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2023.11.18

突然死の原因「朝の血圧急上昇」を防ぐ水の飲み方|注目の「血圧降下ペプチド」が含まれる食材は?


体内時計のリズムに合った食べ方こそ、健康の原点であると考えられます。「時間栄養学」とはどのようなものか、また「体内時計」に合った生活の工夫を紹介します(写真:zon/PIXTA)

体内時計のリズムに合った食べ方こそ、健康の原点であると考えられます。「時間栄養学」とはどのようなものか、また「体内時計」に合った生活の工夫を紹介します(写真:zon/PIXTA)

ノーベル賞で注目を集めた「体内時計」の研究が進み、「時間」を考慮した栄養学の必要性が提唱されるようになりました。「何を食べるのが健康によいか」ではなく、「いつ食べるのが健康によいか」が注目され調べられるようになったのです。体内時計のリズムに合った食べ方こそ、健康の原点であると考えられ、「時間栄養学」と呼ばれています。

本稿では、東京女子医科大学名誉教授の大塚邦明医師が上梓した『大切なのは「いつ食べるか」でした。』より、「時間栄養学」とはどのようなものか、また「体内時計」に合った生活の工夫をご紹介します。

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血圧は基本的に昼に高く、夜に低くなります。夜間(就寝中)の血圧は昼間の血圧に比べ、10~20%低下するのが普通です。

早朝高血圧「モーニングサージ」に注意

異常な血圧変動のパターンとして、早朝に急激な血圧上昇を示す「血圧モーニングサージ」があります。

血圧は覚醒・起床とともに上昇しますが、この上昇が大きすぎることが問題です。

とくに「心臓肥大」や「冠動脈硬化」(心臓の周りを取り囲む血管が硬くもろくなった状態)といった障害がある場合、朝の血圧上昇が大きすぎると、心臓に負荷がかかり、突然死の引き金にもなると考えられています。

このように、血圧は時間をはじめ実にさまざまな要因によって変動しますので、「血圧をいつ測ったのか?」「何が血圧を変化させているのか?」といった時間医学的な視点を抜きに、「140/90㎜Hgを超えたら高血圧」などと一律に診断することには無理があるといえます。

●「起き抜けの1杯の水」 が血管を守る

心筋梗塞(心臓の血管が詰まる病気)や脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)は、朝の起床後からの数時間に最も多いことが知られています。

高血圧や糖尿病、脂質異常症(血中の脂肪量が異常に多い状態)など、血管の病気が起こるリスクを抱えている人が、朝の薬を飲み忘れてはいけない理由がここにあります。

では、なぜ朝方にこうした重篤な病気が多発するのでしょうか。

朝は、休息と活動の切り替えの時間帯です。体の仕組みは一気に「休息モード」から「活動モード」に切り替わります。そのときに問題が生じるのです。

活動開始にともない、脈拍や血圧が上がります。心臓や脳といった重要な臓器を働かせるために、多くのエネルギーと酸素を必要とするからです。ところが不都合なことに、朝は血液が流れにくく、固まりやすい状態になっています。

夜、寝ている間に汗をかいて水分が失われているため、血液が粘っこくなっています。

心臓や脳といった各臓器で酸素やエネルギーの需要が増えるのに、供給はしにくい。たとえるならば、各地から「酸素と栄養を早く届けて!」という注文が殺到しているのに、道路が渋滞している、という状態です。

さらに悪いことが重なります。朝には、固まった血を溶かす働きをしている「t-PA」(血管内皮細胞から産生される)という物質の働きが落ちていて、血液がいったん固まると溶けにくい時間帯となっているのです。

血圧がボンと上がり、血中にできた血液の塊を押し流し、心臓の血管に詰まると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞になります。

朝を健やかに迎え、1日を元気に過ごすためにぜひ実行していただきたいのが朝起きてすぐ、コップ1杯の水を飲むことです。健康法として水を飲むことが一般的になっていますが、大事なのは「いつ飲むか」です。

血液の粘度が上がり、固まりやすく、詰まりやすくなっているのが朝です。朝の起き抜けの水は、健康増進のために大切なコツの1つです。

男と女で違う血圧が上がる理由

高血圧の治療には、もちろん食事に気をつけることは必須ですが、メンタルを安定させ、喜怒哀楽などの心の動きを少なくするための工夫も重要です。

喜びの感情は血圧を下げ、悲しみ、不安、怒りは血圧を上げます。

あくまで一般的にですが、怒りにともなう血圧上昇は女性よりも男性で大きく、不安にともなう血圧上昇は男性よりも女性で明瞭です。職場でのストレスによる血圧上昇は、男性の場合は顕著にみられますが、女性にはさほど現われません。

では、女性の血圧を大きく上げる要因は何でしょうか。女性は育児のストレスや家庭内の不和、家事のやり繰りにおける苦労などであることがわかっています。

このように、どのような種類のストレスや感情が血圧上昇に大きな影響を及ぼすかには男女差があります。悲しいことを思い浮かべたとき、悲しみに反応する大脳辺縁系がどのように反応するかを調べたところ、女性は男性の約8倍の広さの領域で応答していました。女性の脳は仕事のストレスには強くても、悲しみには敏感なのです。

●「ラクトトリペプチド」は朝とるとさらに効く

食品由来の血圧を下げる成分、「血圧降下ペプチド」が注目されています。ペプチドはアミノ酸が2個~数十個つながったものです。発酵・熟成または酵素処理の過程でタンパク質が分解されてつくられます。

血圧は血圧調節ホルモンの「アンジオテンシン変換酵素」(以下、ACE)の働きで維持されています。血圧を正常に維持するには、そのACEの働きを適度に阻害しておくことが必要です。

食品由来の「血圧降下ペプチド」は、ACEの働きを適度に阻害することで血圧を下げますので、ACE阻害ペプチドとも呼ばれます。ACE阻害ペプチドには、乳製品由来のラクトトリペプチド、イワシ由来のイワシ(サーデン)ペプチド、ゴマ由来のゴマペプチド、大豆由来の大豆ペプチドがあります。

ラクトトリペプチドには2種類の乳製品由来トリペプチドがあります(VPP、IPP)。高血圧の人にこの2種類のラクトトリペプチドを含む発酵乳やペプチドを4週間以上投与すると、上の血圧が3㎜Hg、下の血圧が1.5㎜Hg程度低くなります。

注目の成分ラクトトリペプチド

横浜市立大学の栃久保修教授らは、その効果を24時間血圧で観察し、ラクトトリペプチドは「夜の眠っているときの血圧も下げること」。そして、「減塩食の生活治療での降圧効果を大きくすること」を確認しています。

ラクトトリペプチドは、欧米人よりも日本人の高血圧に有効で、特定保健用食品に指定されています。有効な理由はよくわかっていません。

ACE(アンジオテンシン)は朝に多く分泌されるホルモンですから、ラクトトリペプチドを含む食品は朝食時にとることがおすすめです。

●イワシ(サーデン)ペプチドは3週間で効果!

EPAやDHAは青魚に多く含まれる「オメガ3脂肪酸」で、血管を開いて血流をよくするうえに、血液をサラサラにする効果もあります。動脈硬化の進行を予防する食品成分です。

青魚のイワシにはその他、血圧を下げる作用があります。イワシ由来のイワシ(サーデン)ペプチドも、ラクトトリペプチドと同様のACE阻害ペプチドです。

九州大学名誉教授の川崎晃一博士らは、高血圧の人にイワシペプチドを含む飲料を3週間飲んでもらいました。その結果、血圧ホルモンの「アンジオテンシンⅡ」が減り、上の血圧と下の血圧をそれぞれ10㎜Hgと5㎜Hgも低くすることができました。

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『大切なのは「いつ食べるか」でした。』(三笠書房) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

イワシペプチドも特定保健用食品に指定されています。副作用はまったくありませんでした。アンジオテンシンは朝に多く分泌されるホルモンですから、イワシペプチドも時間栄養学の視点からは朝食時にとることをおすすめします。

●「朝ごはんにゴマ」でコレステロールと血圧を下げる!

ゴマに含まれる「セサミン」を朝食のご飯と一緒にとると、コレステロールが下がることが知られています。

このコレステロールへの効果とは別に、ゴマ(セサミン)ペプチドはACE阻害ペプチドですので、血圧が高めになった人の血圧を下げてくれます。セサミンペプチド含有の飲料水が特定保健用食品に指定されています。

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提供元:突然死の原因「朝の血圧急上昇」を防ぐ水の飲み方|東洋経済オンライン

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