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2017.12.18

頭がいいのに仕事ができない人の「思考の癖」│面白がって可能性を信じれば「必ずできる」


否定的に考えていませんか?(写真 : プラナ / PIXTA)

否定的に考えていませんか?(写真 : プラナ / PIXTA)

何ごとであれ、まず「できない」と否定的に考える。状況分析に終始して新たな提案を出さない。リスクをとらず予定調和で終わらせる。こうした「思考の癖」が身に付いてしまっている人は少なくないだろう。

大きな挑戦、高い目標、難しい問題に直面したときに必要なのは、これらの癖を捨てて「必ずできる」という思いと思考法を身に付けることだ。

最新刊『必ずできる。』で、マッキンゼーでの25年間にわたる経験で鍛え上げた「論理的ポジティブ思考」の方法を伝授している著者が、「できない人」にありがちな困った癖を直して、実現可能性を劇的に高める思考法のエッセンスを紹介する。

『必ずできる。』 ※外部サイトに遷移します

よくない「思考の癖」が染み付いていないか?

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私たちの多くには、知らず知らずのうちに染み付いた、以下のような思考の癖がある。

①何ごとであれ、まず「できない」と否定的に考える癖

②状況分析に終始して新たな提案を出さない評論家型になる癖

③リスクをとらず予定調和で終わらせる癖

変化が激しく乗り越えていくのが難しい時代では、このような癖をそのままにしていては、悲観的になるばかりで灯りは見えてこない。山積みの問題を前に、否定的に考えて状況を細かく分析していたら、発想の幅は狭くなり、すべてのことに関して可能性は低く見えてくる。だからこそ、今、発想を変えよう。

よくない「思考の癖」を捨てて、否定から肯定へと思考スタイルを切り替えよう。大切なのは「問題は山積み」「状況は厳しい」ではなく、「だから、どうするのか?」ということだ。「だから、どうする?」――その問いへの私の答えは、「必ずできる」という前提で考えることである。

「必ずできる」と信じて考え抜き、フットワークよく行動し、そうすること自体を面白がる。これこそ今私たちが置かれている難しい状況を打破する方法だ。悲観的な否定や前例主義とは正反対の思考が、個人にも組織にも求められている。

どんな仕事もひととおりきちんとこなす「外さない社員」や、「あの人に任せておけば安心だ」と上司に言われる「ソツがない社員」は、必要な情報を集めてくるのがうまい。さらに彼らには状況を把握する能力もあり、分析も得意だ。

だから課題を目にしたときに、次のようになりがちだ。

「この事業の問題点は○○ですね。さらに××も弱いと思います。そして今、市場はこういう状況ですから、この販売プランでは計画どおりの売り上げも利益率も難しいでしょう……」

かように「アラ探しの達人」、もしくはぜんぶ他人事の「評論家」になってしまうのだ。

彼らの指摘する問題点や弱点はたいてい当たっているし、情報の読みも的確だ。提案されたプランに対する分析も優れていることが多い。

しかし、ビジネスは間違い探しのテストではない。

ビジネスの世界ではそもそも、考えるのは行動するためだ。行動につながらない「賢さ」はビジネスにおいては武器にはならない。

私自身のキャリアを振り返ると、コンサルタントも同じ罠(わな)に陥りやすいと感じる。徹底的に論理的に考えると、矛盾が見つかりやすいので、そこを指摘したくなるのである。「この事業計画はここがおかしい」「この事業モデルは黒字化しません」といった具合に、問題抽出に走ってしまう。どれも正しい指摘だが、これだけではクライアントは満足しないし、どう動いていいかわからないだろう。

「必ずできる」ためには、分析や否定だけに留まってしまう思考の癖をなくすことが大切だ。

「予定調和」には限界がある

大きな組織の中には、暗黙のうちに「落としどころ」がある。

これを見つけるのは「外さない人」や「ソツがない人」の得意技であり、前例に基づいた判断基準をもとに、「この案ややり方だったらいいだろう」という答えを導き出す。

「前期に出した販売プラン自体はOKが出たが、予算を削るように言われた。だから今回は、似たような販売プランで予算を抑えたものをつくろう」という具合だ。

難しいことにチャレンジもしていないし、斬新なアイデアも含まれていないが、提案の内容には誰も反対する理由がない。無難な答えなので、すんなり承認されがちだ。

予定どおりにそれなりの成果は出るので「なかなかうまく仕上げたね」という評価になる。だが、出るのはそれなりの成果にすぎない。これが予定調和の限界だ。

波風を立てず、調和を重視し、リスク回避に終始する思考は「必ずできる」思考とは正反対のものである。

似たことを同じようにこなすルーティンなら、予定調和は悪くない。だが、仕事のすべてがルーティンであるはずもない。ことに変化が激しく競争も厳しい環境の中で勝ち残り、成長していくためには、ルーティンをはるかに超えた改革や難題解決が不可欠だ。

実際に多くのビジネスパーソンは今、「これまで以上に高い目標を達成しなければいけない」「長年解決が難しかった問題を解決しなければならなくなった」という事態に直面しており、新たな解を求める状況に置かれているはずだ。

それなのに予定調和に終わらせていては、これまでと同じ解しか出てこない。本来の課題は解決しない。

もしあなたに、思考の中ですらリスクをとらない予定調和の癖があるのなら、すぐに改めたほうがいい。さもなければ、仕事の業績も質も、現状維持どころかずるずると後退していく事態となってしまうだろう。

「必ずできる」ための4つの思考

「必ずできる」思考とは、4つの思考スタイルの組み合わせである。それらのベースとなるのは論理的思考=ロジカルシンキングであり、戦略的思考である。

4つの思考スタイルを駆使できれば、高い目標を達成したり、難しい課題に対する解を生み出したり、厄介な問題を解決したり、斬新な発想を生み出す可能性が大幅に高まる。

4つの思考法は単独で用いても効果が高いが、課題や状況に合わせて4つすべてを駆使してもよい。臨機応変に使い分けたり、2つ、3つと組み合わせて使えば、その効果は飛躍的に高まる。ビジネスの成果もより大きくなるし、自分の成長もより加速するだろう。

4つの思考を簡単に紹介すると次のようになる。

1.【ストレッチ思考:Stretch】……高い目標にチャレンジする

目的や目標をできるだけ高く設定すること(英語では“Stretched goal”と表現する)によって、目線を上げ、視野を広げ、発想を広げ、革新的なアイデアや改革を求める考え方だ。個人や組織のアスピレーションを高め、高揚感やエネルギーを生み出す効果もある。

2.【メイクイット思考:Make it】……可能性を信じる

どんなに高い目標を掲げたときでも、どんな難問に挑むときでも、「できるか、できないか」ではなくて、「できる解を探す」という心と頭の姿勢で臨む考え方だ。「大変な目標だ」「解決なんて無理だ」と思いながら考え始めたら、発想は広がらず、思考のエネルギーも続かない。心も頭も縮こまってしまう。

一方、「どんな高い目標や難問も必ず答えがあるはずだ」と考え、それを探し出す行為そのものを面白がって楽しめば、解に辿り着くための新しい視点や斬新なアイデアが次々と生まれてくる。こうした思考を「できる:make it」にちなんで「メイクイット思考」と呼ぶことにする。

3.【インサイト思考:Insight】……好奇心で掘り下げる

どんな組織の中でも、表層的なとらえ方、抽象的なアイデア、一般論でとどまっているケースが非常に多い。これでは高い目標の達成や重要課題の解決にはつながらない。徹底的に掘り下げていく分析的思考を極めることで、初めて課題の本質やユニークな答えが見えてくる。

分析的思考は訓練で上達する。WhyとHowを繰り返すことで深く掘り下げていける。ところが高い目標、難しい問題であればあるほど、WhyとHowが繰り返せなくなり、行き詰まってしまう。そんなときに役立つのが好奇心である。面白がり、興味をもって見続ければ、行き詰まりを突破し、その先のWhyやHowが見えてくるものだ。

好奇心を持ち続け、「それはなぜなのか? それはどういうことなのか? それは何を意味するのか?」と考えを深めていく。思考自体を楽しみ、面白がる。こうして掘り下げて得た洞察は、ユニークで深いものになっているはずだ。

これを「洞察:Insight」にちなんで「インサイト思考」と呼ぶことにする。

4.【デッサン思考:Dessin】……あらゆる角度から考えを重ねる

ひとつの答えが出たところで満足せず、多角的に考えを重ねていけば、より多くのこと、より深いもの、より良い答えが見つかる。多くの視点から光を当てると全体像や本質が見えてくる。

普段の仕事の多くはルーティンだから、決まった位置と角度から仕事の対象を見ることが効率的だ。しかし「深く考える、難しいことにチャレンジする」という場合、そのやり方では答えが見えてこない。あるときはズームインしてアリの目で詳細を見る。あるときはズームアウトして鳥の目で俯瞰(ふかん)する。また、あたかも画家が線を幾重にも重ねながらデッサンをするように、考えをいくつも重ねて本質的な課題やベストの解を導き出す。

これを「デッサン:Dessin」にちなんで「デッサン思考」と呼ぶことにする。

「頭」だけでなく「心・体」との相乗効果を

これらの思考法を一つひとつマスターすることによって、「必ずできる」という思考法を支える土台ができていく。

4つの思考法はすべて、頭の使い方だけでなく、マインドセットと行動につながっている。したがって、思考法を修得するためには心と体の動かし方も変える必要が生じる。そしてまた、そのような思考法を使っていくと、マインドセットと行動も変わってくる、という相乗効果が生まれる。

3つの悪しき「思考の癖」を廃して、「必ずできる」ための4つの思考を駆使すれば、大きな挑戦や高い目標、難しい問題解決の実現可能性を劇的に高めることができる。

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提供元:頭がいいのに仕事ができない人の「思考の癖」│東洋経済オンライン

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