2025.02.08
胃腸を整え免疫UP、薬剤師おすすめ「大根料理」3つ|今が旬の食材をおいしく食べて健康効果も期待
今が旬の大根を上手に取り入れて、健康に役立てましょう(写真:masa/PIXTA)
最強・最長寒波到来で寒さが厳しい今、風邪やインフルエンザが流行していることもあり、筆者の薬局にも「なんとか免疫力を上げたい」という相談が増えています。
そんな人たちにお伝えしているのが、「胃腸を疲れさせないように」ということです。実は、この時期は新年会などで食べすぎ・飲みすぎにより胃腸が疲れがちで、そこから風邪やインフルエンザ、新型コロナにかかる人が多いのです。
胃腸が疲れると感染症にかかりやすい?
なぜ胃腸が疲れると感染症にかかりやすくなるのでしょうか。
漢方では、胃腸は単に飲食物を消化吸収する臓器ではなく、飲食物から得た栄養を生命エネルギーである「気」に作り変える重要な場所であると捉えています。
この気は外敵(漢方では「邪」といいます)から体を守るバリアのような存在で、ウイルスや細菌が外から入ってくるのを防ぎます。ですから、胃腸の健康を保ち、気をしっかり作って体のバリアを強力にすることが、漢方における感染症対策といえるのです。
同じ環境にいても、感染症にかかる人とかからない人がいるのは、この気の力に差があるからなのです。
したがって、食べすぎ・飲みすぎや不適切な飲食で胃腸を疲れさせてしまうと、感染症にかかるリスクが高まります。早急に胃腸の健康を立て直す必要があるのです。
免疫UP「大根のおすすめの食べ方」
そして身近な食材である「大根」は、胃腸を健康にして、免疫力のアップに役立つ食材の1つです。
『新修本草(しんしゅうほんぞう)』という中国の薬物書のなかでも、「温める性質を持ち、粉末にして服用するか、煮て食べれば、おおいに気の流れを整え、消化を促し、未消化物の排出を促し、人を健康にする」と記されているように、胃腸薬としての働きを持つとされています。
同書にはまた「根、葉いずれも、生でもよく、煮てもよく、漬け物にするのもよい。野菜のなかでもっとも利益があるもの」とも書かれています。
それだけ薬効の高い食材なのです。
おすすめの食べ方①大根おろし
まず、「胃腸が疲れているな」と思ったときに食べていただきたいのが、「大根おろし」です。大根の代表的な料理である大根おろしは、最も身近な消化薬です。
大根にはでんぷんを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)という消化酵素が含まれています。胃腸の働きを助けて、胃もたれや胸やけなどの症状を抑えます。「からみもち」で知られるように、もちも大根と一緒に食べると、胸やけがしにくいです。
イソチオシアネートは大根の辛味成分で、すりおろして空気に触れることで発生します。大根おろしが辛いのは、このイソチオシアネートによるものです。
イソチオシアネートは抗酸化作用があり、肝臓の働きを助けて解毒作用を高めますが、揮発性のため、時間が経つと失われてしまいます。成分を効率的に取り入れるには、食べる直前にすりおろして、すぐに食べるのがよいでしょう。
大根には抗酸化作用のあるビタミンCも多く含まれます。火を通すことで減ってしまうので、ビタミンCを破壊せずに摂るのであれば、大根は生で食べたほうがいいです。
おすすめの食べ方②はちみつ大根
続いてご紹介したいのは、「はちみつ大根」です。
風邪はのどの痛みから始まることが多いですが、唾液や飲食物を飲み込もうとするたびに痛みが起こるので、つらい症状の1つです。そんな、のど痛の緩和やのど痛予防におすすめなのが、はちみつ大根なのです。
昔からある民間療法ですが、筆者も驚くほど効果を感じています。特に今年のインフルエンザはのどの症状から始まるケースが多いようですので、はちみつ大根をうまく活用していただくといいかもしれません。
はちみつは抗菌、殺菌作用がある非加熱のものを選ぶのがポイント。加熱処理されたものには効果がありません。あまりにも安価なものは砂糖が混ざっていたり、香料で香り付けをしていたりする場合があるので、要注意です。
作り方は、大根を1センチくらいのサイコロ状に切り、ガラスの瓶やタッパーなどの容器に並べます。ヒタヒタになるより少し少なめ(8分目が目安)になるまではちみつをかけます。
半日ほどおけば、大根からしみ出てきた水分とはちみつが混ざりますので、その汁を大さじ1程度、ゆっくりと時間をかけて飲み込みます。夜に摂るのがおすすめです。
1センチくらいのサイコロ状に切った大根をガラスの瓶やタッパーなどの容器に並べたら、8分目ぐらいまではちみつをかける。半日ほどおけばできあがり(写真:arissa/PIXTA)
大根のおろし汁+はちみつでもOK
残った大根は料理に使うといいでしょう。甘くなった大根はサラダにそのまま入れてもいいですし、酢を加えて甘酢漬けにしてもおいしく食べられます。
なお、大根おろしの搾り汁を同量のはちみつと混ぜるという方法もあります。あっという間にできるので、「今すぐ摂りたい」というときにお役立ちです。
大根は生で食べるだけでなく、加熱したり干したりしても、健康効果を促してくれます。
生の大根の代表的な成分であるイソチオシアネートやアミラーゼは、加熱すると減ってしまいますが(大根の甘みが増すのはそのためです)、食物繊維は加熱すると水分が減って相対的に多く摂れるので、腸内環境の改善や、便通改善によるデトックス効果が期待できます。
お通じがイマイチ…というときはコレ!
おすすめの食べ方③梅流し
食べすぎが続いてお通じの調子が悪くなりかけているときに試していただきたいのが、「梅流し」という食べ方です。
材料は、大根2分の1本、梅干し2〜3個、昆布1枚です。昆布はなくてもかまいません。
作り方は、大根を1センチ程度に輪切りにし、1リットル程度の水で柔らかくなるまで煮ます(皮はむいてもむかなくてもいいですが、皮にも栄養素が多く含まれているので、筆者は皮ごと使っています)。昆布を取り出したら完成で、柔らかくなった大根を梅干しとともに食べます(種には気を付けてください)。
1センチ程度に輪切りにした大根を、1リットル程度の水で柔らかくなるまで煮る。柔らかくなった大根を梅干しとともに食べる(写真:NOV/PIXTA)
これを便通がつくまで、少量ずつ食べ続けます。多くの方は1〜2時間後に便意を催して、スッキリするようです。食べすぎにかかわらず、便通の状態が悪いかな?と思ったら、梅流しで腸内の環境をリセットするといいかもしれません。
そのほかのおすすめの食べ方
昔ながらの保存食である切り干し大根で知られるように、大根は干すことで水分が抜けて甘味が増し、生の大根にはないうま味成分も作られます。乾燥させることで含有量が増えるうま味の1つがナイアシンです。イライラやうつ症状などメンタルを安定させるといわれます。
大根を1本買うと使い切れずに余らせがちですが、そういう場合は残りを干しておくことをおすすめします。
1センチ程度、皮ごと輪切りにし、ザルに並べておくだけです。自家製の切り干し大根は数時間干しただけでも甘味が増しますので、ぜひ試していただきたいです。天日干しが理想ですが、室内干しでも大丈夫です。
大根の葉や皮も栄養が豊富なので、捨てずに食べてほしいです。皮はよく洗い、料理する際に一緒に使うといいでしょう。
葉は緑黄色野菜に分類されていて、栄養の含有量は根よりも多いです。根の部分にある栄養素以外で特に豊富なのは、βカロテン(ビタミンA前駆体)、ビタミンE、K、カルシウム、鉄分などです。
このうちβカロテンやビタミンE、Kは油と一緒に摂取すると吸収率が上がるので、大根の葉は油を使った調理がおすすめです。
大根の葉の独特なくせが苦手な人は、細かく刻んでじゃこやゴマなど、風味のある食材と油で炒めて、ふりかけにするといいでしょう。ご飯と炒めて菜飯にすれば、立派な薬膳です。
薬効を生かした食べ方で健康維持を!
正月からは時間がだいぶ経ってしまいましたが、1月7日に「七草がゆ」をいただくのは、年末年始の暴飲暴食で疲れた胃腸を休めるためといわれています。この七草がゆに入れるセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロのうち、スズシロというのは大根のことです。
今が旬の大根の、薬学的、漢方的な視点からみた薬効を生かした食べ方を紹介しました。ぜひ試してみて、健康維持に役立てていただきたいと思います。
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提供元:胃腸を整え免疫UP、薬剤師おすすめ「大根料理」3つ|東洋経済オンライン