ほどすると、乳酸という物質が生成されます。その乳酸も、やはり脳下垂体を刺激して成長ホルモンが分泌されます。

また、成長ホルモンが最も多く分泌されるのが午後10時から午前2時と言われています。さらに私の研究では、睡眠時間が少ないと糖化ストレスが強いという結果も出ています。糖化対策、ホルモンの分泌促進という側面からは、少なくとも6時間以上の睡眠をオススメしています。新しい細胞を作り全身を健康に保つためには、質の高い睡眠がとても大切なのです。

糖化させないライフスタイルとは?

糖化が進むとAGEsという悪玉物質が生成されるわけですが、AGE Readerという測定器で皮膚に蓄積したAGEsの量を測ることができます。10代から50代までの測定結果を見ると、20代でAGEsの検出がぐっと増え、年齢が上がるにつれAGEsの値もだんだん上がっていく傾向があります。
しかし、40代、50代ではAGEsが多い人もいれば低い人もいて、ばらつきが目立ってきます。なぜそのような差が出てくるのか調べてみると、考えられる一番の原因は生活習慣の積み重ねでした。睡眠不足の影響は顕著で、睡眠時間が8時間以上の人はAGEsの値が少なく、6時間未満の人は多いという明らかな差が、20代から表れるようになります。

喫煙と飲酒も糖化の原因となります。たばこには糖化を助長する成分が入っているため、当然ながら喫煙者は糖化ストレスが強くなります。またお酒を飲むと、アルコールを代謝する過程で生成されるアルデヒドが糖化を引き起こしてAGEsがたまりやすくなります。

こうして見ると、アンチエイジングとして生活習慣を見直すことがいかに大切か、おわかりいただけるかと思います。ただ、生活習慣を変えるのは簡単ではありません。特に女性は、おいしいものや甘いものが大好きですから、将来の健康のために誘惑を断ち切るのが難しいようです。

では、どうすればよいかというと、常に自分の状態を把握することです。最近は体脂肪率も測定できる体重計が普及してきましたが、まずは自分の体重や体脂肪を知ることです。そして体重が増えてくれば、食事を制限したり運動を増やしたりしようという気持ちが働きます。そういった自己管理が糖化ストレスを減らし、老化を抑えることにもつながります。

生活習慣を改善して糖化ストレスを減らしていけば、実年齢の8割くらいまで若返ることが可能です。女性は美しくなることでモチベーションが上がりますから、例えば、スキンケアを念入りにして肌の調子を整えたり、からだのラインが美しく見える下着を選んだりと、自分のからだに意識を向けてお手入れすることから始めるとよいでしょう。そして、そのキレイになった状態を維持するために、生活習慣を変えていくのが長続きするコツだと思います。

1週間から10日間くらいを目標に、食事に気をつけたり運動を増やしたりといった生活を心がけると、運動していると体調が良いとか、糖分を控えたらだるさが抜けてきたなど、「良い状態」を実感できるようになり、その後の自己管理もしやすくなります。2ヵ月くらいで皮膚に蓄積されたAGEsの量にも変化が表れます。糖化を減らして内側から健康になる生活を目指しましょう。

ー糖化は見た目の老化だけではなく、からだの機能低下や将来的な病気とも関係しています。今すぐに不調が表れないからといって、不摂生を続けていると、未来の自分にはね返ってくるということのようです。生活習慣を見直して、からだの内側から若さを保ちましょう!

米井嘉一(よねい・よしかず)

1958年東京生まれ。86年慶應義塾大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、UCLA留学。89年帰国、日本鋼管病院内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授、08年同志社大学大学院生命医科学研究科教授。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事する。著書に『「抗糖化」で何歳からでも美肌は甦る』(メディアファクトリー)、『なまけ者でも無理なく続く77の健康習慣』(ソフトバンク新書)など多数。

http://www.yonei-labo.com/

取材・文/飯塚りえ
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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提供元:食とエイジング/「老けないライフスタイル」の極意【教えて、ドクター!】|ワコール ボディブック

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