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2024.02.17

ケガの危険も!初心者にありがち「マズい運動」4選|偏ったストレッチや筋トレは不調の原因になる


運動をやり始めた方などに向けて、やりがちな間違いと解剖学的に正しいやり方を4つご紹介します(写真:koumaru/PIXTA)

運動をやり始めた方などに向けて、やりがちな間違いと解剖学的に正しいやり方を4つご紹介します(写真:koumaru/PIXTA)

アメリカへも留学し筋膜や解剖学に関する技術や知識を深め、ストレッチトレーナーとして活躍するきまたりょう氏。

『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑』の著者でもある同氏が、運動や日常生活における全身の筋肉や、筋肉同士のつながりへの知識がいかに大切かを解説します。

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急な運動や間違った運動で怪我をしないために

コロナ禍以降に運動する機会が減ったり、在宅の機会が増えて、外出も減ったりした方も多いのではないでしょうか。

私はストレッチトレーナーとしてマンツーマンで指導を行っていますが、最近いらっしゃるお客様の中には、鈍った体を鍛えなおそうと、「筋トレを始めた」「スポーツをし始めた」という方が多くいらっしゃいます。

しかし、そういう中で、急な運動や間違った運動をしたことで怪我をしてしまったという方も多くいらっしゃいました。

怪我をしないために大事なポイントは、全身をめぐる「筋肉のつながり(=筋肉を包む膜のつながり)」を意識して、「全身をきちんと連動させる」「全身をバランスよい状態にする」ことです。

「筋肉のつながり」についてここで詳しく取り上げませんが、ざっくりとお話しするとミカンの白い薄皮のように、全身の筋肉を覆っているものが筋肉のつながりといえます。

全身にそういうものがめぐっているんだなくらいの軽い気持ちをもっていただければ大丈夫です。

ここをイメージできると、これまでの運動や筋トレ、ストレッチの効果が変わってきますし、怪我をしにくい身体が手に入ります。

「筋肉のつながりを意識した運動」とは

では、筋肉のつながりを意識した運動とは具体的にはどういうことなのか。

この記事では、運動をやり始めた方などに向けて、やりがちな間違いと解剖学的に正しいやり方を4つお教えします。

(1)腹筋運動だけをやってしまうこと。

腹筋運動をする理由は人によってさまざまだと思います。「お腹をスリムにしたい」「腹筋を割りたい」「腹圧を高めて姿勢改善したい」など。

いずれの理由にせよ、「筋肉のつながり(筋膜)」の観点からすると「腹筋だけ」を鍛えるようなことは避けたほうがいいです。

まず腹筋運動だけをすると背中が丸まりやすくなります。

「筋肉のつながり」は身体の前面を通るラインと後面を通るラインがあり、お互いがテントのロープのように引っ張り合うことで前後の姿勢を支えています(他のつながりも支えています)。腹筋の一部はこの「前のつながり」に属します。

つまり腹筋だけを鍛えるということは、テントのロープ一本だけを短くしようとしているため、姿勢が崩れやすいのです。

姿勢が崩れることはさまざまなデメリットがあります。

腰や肩のコリだけでなく、巡り巡って内臓の働きやメンタル面にも影響する可能性があります。前述した目的のためには「腹筋」を鍛えなければと思ってしまうのも無理はありませんが、「筋肉のつながり」のためにはぜひ「背筋」なども同時にエクササイズなどで刺激を入れてあげて欲しいと思います。

(2)腕の力だけでボールを投げたり、ラケットを打つこと。

野球やテニス、ゴルフなど道具を使って行うスポーツは、より速く投げよう、遠くに飛ばそうなどの意識が強くなりすぎて、動作中の身体感覚には鈍感になりがちです。

特に男性などは筋力がある分、腕の力だけでスイングしていると注意される人も多いと思います。そんな時はいかに体幹と腕がつながっているかを理解しておくことが重要です。

ここでヒントになる考え方は、基本的には体幹が全ての動作の始まりで、腕や脚はその動きを増幅させるようなアンプのようなものと捉えることです。

例えるなら、でんでん太鼓のような動きです。軸を回すことによって先端に錘のついた左右の紐が遠心力を使って太鼓を叩きます。軸が「体幹」で、紐が「つながり」としてのイメージ作りに適しています。

もちろん、これは数ある中の一つの「捉え方」なので、人によってはこのイメージが逆効果になる人もいるかもしれませんが、基本的には多くの人の「気づき」のきっかけになると思います。投げる、打つなどの動作は「腕のつながり」と体幹部の「らせん・運動のつながり」などが途切れずに連動していることが大切です。全体を連動させることで肩や肘だけを酷使させづらく、より力強い動作を可能にします。

(3)凝っている一カ所だけストレッチをしてしまうこと。

このストレッチというものはとても不思議なもので、「体は柔らかければ柔らかいほど健康に良い」と多くの人が信じています。

僕自身もストレッチトレーナーとしてストレッチの重要性は理解しています。ただ、「どこをストレッチするのか?」ということについては「筋肉のつながり」を一度頭に入れてから行うことをおすすめします。そこを理解すると、本人に必要な「ストレッチ」について考えることができると思います。

できるかぎり全身をストレッチしてバランスをとる

まずなるべく避けてほしいことは、一部位だけをストレッチして終わるということです。最初のほうで腹筋と背筋などの説明でテントのロープを例えにしましたが、体は「つながり」を使って全身のバランスをとっています。その部位が硬くて凝っているからといっても、その一カ所だけをストレッチしていても全体のバランスが崩れていればすぐに硬さが戻ってきます。一カ所だけのストレッチというのは長期的に行うと、むしろその全体のバランスを崩す可能性さえあります。

一般の方には「全身のバランスを考える」というものがよくわからないと思います。

そんな時は「急がば回れ」で、全身をくまなくストレッチするようにしてください。YouTubeなどで〇〇に特化したストレッチなどもいいと思いますが、おすすめは全身です。

関係のないと思っている足裏や、腕の筋肉など「つながり」は全身に巡っています。マニアックな話をするとアゴや頭にまで「つながり」は存在します。ですから、できるかぎり全身をストレッチしてバランスをとっていただきたいのです。

(4)「ボディメイクのための筋トレ」と「動き・姿勢を向上させるエクササイズ」を混同すること。

筋トレが身近な存在になって久しいですが、「ボディメイクのための筋トレ」と、「動き・姿勢を良くするエクササイズ」には目的の違いがあります。

どちらかが優れていて、どちらかが劣っているということではありません。どちらももう一方の目的に役立つこともあるので明確に分けることは不可能です。わかりやすく説明すると、筋肉を大きくするには個々の筋肉に的確に刺激を入れることが重要です。そして動き・姿勢を向上するには「全体性や連動性」というものを意識しなければなりません。

例えば「ボディメイク」で腕を太くしたいとしましょう。そのためにダンベルを持って肘を曲げたりの伸ばしたりする時に鍛えられるのは上腕二頭筋という力こぶの筋肉です。この時に上手な人は体幹を固定してこの筋肉にだけ刺激が入るように動作を反復します。

一方で「動きや姿勢」を向上させたい方にはそもそもこの動作はおすすめしません。なぜならこの筋肉は「筋肉のつながり」を介して肩甲骨や胸につながるからです。鍛えて硬くなってしまうと猫背や四十肩などになりやすいからです。

とはいっても理想的には程よくメリハリのある身体を保ちながら、動作や姿勢などもしなやかなのが多く方の望むことだと思います。そのためにはボディメイク的な個々の筋肉にフォーカスした刺激を入れながら、ヨガ、ピィラティス、ストレッチなどの「つながり」をより意識したエクササイズを同じ分量取り入れるのがいいでしょう。

身体に関しての正解・不正解はない

ここまでいろいろとお話ししましたが、身体に関しての正解・不正解はありません。

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なぜなら身体を通して何を表現したいのか、何を達成したいのかは人によって違うからです。

身体を大きくするために高負荷の筋トレだけをやる人もいれば、身体のサイズは気にせずに身体を動きにフォーカスしたエクササイズだけをする人もいます。

今回たびたび出てきた「筋肉のつながり」というのは正解を押し付けるものではありません。従来の解剖学というものでは腑に落ちなかった部分を補う「身体の捉え方」です。

以前よりも「全体性」というものを意識する人が増えていると感じます。それはより根本的に、より本質的に身体を捉えようとする人が増えたからではないかなと思います。

この「筋肉のつながり」について興味のある方はぜひ『世界一わかりやすい筋肉のつながり図鑑』という本を読んでいただければ幸いです。

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