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2024.04.20

視力と聴力が低下、軽視される「帯状疱疹」の恐怖|新年度の疲れに要注意、子どもも無縁ではない


疾病だけでなく、精神的ストレスや身体的な外傷後も帯状疱疹リスクが上がる。神経が障害を受けた部位によってさまざまな合併症が起きる(写真:ナオ/PIXTA)

疾病だけでなく、精神的ストレスや身体的な外傷後も帯状疱疹リスクが上がる。神経が障害を受けた部位によってさまざまな合併症が起きる(写真:ナオ/PIXTA)

2024年度が始まった。進学に就職や異動など、環境が変化した方も多いだろう。5月病という表現もあるが、これから梅雨にかけての数カ月は、帯状疱疹を発症する人が多い。1人暮らしを始めた大学生や、新入社員など若い人が発病して受診が増える時期でもある。全世代に通じる帯状疱疹の予防法について解説する。

子どももかかる帯状疱疹

帯状疱疹の原因は水痘帯状疱疹ウイルスで、初めて感染すると水痘(水ぼうそう)を起こし、そのままウイルスは体内に潜んでいて、次は帯状疱疹という悪さをする。アメリカでの研究だが、水痘ワクチンを打って水ぼうそうを予防した子どもたちは、ワクチンを打たず水痘に罹った子どもたちに比べて、ハイティーンでの帯状疱疹のなりやすさが4分の1ほどに低下することがわかっている。

研究 ※外部サイトに遷移します

日本では2014年から子どもたちへの水痘ワクチン接種が定期接種となったため、10歳以下の子どもたちは水痘ワクチンを接種している。よって、今後は日本でも10代の帯状疱疹は減少すると予想される。

2014年以前は、水痘は希望者が自費で受ける任意接種だったので、打っていないか、打っても1回だけの場合が多い。もしこれまで水痘に罹患していないならば、お子さんが何歳でも構わないので弱毒水痘生ワクチンを合計2回になるよう接種すべきだ。

コロナ罹患後に帯状疱疹のリスクが増すのはよく知られた事実だ。また自己免疫疾患など免疫の異常による病気のある人でリスクが高くなるのも何となく理由がわかる気がする。だが、ありふれた生活習慣病でも帯状疱疹のリスクは上昇する。糖尿病、心臓病、COPD、慢性腎臓病などが代表だ。カナダの研究者が、さまざまな論文からデータを抽出してメタアナリシス(大規模な解析)を行ったところ、以下の疾病や状態が帯状疱疹のリスクを上げることがわかった。

大規模な解析 ※外部サイトに遷移します

●帯状疱疹のリスクを増す諸条件

家族歴 148%
がん 117%
全身性エリテマトーデス 108%
外傷 101%
関節リウマチ 51%
精神的ストレス 47%
COPD 41%
心血管病 34%
炎症性腸疾患 32%
慢性腎臓病 29%
気管支喘息 24%
糖尿病 24%
うつ病 23%

疾病だけでなく、精神的ストレスや身体的な外傷後も帯状疱疹リスクが上がる。また、家族歴は血縁者のことであり、祖父母、父母、兄弟、いとこ、甥や姪がこれに当たる。つまり、両親のいずれかが帯状疱疹に罹患したことがある場合、自分も発病リスクが高いということだ。

糖尿病では一層リスクが高まる

台湾からの研究報告では、糖尿病の人は帯状疱疹のリスクが38%増加し、さらに冠動脈疾患や脳梗塞、末梢血管病、心不全などの心血管病を合併すると19%リスクが上昇すると解析している。つまり、心血管病を合併した糖尿病患者では64%もリスクが高まるのだ。

研究報告 ※外部サイトに遷移します

また、免疫が関係する疾病や、その治療薬がリスクを上げることが知られている。身近なところでは、アトピー性皮膚炎の患者さんは帯状疱疹のリスクが18〜33%高いことが報告されている。さらに治療に用いられるJAK阻害剤という薬の一部が帯状疱疹のリスクを上げるとの報告もある。JAK阻害剤は比較的最近発売され、いまでは円形脱毛症や関節リウマチ、炎症性腸疾患など多くの自己免疫疾患の治療に用いられており、治療を始める前に結核など感染症のチェックを行う。ぜひ帯状疱疹ワクチン接種の有無も事前に考慮すべきだ。

アトピー性皮膚炎の患者さんは帯状疱疹のリスクが18〜33%高いことが報告されている ※外部サイトに遷移します

JAK阻害剤という薬の一部が帯状疱疹のリスクを上げるとの報告もある ※外部サイトに遷移します

帯状疱疹予防ワクチンには生ワクチンのビケン(皮下注射)と不活化ワクチンのシングリックス(筋肉注射)の2種類がある。接種回数はビケンが1回(1万円前後)、シングリックスが2回(4万円前後)だが、持続性はビケンが5年程度、シングリックスは9年以上だ。シングリックスは50歳以上の方が接種対象だったが、2023年6月からは、18歳以上49歳までの人も、医師が帯状疱疹の発病リスクが高いと判断した場合は接種してよいことになった(ビケンは50歳以上が対象)。

軽視されている帯状疱疹という病気

医療者でも、帯状疱疹を軽視している人は多い。ましてや一般の方々であれば致し方あるまい。ヘルペスを帯状疱疹だと間違えているパターンが多いのと、帯状疱疹そのものは知っていても、さまざまな合併症が起こりうることを知らない人は多い。

最近、私のところに定期的に通院されている患者さんが左眼の周り(三叉神経眼枝)の帯状疱疹になり、最終的には左眼の視力と左耳の聴力が低下してしまった。帯状疱疹は神経の中でウイルスが増え、その神経が支配する領域にウイルスをばらまく。血管にも神経は分布しているので、血管の炎症が起きれば血流が滞り、さまざまな器官や臓器の機能低下を引き起こすのだ。

脳梗塞や心筋梗塞も帯状疱疹後に増加するし、下半身が麻痺する、排尿や排便ができなくなるなど、神経が障害を受けた部位によってさまざまな合併症が起きる。神経そのものが障害を受けているので、回復はほとんど期待できず、そのまま後遺症となる。そして、どの部位に帯状疱疹が生じ、どのような後遺症が現れるかは事前にはわからない。我々にできることは、なるべく有効なワクチンを接種することと、日常生活でストレスを溜めないなど生活に気をつけることだけだ。

(画像:東京都保健医療局ホームページより)

(画像:東京都保健医療局ホームページより)

東京都では、この4月からすべての自治体で50歳以上の住民を対象とした帯状疱疹予防ワクチンの費用助成が始まった。全国では600以上の自治体で助成が受けられるようになっている。東京都の場合は、自治体によって額の差異はあるが、生ワクチンなら5000円、不活化ワクチンは1回1万円ほどの補助が受けられ、4万円のシングリックスが半額の2万円となる。ぜひ活用いただきたい。

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提供元:視力と聴力が低下、軽視される「帯状疱疹」の恐怖|東洋経済オンライン

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