2024.08.31
「老年学」専門家推薦、健康寿命のばす意外な食事|プリンにどら焼き、間食でたんぱく質簡単補充
十分なたんぱく質を摂取するのに効果的な方法と、じつはたんぱく質が多く含まれる意外な食品を紹介する(写真:プラナ/PIXTA)
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「人間は年をとるにつれてだんだんと筋力が落ちていきます。でも、同じ80歳でも、元気に生活できる80歳の方と、足腰の筋力が弱ってしまいめったに外出できない80歳の方がいます。この違いこそが、健康寿命の違いなのです」
健康寿命をのばす方法を探求し、現在は筑波大学で「老年学」を教える山田実氏はこう語る。そんな山田氏が「健康寿命をのばして良く老いる」ために効果的な体操、食事、習慣を解説した書籍、『転ばない足腰』が出版された。
今回は「食事」に着目し、十分なたんぱく質を摂取するのに効果的な方法と、じつはたんぱく質が多く含まれる意外な食品を紹介する。
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健康寿命をのばすにはとにかく「たんぱく質」
健康を維持するためには「栄養」が欠かせません。
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一言で栄養、といっても、健康を維持するうえで必要な栄養素はビタミン、ミネラル、脂質、糖質、たんぱく質と複数あります。その中で、「筋肉量を維持する」という観点で、今回は「たんぱく質」に注目します。
筋肉量を増やす(維持する)ためには、運動とたんぱく質の摂取が必要になります。言うまでもなく運動は大切ですが、たんぱく質をとることも同等もしくはそれ以上に重要になります。
じつは、若い人と高齢者では、同じ量のたんぱく質を摂取したとしても、その効果が異なります。
若い人と高齢者が同じような運動をしていたとして、若い人はたんぱく質を少しとれば筋肉がつくられやすくなります。対して高齢者のほうは、ある程度たんぱく質をとってもなかなか筋肉がつくられやすい状態になりません。しっかりとたんぱく質をとることで、ようやく筋肉がつくられやすい状態になります。
ここから言えることは、高齢者のほうが若い人よりもしっかりとたんぱく質をとる必要性があるということです。
また、運動の効果も、たんぱく質をとることでより高まります。「運動とたんぱく質の摂取を両方行った人」と「運動のみ行った人」とで筋力の改善率を比べてみると、運動とたんぱく質摂取の両方を行った人のほうが、筋力の改善率が高まることがわかっています。
「食材数」を意識する
1日にとるべきたんぱく質の量は、一般的には体重1キロあたり1グラムがひとつの目安です。
ただし、筋肉を増やす必要がある場合は、体重1キロあたり1.2~1.5グラムと、少し多めにとる必要があります。体重60キロの人だったら1日に最低72グラム、できれば90グラムのイメージです。
でも、体重1キロあたり1.2~1.5グラムもたんぱく質を摂取するのは結構大変です。白米1杯、さけの塩焼き1切れ、牛乳1杯で摂取できるたんぱく質は、合計で36グラム程度。1日に90グラムものたんぱく質を摂取することの大変さがイメージできたでしょうか。
なので、「たんぱく質をたくさんとるぞ」と意気込んでも、挫折してしまうことがあります。そこで、無理せず十分なたんぱく質をとる方法を2つ紹介します。
まずみなさんに意識していただきたいのは、「使われている食材の数」です。じつは食材数が多いほどたんぱく質の摂取量も増えることがわかっているのです。
食材数が多いからといって、たんぱく質が少ない食材に食事がかたよることはまれで、食材数が増えるほどたんぱく質を含む食材も増えることが普通です。その意味で食材数というのは、1日に必要なたんぱく質の量を知るうえでわかりやすい目安になります。
私は、講演などでお話しする際、「1日に食べる食材数は、理想は30、最低でも20はクリアしましょう」と言っています。
この「食材数」の目安がすぐれているのは、「目に見えて、数えられる」という点にあります。
「たんぱく質を90グラムとりましょう」と言われても、運動のように「1時間歩いた」「スクワットを10回やった」などと数えることが難しいです。また、筋力や体力の衰えは、階段の上り下りや歩くスピードなどで体感的にわかりますが、たんぱく質の不足というのは日常生活の中では把握しにくいものです。
そこで、食材数をおおまかな目安とすることで、「今日は10種類しか食べていなかった。明日はもっと種類を増やそう」と、日ごろの食事においてたんぱく質がたりているかどうかを意識づけすることができるのです。
「おやつ」でおいしくたんぱく質補充
2つ目は、「おやつ」を上手に利用する、です。「たんぱく質をたくさんとる」という観点から見ると、おやつも心がけ次第で、たんぱく質を補ういい機会になります。
卵、乳製品、大豆など、たんぱく質が豊富に含まれる食材を使っているおやつは、プリン、ソフトクリーム、どら焼きなど、世の中にけっこうあるのです。
私がよく高齢者の皆さんにお伝えしているのは、「買い物に行くときに、スーパーで栄養成分表示をよく見るようにしてください」 ということです。自分の目で確認して買うようにしましょう、と呼びかけています。もちろん、食べすぎは禁物ですが、「同じ甘い物でも、どうせ食べるならたんぱく質の多いもの」を選んでみてはいかがでしょうか。
出所:山田実『転ばない足腰』、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023 年」より作成
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提供元:「老年学」専門家推薦、健康寿命のばす意外な食事|東洋経済オンライン