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2017.07.22

ストレスによって心が折れやすい人と成長できる人の違いはどこにあるの?


「受け止め方」一つで変化するストレスの影響

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同じストレスを受けたときに、そのストレスによって心が折れやすい人と、ストレスによって成長できる人がいます。心が折れやすい人は、経験したストレスからネガティブな考えを連想し、その連想を膨らませてしまう傾向があります。

たとえば、テストで赤点を取ったときには誰でも衝撃を受けるものですが、心が折れやすい人は、そこから「こんな問題でつまずくなんて、自分は負け犬だ」「次も赤点を取ってしまうに違いない」「次に赤点を取ったら、もう自分は終わりだ」というように悪い連想が浮かび、絶望的な気分に浸ってやる気を失ってしまいます。

一方、ストレスによって成長できる人は、同じショックを受けてもそこからネガティブな連想に傾くことはなく、「これは自分の弱点を知るよい機会だ」と受け止めます。

そして、「どこを間違えてこういう結果になったんだろう?」と原因を分析し、「この部分の理解が足りなかった。復習しておこう」というように次の行動に意識を向けることができます。または「ケアレスミスが重なったな。次回は気を付けよう」と反省し、次の成功を信じて気持ちを切り替えることができます。

ストレスによって心が折れやすい人の「認知のゆがみ」とは?

このように、ストレスによって心が折れやすい人と成長できる人とでは、同じストレスに衝撃を受けてもそのストレスの「受け止め方」が異なるため、その後の感情や行動に差が生じるのです。物事の受け止め方を「認知」と呼びますが、認知に一定のゆがみがあると、ストレスを抱えてしまうものと考えられます。

では、認知のゆがみにはどのようなものがあるのでしょう。認知療法の開発者の一人であるバーンズ博士は、認知のゆがみには10種類あると説明しました。

上の例の場合、「こんな問題でつまずくなんて、自分は負け犬だ」という思いは、「レッテル貼り」という認知のゆがみであると考えられます。レッテル貼りとは、一度の失敗や不快な経験などで「自分はこういう人」、「あの人はこういう人」とネガティブなレッテルをつけ、決めつけてしまう認知です。

また「次も赤点を取ってしまうに違いない」という思いは、「結論の飛躍 ― 先読みの誤り」という認知のゆがみであると考えられます。一回の失敗から、「次も失敗するに決まっている」と根拠もないのに悪い方向に先読みしてしまう認知です。

「次に赤点を取ったら、もう自分は終わりだ」という思いは、「オール・オア・ナッシング思考」です。「〇〇ができなければ価値なし」「一度失敗したら負け組決定」というように、すべてのことを“全”か“無”で捉えてしまう認知です。

「認知のゆがみ」がストレスフルな日常を引き起こしている

認知のゆがみには、他にも「一般化のしすぎ」(「悪いことは繰り返される」などと一般化する)、「心のフィルター」(見るもの聞くもの、何でもマイナスのフィルターを通して受け止める)、「マイナス化思考」(何でもないことを悪いことにすり替える)、「結論の飛躍 ― 心の読みすぎ」(人の態度や言葉を悪い方向に深読みする)、「拡大解釈と過小評価」(悪い面を大きく捉え、良い面には注目しない)、「感情的決めつけ」(感じていることが真実であると思いこむ)、「すべき思考」(「~するべき」「~ねばねらない」という考え方)、「個人化」(悪いことは何でも自分のせいだと考える)という種類があります。

これらの認知のゆがみがあると、自分自身をつらい状況に追い込み、大した問題ではないことを大きな問題として捉え、自他に対する悪い印象に振り回されてしまいます。そのため、日々体験することや他人や環境についても、すべてストレスフルなものに感じてしまい、不眠などの症状につながってしまうことがあります。

したがって、何かと物事を楽しめない、深刻に考えやすい傾向があると感じたときには、「その背景に認知のゆがみがないだろうか?」と振り返ってみることをお勧めしたいと思います。

「認知のゆがみ」は現実に即さない勝手な思い込み

認知のゆがみに気付いたときには、「今感じていることは現実?」「本当にその通りの結果になるの?」と自分の認知に反論を試みるといいでしょう。

認知のゆがみに従って考えていることはすべて思い込みであり、現実に即したものではありません。現実に即して考えれば、未来がどうなるかなど誰にもわかりません。「〇〇ができなければすべてダメ」というように、極端に二極化する結末などほとんどありません。未来は自分の意識や行動によって変えることができ、失敗しても挽回する道、他の方法で成功する道はいくらでもあるのです。勝手な思い込みによって、ネガティブな未来を予測したり、自分を縛り付けるようなルールを決めても、利益にはなりません。

したがって、認知のゆがみに気付いたときには、意識してそれを修正していくことが必要になります。この認知の修正を“癖付け”していくことによって、認知のゆがみから脱することができます。特に眠る前の時間に、今日一日頭に浮かんだネガティブな認知を思い出し、修正してから就寝するのがお勧めです。すると、ニュートラルな気持ちで眠りにつくことができ、ストレスを抱えて眠りにくい傾向の改善にも役立つものと思います。

photo:Getty Images

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大美賀直子

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早稲田大学教育学部を卒業後、出版社やIT関連企業に在籍し心身の健康等の編集の仕事に携わり、独立。メンタル領域専門のコラムニストとして、ストレスや心の健康、対人関係、モチベーション等に関する執筆活動、講演活動を行う。同時に心理カウンセラー、研修講師としても活動し、メンタルヘルス支援企業「(株)ハートセラピー」に所属。法人向け研修、労働者や大学生へのカウンセリングを行っている。雑誌・新聞等メディアへの出演も多く、著書多数。『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』(さくら舎)、『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』(明日香出版社)などの書籍を出版している。

提供元:ストレスによって心が折れやすい人と成長できる人の違いはどこにあるの?|フミナーズ

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