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2024.06.28

「同窓会は意味がない」という中高年に欠けた視点|認知症専門医が助言「60代こそ出たほうがいい」


同窓会に出たほうがいい理由とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

同窓会に出たほうがいい理由とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

脳神経内科が専門の医学博士で、老人医療・認知症問題にも取り組む米山公啓氏による連載「健康寿命を延ばす『無理しない思考法』」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。

60歳を過ぎると同窓会が増える

60歳を過ぎたころから、同窓会や同期会の連絡が増えてきます。

アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

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というのも、定年間際になると自分の人生の先が見えてきて、仲間と競争する意欲もなくなり、素直な気持ちで接することができるようになるからです。

このように精神的な余裕ができることに加え、時間的にも余裕ができるため、昔を振り返る気持ちになってくるのでしょう。

そんなふうにして集まった同窓会には、20年ぶりとか30年ぶりに会う仲間もいるはずです。

中には、学校の成績が良く名門大学に行き、大手商社に入った友人もいるかもしれません。

昔だったら、劣等感や対抗心から普通に話すことができなかったかもしれませんが、定年してしまえばそんなことは関係ありません。

かつてのわだかまりを忘れて、一緒に過ごした青春時代を語り合いたくなるのです。

懐かしく若い時代を語る、そういう会はいいものです。

ですが、同窓会も何度か繰り返し開催されるようになると、毎度同じ人しか集まらないようになります。

そして、そこで交わされる会話も、どうしても同じ話になってきます。

健康状態が良くない、仕事を失敗したというような仲間は、なかなか同窓会には現れません。同窓会に出てくるのは、どうしても同じメンバーです。

さらに、年齢とともに、現役で働いていた人も引退していきます。

そうして、新しい体験を聞くチャンスがなくなり、定年後の悠々自適な暮らしをするメンバーで、同じ昔話をするだけになってしまうのです。

つまり、話に新しい情報がなくなるのです。

同窓会に情報を仕入れに行っているわけではないので、新しい情報は必要ないかもしれませんが、せっかく人に会って話をしても、いつも同じ内容では、脳を刺激するという意味においては、あまり役立たなくなります。

脳への刺激についてはさておいたとしても、心地いい昔話だとしても、同じ話を繰り返ししていては、しだいに飽きてくるようになるはずです。

同窓会に参加する人数も減っていき、やがて現役のときの半分にも満たなくなってくるはずです。それもしだいに減っていき、やはり同じメンバーばかりになってきます。

会話が脳に良いのは、新しい人に会って、多少の緊張を持ちながらするところが、脳には良いわけです。

しかし同じ仲間だけで会うのであれば、再会する新鮮味もなくなってきて、自分の病気の話と若いときの懐かしい話に限られてきます。

70歳後半になってくると、さらに参加者が減ってきます。そして、友人に会うたびに、だれかが亡くなったというような話になるのです。

以前は懐かしい昔話であふれていた同窓会も、最後は、同じ話をするばかりでなく、健康の話だけになってしまうのです。

最近、私が同窓会に出ても、健康相談を受けることが多くなってしまいました。

そうなってくれば、同窓会に出てきても、時間の無駄のように思えてくるものです。

せっかく同窓会に参加しても、ネガティブな話ばかりでは意味がありません。

同窓会に出ない勇気

「同窓会に出るな」という意見も、じつは結構あります。同じ話ばかりになって、意味がないから、というのが理由です。

どうせ会うならまったく新しい人、知らない世界の人にすべきという意見ももっともだと思います。

しかし、年齢とともにそれさえ面倒になってくるものです。 

人間というのは、年齢とともに行動範囲が狭くなっていきます。老化とは、行動範囲が狭まることとも言えます。

だからこそ、「せめて同窓会くらいは……」と思うのですが、それすら面倒になってきます。

どうせ外出するなら、新しいレストランで食事をするほうがずっと脳にはいいかもしれません。

新しい刺激にならなくなった同窓会は、きっぱりと忘れてしまうほうがいいかもしれません。

いつもの仲間と会うなら、限られた仲間だけで会うだけ十分でしょう。

同窓会に行く意味がなくなってきて、遠方まで外出するチャンスはますます減ってくることになります。

そこで必要なのは、外出する他の理由を作っていくことです。

人間の祖先は食料を得るために、外に狩りに出かけていました。だから外出する理由など考える必要はなかったのです。生きるために必要なことだったのです。

老夫婦だけの生活をしていると、同じようなことが起きてきます。

私の外来に来ている患者さん夫婦では、奥さんが先に亡くなってしまうケースは、決して珍しくありません。女性のほうが長生きと言っても、逆のこともあります。

そうなってくれば、遺された旦那さんは、自分一人で食料を買いに行かねばなりません。こうして、生きるために外出するようになるのです。

ネットで食料も買えると思うかもしれませんが、高齢者の方はそれが一人ではできないのです。自分で無理してでも、買い出しに行く、それが現実なのです。

同窓会に行こうか行くまいか迷うということなら、逆に言えば、まだまだそれだけ元気ということかもしれません。

「人に会う本当の意味」がわかるようになる

話が大きく脱線しましたが、同窓会に出るべきか、出ないべきかの話に戻しましょう。

同じメンバーしかいないから、同じ話しかしないから、同窓会に参加すべきではない。その意見ももっともだと思います。

そのデメリットがあるのを見込んだうえで、それでも同窓会には出るべきだと考えています。

一人で家にこもってしまうようになると、一日だれとも話をしないことも珍しくなくなってきます。

人に会っていたからこそ、脳を刺激して、新しい感動も得ることできていたのです。

外出してだれかに会う、それができるかどうかが、あなたが外部とのつながりが持てるかどうかなのです。

友人は大切なものです。若いときの時間を共有したという経験は、代わるものがないのです。

同窓会という大げさなものはやめるとして、二人同窓会と称して、二人だけで食事をするならできるでしょう。人数が増えると日程の調整も面倒になってきて、先送りされてしまうことが多いのです。

すぐに日程が合う仲間一人か二人となら、今日にも会えるでしょう。

もうそれで十分なのです。

見栄も張らず、いつもの同じ話でもいいのです。外出して人に会うという大切さを維持していきましょう。

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提供元:「同窓会は意味がない」という中高年に欠けた視点|東洋経済オンライン

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