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2024.03.12

昼下がりに眠気が強くなる人の体に将来迫る危険|血糖値の急変動に覚えがあるなら生活上の工夫を


ランチ後に眠くなる、だるくなる……もしかしたらそれは「糖質疲労」が原因かもしれません(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)

ランチ後に眠くなる、だるくなる……もしかしたらそれは「糖質疲労」が原因かもしれません(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)

ランチの後、しばらくして「眠くなる」「だるくなる」。あるいは十分に食べたはずなのにすぐに小腹が減る、集中力が途切れる、イライラする、首の後ろがずんと重くなる――。

こんな症状が出ている人は要注意。将来的に生活習慣病のリスクを抱えることにも繋がりかねません。北里大学北里研究所病院副院長・糖尿病センター長の山田悟医師による新刊『糖質疲労』から一部抜粋、再構成してお届けします。

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その眠気、「糖質疲労」かもしれない

「糖質疲労」という言葉、はじめて聞いたことでしょう。

これは現代社会でひそかに、しかし、確実に増えてしまっている症状について、私がアスリートやビジネスパーソンの方たちとお話をしていて気づいた概念です。ですからご存じなくて当たり前です。

「糖質疲労」とは何なのか? 実は、みなさんにとても身近な問題なのですが、自分のこととは思っていない人がほとんどだと思います。

「ランチ後は誰だって眠くなるでしょう?」「たまたまこのところ忙しく、寝不足だったからな」そんなふうに思って、とりわけ気にとめず、毎日を過ごしておられる人が多いのではないかと思います。

しかし食事の後、しばらくして眠い、だるい。または、十分に食べたはずなのにすぐに小腹が減る、集中力が途切れる、イライラする、首の後ろがずんと重くなる──といった症状があるなら、それは「糖質疲労」の可能性が大きいと思っています。

ランチ後にこうした症状を訴え、午後のパフォーマンスを下げている人が実に多いので、私はこの問題を理解しやすくするために、不快な症状をまとめて「糖質疲労」と名づけました。

みなさんは「食後高血糖」と「血糖値スパイク」という言葉をご存じでしょうか?

「食後高血糖」というのは、文字どおり食後の血糖値(正常140㎎/㎗未満)が高いことです。通常、健康診断で測る「空腹時血糖値」(正常110㎎/㎗未満)とは判断基準が異なります。

食事をとった後、誰でも血糖値はある程度上がるのですが、その上がり幅が大きいのが「食後高血糖」です。

健康診断で血糖異常と判断されるのは「空腹時高血糖」(空腹時血糖値が110㎎/㎗以上)ですが、空腹時血糖値が異常となる10年ほど前から、食後高血糖が生じていることが報告されています。

そして、食後高血糖は、その後、遅れて分泌されるインスリンというホルモンの影響で、急ブレーキのように血糖値が急峻に下がるという現象に続きます。

血糖値の乱高下が生じる

この血糖値が急激に上がって、その後急峻に降下する様を「血糖値スパイク」と呼びます。「食後高血糖」から血糖値の乱高下(すなわち「血糖値スパイク」)が生じるのです。

ここでご理解いただきたいのは、糖質疲労と名づけた様々な症状は、この「食後高血糖」と「血糖値スパイク」の影響で生じているということです。

もちろん、食後の眠気や疲労感などには、睡眠不足や過労など基本的な体調の問題や、睡眠時無呼吸症候群など別の病気が原因の場合もありえます。ですので、食後に体調不良を感じていれば、そのすべてが「糖質疲労」というわけではありません。あくまでも「食後高血糖」や「血糖値スパイク」により感じている食後の体調不良が「糖質疲労」です。

一般的な健康診断でチェックするのは空腹時の血糖値なので、「食後高血糖」や「血糖値スパイク」について、健康な人が知る機会はまずありません。

しかし、これらの現象が、今日のパフォーマンスと明日の健康を脅かしているのです。

さらに、私自身もとても驚いたことなのですが、普段からかなりの運動をしている方や、プロアスリートの方たちですら、「食後高血糖」「血糖値スパイク」を呈して、糖質疲労を感じるという方が多いのです。

よく知られる健康法や健康習慣、トレーニング法などの中にも、それらの効果を無にするばかりか、「食後高血糖」と「血糖値スパイク」を起こしかねないものもあるのです。

「病気」までのカウントダウンは「あと10年もない」!?

先にも述べたとおり、空腹時高血糖が起こる10年ほど前から食後高血糖が生じます。糖質疲労は食後高血糖やその後の血糖値の急峻な降下(血糖値スパイク)の自覚症状ですので、糖質疲労は、健診で異常を指摘される10年ほど前から生じることになります。

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糖質疲労の段階ではまだ病気とは言えず、いますぐにお薬を飲む必要があるわけではありませんが、放置しておくと、いずれドミノ倒しのように糖尿病・肥満・高血圧症・脂質異常症に至る可能性があります。

糖質疲労から始まる負の連鎖は、ある時点から「不可逆的」になります。身体の細胞や臓器に代謝上の記憶が刷り込まれ、完治しなくなってしまうのです。しかし、糖質疲労の段階ならば、「可逆的」な状態なのです。

もし「そういえば30代(40代)のときは午後も元気だったのに、40代(50代)に入ってから昼下がりに眠気が強くなっている」とお感じならば、糖質疲労(食後高血糖)の有無をご確認いただき、そうであるならば、ぜひ、生活上の工夫をしていただきたいです。

食後高血糖から健診でひっかかる空腹時高血糖までは10年と申しました。しかし、もし糖質疲労があるとすると、すでにドミノは上流で倒れ始めています。10年の猶予はないのです。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

寝ても疲れがとれない人がすべき「3つのこと」

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提供元:昼下がりに眠気が強くなる人の体に将来迫る危険|東洋経済オンライン

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